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紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」は電子化された添付文書をご参照ください。
当院は主に奈良県北部の患者さんが受診する地域に根付いた病院である。当科の新規ALL患者は年間6例程度であり、地域柄、造血幹細胞移植(HSCT)非適応となる高齢の患者さんが多い。
初発ALLに対する治療は、日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)のプロトコールに則って行っている。 HSCTの適応はリスクファクターに基づいて判断し、主にハイリスク例に対して実施し、AYA世代にはできるだけ実施しない方針である。
再発・難治性ALLに対しては、臨床試験成績と使用経験に基づく有効性や安全性、使いやすさの観点からベスポンサなどの抗体薬による治療を選択する機会が増えている。高齢者などのHSCT非適応例やHSCTを望まない再発・難治性ALL症例に対しては、患者さんの話をよく聞き、相談しながら、患者さんの希望に沿える治療を目指している。高齢患者さんでは入院を嫌う場合が多いため、なるべく入退院をさせないQOLを重視した治療を選択している。今回は移植を予定しない再発・難治性ALLにおいてベスポンサ治療を実施した症例を紹介する。
1例目は、70代のPh染色体陽性再発ALL患者(男性)である(図1)。20XX年x月に発熱を認め近医を受診し、血液検査で白血球高値を認めた。同年x+1月に精査加療目的で当科を紹介受診となり、Ph染色体陽性ALLと診断された。患者本人が高齢であることなどを理由に、強力な治療ではなく、内服薬による外来治療を希望したため、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)とプレドニゾロン(PSL)のみによる治療を選択した。x+8月に再発し、T315I変異を認めたため、 TKIを切り替えTKIの単剤治療を開始したが、x+13月に2度目の再発となった。E255K変異、F359V変異も認めたため、TKIを選択できなくなったが、本人はなるべく負担の少ない、自宅から通院して行える治療を強く希望し、化学療法を希望しなかった。
本症例はフローサイトメトリーでCD22陽性(40.3%)であったことからベスポンサ治療を行った。入院下でベスポンサ治療を開始したところ、投与1サイクル目で寛解を達成した。白血球は初回投与後に2000/μL程度にまで低下したが、速やかに回復したため、2サイクル目からは外来に移行した。3サイクル目に、正常値の範囲内ではあるものの、ビリルビン値が上昇傾向にあったため、4サイクル目以降を中止した。本症例は20XX+3年x+4月時点で寛解を維持している。
本症例は初発時から化学療法による治療がなかったにもかかわらず、TKI治療後の再発に対して、3サイクルのベスポンサ治療のみで長期の寛解を得られている。入院期間もベスポンサ1サイクル目の1ヵ月間程度であり、ベスポンサ治療中に注意していた骨髄抑制についても大きな変化はみられなかった。なるべく負担の少ない、自宅から通院して行える治療という患者さんの希望に極力沿えた好例であると考える。
2例目は、60代後半のPh染色体陰性難治性ALL患者(男性)である(図2)。20XX年x月、倦怠感を主訴として近医を受診し、血液検査から急性白血病が疑われたため、当科を紹介受診となった。骨髄検査からPh染色体陰性ALLと診断し、同年x+1月からJALSG ALL-Oプロトコールによる初回寛解導入療法を実施したがALLの肝浸潤を認め、非寛解となった。
患者本人が移植を希望せず、かつCD22陽性(84.8%)であったことから、同年x+2月より救援療法としてベスポンサ投与を開始した。入院下でベスポンサ治療を開始したが、投与1サイクル目で寛解を達成し、血球数や肝機能検査値に大きな変動がみられなかったため、2サイクル目から外来治療に移行した。経過は良好で、肝病変も消失したが、3サイクル終了後に白血球数の減少とCRP高値を認めた。その後、骨髄芽球割合が86.7%となり、再発を認めた。この時点でCD22抗原の発現は18.2%にまで低下していた。
本症例は初回寛解導入療法後に肝浸潤を認めた難治例であったが、ベスポンサ治療により速やかな寛解と肝病変の消失が得られた。骨髄抑制は注意すべき副作用である一方、再発による造血不全の可能性も考えられるので、臨床検査値の推移は注意深く観察すべきである。また、後続の治療選択のためにも、治療再発時には標的抗原の発現量を確認する必要がある。
3例目は、70代のPh染色体陽性再発ALL患者(女性)である。狭心症で近医通院中の20XX年x月に発熱を認め、内服加療を受けるものの改善しなかった。血液検査を行ったところ末梢血芽球割合が80%であったため、同年x+1月に当科に紹介受診となった。当科の検査で末梢血白血球数43,100/μL、骨髄芽球割合91%であった。Ph染色体陽性ALLと診断し、TKIとプレドニゾロン(PSL)による寛解導入療法を開始した。下痢・食思不振などの消化器症状のため、減量・中断・再開を繰り返しながらの治療となったが、寛解を達成した。同年x+3月からTKIと化学療法による強化地固め療法を開始したが、消化器症状が強く、同年x+5月から2剤目のTKIに切り替えた。同年x+8月に網膜静脈閉塞症を併発したためTKIを中止し、同時に再発とE255K変異、T315I変異を認めた。
本症例は付加的な染色体異常も多いことから予後不良が予想されたが、CD22陽性(57%)であったためベスポンサを選択した。本症例も入院下でベスポンサ治療を開始し、投与1サイクル目で寛解を達成したため、2サイクル目から外来治療に移行した。5サイクル目の初回投与後にビリルビン値に上昇傾向を認めたため、その時点でベスポンサ治療を中止した。その後、再寛解達成から約1年間、寛解を維持した。
本症例も1例目と同様、TKIの選択肢がなくなった状態でのベスポンサ治療への切り替えであったが、1サイクル目で寛解を達成し、1年間寛解を維持することができた。VOD/SOSは非移植例においても注意すべき副作用であるため、寛解を達成している状態では、肝機能検査値に応じて、治療の中止を検討することも重要である。
当科ではエビデンスに基づいた医療に加えて、患者さんの希望を考慮した医療を心がけている。患者さんの話を聞くと、1日でも早く家に帰ることを希望されることが多い。また、自宅で日常生活を送ることでPerformance Statusの維持にもつながる。患者さんのQOL維持を考慮し極力行動制限が少ない治療を検討する際、腫瘍細胞への選択性1)が高く、標準療法と比べて完全寛解率が高く2)、外来での治療が可能なベスポンサは、有用な選択肢の1つであると考えている。
当科では骨髄抑制や腫瘍崩壊症候群が発現する可能性を考慮し、ベスポンサ治療の1サイクル目は入院下で行い、その後は寛解を達成し、かつ造血機能が回復していた場合には外来治療に移行している(ベスポンサ投与時はinfusion reaction対策としてロキソプロフェンおよびd-クロルフェニラミンを事前投与する)。投与の継続については、寛解を得られている状態でビリルビン値の変動に注意し、上昇を認めた場合はベスポンサの中止を考慮している。
外来治療では、副作用管理やQOL維持のためにも患者自身で積極的に自己管理してくれるように患者さんの意識を変えることが重要である。外来治療へ移行した際に特に懸念されるのは骨髄抑制であるため、口腔ケアや手洗い、うがい、マスク着用、人の多いところへは行かないといった感染症対策を指導している。加えて、黄疸、痺れ、発熱、皮膚症状、リンパ節の腫れなど、患者さん自身がチェックできる症状を事前に伝えておく。チェックすべきポイントを明確に説明することで、わずかな違和感でもすぐに受診しようという意識になることがある。1週間に1回の通院時には、患者さんから自発的に症状を申告してもらえるため、診察がスムーズに進み、医療者側にも管理が容易になるというメリットがあると考える。
承認時に国際共同試験及び海外試験の臨床成績が臨床パッケージとして審査・評価されました。一部、承認内容と異なる用法及び用量を含んだ解析成績が含まれています。
HCT施行率はITT集団を対象とし、HCT施行率の差については95%CIを算出し、有意水準0.0125(片側)として群間で比較した。
ベスポンサ群(164例) | 標準化学療法群(143例) | |
全副作用 | 144例(87.8%) | 130例(90.9%) |
主な副作用 | 好中球減少症63例(38.4%)、血小板減少症55例 (33.5%)、貧血33例(20.1%)等 |
血小板減少症71例(49.7%)、発熱性好中球減少症 65例(45.5%)、貧血60例(42.0%)等 |
グレード*3以上の 副作用 |
115例(70.1%) | 113例(79.0%) |
主なグレード3以上の 副作用 |
好中球減少症60例(36.6%)、血小板減少症40例 (24.4%)、白血球減少症29例(17.7%)等 |
血小板減少症70例(49.0%)、発熱性好中球減少症 64例(44.8%)、好中球減少症54例(37.8%)等 |
投与中止に至った 副作用 |
15例(9.1%) | 7例(4.9%) |
主な投与中止に至った 副作用 |
肺炎、血小板減少症、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、高ビリルビン血症、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)† 各2例(1.2%)等 | 発熱性好中球減少症3例(2.1%)等 |
試験薬と関連がある 死亡とその内訳 |
9例(5.5%) ベスポンサ投与終了後のHSCT施行後に発現したVOD/SOS 5例(3.0%)、腸管虚血/敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、ベスポンサ投与終了後におけるHSCT施行後の多臓器不全 各1例(0.6%) |
3例(2.1%) 頭蓋内出血、多臓器不全、肺感染/呼吸不全 各1例 (0.7%) |
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本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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