Example
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、製品情報ページ をご参照ください。※ベスポンサページから離れます。
当院での新規ALL患者は年間5例程度である。移植を中心とした治療を行っており、患者の年齢中央値は40代と比較的若年である。病床数が限られていることから、高齢などの理由で移植適応外の患者は他院への紹介となる。
初発ALLに対する治療は、Ph陰性の場合、基本的に日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)のプロトコールに則って行っている。Ph陽性の場合、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を中心とした治療で寛解導入を行い、その後はTKIにHyper-CVAD/MAなどの化学療法を組み合わせた治療を継続する。
移植に関しては、全身状態が良ければ70歳まで考慮する。Ph陰性の場合、2019年からモニタリングとして遺伝子再構成を利用したPCR-MRD測定が保険収載下で行えるようになったため*、微小残存病変(MRD)陰性を達成できた症例では、高リスク染色体異常がない限り、移植を実施しない方針である。Ph陽性の場合、患者の希望を考慮した上で、基本的に初回寛解達成後に移植を実施する。
再発・難治性ALLに対しては、主に再発・難治と診断されたタイミングにより治療方針を検討する。特に、化学療法中に再発・難治となった場合や、再発までの期間が短かった場合は、抗体薬が選択肢となる。
ALL治療におけるMRDモニタリングの意義に関しては、海外のALLを対象としたメタ解析で、MRD陰性が良好な長期予後と関連していることが示されている(図1)1)。本邦でもMRD陰性の予後因子としての重要性が長らく議論されており、造血器腫瘍診療ガイドラインの2018年版補訂版では「寛解療法後に微小残存病変があれば(0.1%ないし0.01%以上)、再発の危険性が高まるため、測定の意義はある。ただし、寛解療法後のどの時点で微小残存病変を測定すべきかのコンセンサスは確立されていない」と記載された2)。
MRDはALLの治療方針を決定する上で重要な指標の1つである。一方で、再発例におけるMRD陰性化の重要性に関しては、さらなる臨床成績の蓄積が期待されるが、再発・難治ALLに対するベスポンサの有用性が示されたINO-VATE試験(図2)のMRDステータス別OS結果3)(図3)4)からも、再発・難治例においてもMRD陰性化の重要性が示唆される。また、Ph陰性の場合、MRD測定用のPCRプライマーを設計できていたとしても、保険適用分の測定を終えている症例も多い。今後はデータ蓄積のためにも、測定回数の拡大が望まれる。
ALLにおけるMRD(微小残存病変)ステータスと無イベント生存(EFS)および全生存(OS)の関連を明らかにする。
PRISMAガイドラインに基づくスクリーニングプロセスにより、PubMed、MEDLINE、Clinicaltrials.govをデータソースとして論文検索(下記)を行い、成人ALLを対象とする16論文(16件の研究)を解析対象とした(システマティックレビュー)。
“MRD”、“ALL”、“minimal residual”、“acute leukemia”を含むキーワードで2人の研究者が別々にPubMed、MEDLINE、Clinicaltrials.govの検索を行った。 レビュー1では261論文をPubMedで特定した(2000年1月1日~2014年12月31日)。224論文は英語以外、総説、MRDの情報の欠如または不十分、MRDと転帰との関連が示されていないことにより除外された。レビュー2では566論文をClinicaltrials.govとPubMedで特定した。535論文は英語以外、総説、MRDの情報の欠如または不十分、MRDと転帰との相関関係が示されていないことにより除外された。レビュー1から44論文、レビュー2から31論文が抽出され、合計75論文となったが、重複する13論文を除外した。62論文のうち、9論文をサンプルサイズが小さい、あるいは生存データが欠如しているため除外し、53論文とした。2論文を疾患領域の専門家によるレビューに基づいて追加し、55論文とした。さらに16論文を、ALLとAMLのデータセットが組み合わされている、他の研究と重複している、MRD情報と関連する生存データが欠如しているため除外した。最終的に、39論文(患者数1万3,637)を抽出した。内訳は、成人ALL16論文(患者数2,076)、小児ALL0論文(患者数1万1,249)、成人・小児ALL混合3論文(患者数312)となった。サンプル数、年齢中央値と範囲、追跡期間中央値、MRD検出法(PCR、MFC[少なくとも3色])、MRDカットオフレベル、MRD測定時期、ALLフェノタイプ(B細胞、T細胞)、フィラデルフィア染色体陽性を含む細胞遺伝学、生存データを2人の研究者が別々に抽出した。
EFSおよびOS
階層ベイズモデルによりMRD陰性患者あるいはMRD陽性患者のEFSおよびOSの平均値をプロットして生存曲線を作成した。また95%ベイズ確信区間を影付けで示した。同様にMRD陰性患者あるいはMRD陽性患者のハザード比(HR)中央値を算出し、95%ベイズ確信区間と合わせて示した。
全生存(OS)期間の中央値はベスポンサ群で7.7ヵ月、標準化学療法群で6.7ヵ月でした。検定の結果、ベスポンサは標準化学療法に対してOSの優越性は検証されませんでした。
ベスポンサ群でCR/CRiを達成した患者群について、MRDステータス別に全生存(OS)期間を検討したところ、OS期間中央値はMRD陰性群で11.6ヵ月、MRD陽性群で6.4ヵ月でした。
本症例は30代でPh陰性ALLと診断された患者である(図4)。JALSG ALL202-Oプロトコールによる初回寛解導入療法で寛解およびMRD陰性を達成した。その後、地固め療法中に再発し、JALSG ALL202-O(C.5)プロトコールによる再寛解導入療法を試みたが、寛解には至らなかった。なお、この再発はCNS浸潤を伴っていたが、髄注治療によりCNS細胞診は陰性化している。
化学療法抵抗性であり、腫瘍量も多かったため、再寛解導入療法として抗体薬であるベスポンサを選択した。ベスポンサ投与1サイクル目で寛解を達成したため肝類洞閉塞症候群(SOS)の発現頻度(表1)5)を考慮しベスポンサは1サイクルとし、他の抗体薬による治療1サイクルを挟んで、臍帯血移植を実施した。その後、移植後早期にCNS再発を認め、髄注治療を行っていたところ、血液学的再発となった。再度ベスポンサ治療を1サイクル実施し、血液学的寛解は達成したが、髄外病変のコントロールが依然不良である。
本症例は60代半ばでPh陽性ALLと診断された患者である(図5)。TKIとプレドニゾロン投与により寛解およびMRD陰性を達成した。TKIおよびHyper-CVADによる地固め療法後に骨髄バンクからドナー提供を受けて移植を行ったが、約半年後に再発した。TKIを再開するも、T315I変異が生じ、2剤目のTKIに切り替えた。血液学的寛解を達成したが、1ヵ月後に2度目の再発となった。
化学療法後の移植から間もなく再発したこと、TKI耐性であることから、再移植に向けての寛解導入療法としてベスポンサを選択した。ベスポンサ投与1サイクル目で寛解およびMRD陰性を達成したため、こちらの症例もSOSの発現頻度(表1)5)を考慮しベスポンサは1サイクルとし、他の抗体薬による治療2サイクルを挟んで、再移植を実施した。生着から約4ヵ月後にMRDが陽性化し、TKI投与を再開したが、間もなく血液学的再発となった。再度ベスポンサ治療を1サイクル実施し、寛解およびMRD陰性を達成した。現在は皮膚下の髄外病変の疑いにより、経過観察中である。また、本症例はベスポンサ治療中に血小板数が低下する傾向があったが、治療終了後に速やかに回復している。
抗体薬の登場以前、再発・難治性ALLの再寛解導入率は50%足らずであった6)。INO-VATE試験では、ベスポンサ群で標準化学療法群よりも高い寛解達成率(80.7%)、MRD陰性率(寛解達成患者の76.7%)が示されており3)、当院の2症例でも投与1サイクル目で寛解を達成した。より良い状態で移植に臨むうえで、速やかに深い寛解は重要で、化学療法と比較し高い奏効率が得られるベスポンサは有力な治療選択肢であると考える。特に再発時は腫瘍量が多い場合があるため、INO-VATE試験において腫瘍量に関わらずベスポンサは化学療法に比べて高い奏効率が示されており(図6)7)腫瘍量の多い再発時にはまず使用を検討したい選択肢である。
また、投与方法が週1回の点滴静注(1時間以上かけて投与)で外来投与も可能であることも、患者の負担や希望を考慮するとメリットとなる。
副作用について、血液毒性に関してはモニタリングを欠かさず、骨髄抑制があらわれた場合は、早期に適切な対処を行いコントロールする。また、ベスポンサで特に注意すべき副作用としてSOSが挙げられているが、投与サイクル数の増加とSOS発現率の上昇に関連が示されたことから(表1)5)、当院ではベスポンサ治療を寛解が得られる最小限のサイクル数とし、その後、移植までの期間で、必要であれば別の抗体薬でブリッジして、移植につないでいる。
主要評価項目である血液学的完全寛解(CR+CRi※)率はベスポンサ群80.7%、標準化学療法群29.4%でした。ベスポンサの標準化学療法に対する優越性が検証されました。[片側p<0.0001、χ2検定、有意水準0.0125(片側)](→図6)
再発・難治性ALLにおけるベスポンサ投与のポイント
●国際共同第Ⅲ相試験(INO-VATE試験)において再発・難治性ALLに対し、80.7%の寛解率、そのうち第2サイクルまでに96.6%が寛解を達成3)しており、寛解達成後はより良い状態で移植へ
●腫瘍量が多い再発時でも、化学療法と比較し高い奏効率を達成している3)
●週1回、1時間以上の点滴静注という外来投与も可能な投与方法
●SOSの発現対策として、移植予定患者では、寛解が得られる最小限のサイクル数で移植へ
今回紹介した症例の1例目は化学療法抵抗性のPh陰性患者、2例目は移植後再発かつTKI治療耐性のPh陽性患者であったが、いずれもベスポンサ治療1サイクル目で寛解を達成した。また、2例目ではMRDを定期的に測定しており、ベスポンサ治療後は1サイクル目でMRD陰性が得られていた。また2例とも、ベスポンサ治療および移植後の再発に対して2度目のベスポンサ治療を行い、再度1サイクル目で寛解を達成した。ベスポンサ治療により、異なる背景の再発・難治性ALLで有効性が示されたが、移植後の2度目のベスポンサ治療についてのデータは極めて少なくSOSの発症リスクも含め、今後検討すべき課題と考える。
日本人20名を含む再発・難治性のCD22陽性ALL患者326名を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(INO-VATE試験)においては、血液学的完全寛解(CR+CRi)率はベスポンサ群80.7%、標準化学療法群29.4%であり、ベスポンサ群の標準化学療法群に対する優越性が検証された(図7:片側p<0.0001[有意水準0.0125]、χ2検定)(試験概要・安全性は こちら を参照)。血液学的完全寛解(CR+CRi)を達成した患者のMRD陰性達成率はベスポンサ群で76.7%でした(図8)。
OS期間の中央値(95%CI)は、ベスポンサ群で7.7ヵ月(6.0、9.2ヵ月)、標準化学療法群では6.7ヵ月(4.9、8.3ヵ月)であった。ハザード比(97.5%CI)(ベスポンサ群対標準化学療法群)は0.770(0.578、1.026)であったが、標準化学療法群に対するベスポンサ群の優越性は検証されなかった[図2:片側p=0.0203(有意水準0.0104)、層別log-rank検定]。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は 製品情報ページ をご参照ください。
承認時に国際共同試験及び海外試験の臨床成績が臨床パッケージとして審査・評価されました。一部、承認内容と異なる用法及び用量を含んだ解析成績が含まれています。
ベスポンサ群(164例) | 標準化学療法群(143例) | |
全副作用 | 144例(87.8%) | 130例(90.9%) |
主な副作用 | 好中球減少症63例(38.4%)、血小板減少症55例 (33.5%)、貧血33例(20.1%)等 |
血小板減少症71例(49.7%)、発熱性好中球減少症 65例(45.5%)、貧血60例(42.0%)等 |
グレード*3以上の 副作用 |
115例(70.1%) | 113例(79.0%) |
主なグレード3以上の 副作用 |
好中球減少症60例(36.6%)、血小板減少症40例 (24.4%)、白血球減少症29例(17.7%)等 |
血小板減少症70例(49.0%)、発熱性好中球減少症 64例(44.8%)、好中球減少症54例(37.8%)等 |
投与中止に至った 副作用 |
15例(9.1%) | 7例(4.9%) |
主な投与中止に至った 副作用 |
肺炎、血小板減少症、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、高ビリルビン血症、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)† 各2例(1.2%)等 | 発熱性好中球減少症3例(2.1%)等 |
試験薬と関連がある 死亡とその内訳 |
9例(5.5%) ベスポンサ投与終了後のHSCT施行後に発現したVOD/SOS 5例(3.0%)、腸管虚血/敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、ベスポンサ投与終了後におけるHSCT施行後の多臓器不全 各1例(0.6%) |
3例(2.1%) 頭蓋内出血、多臓器不全、肺感染/呼吸不全 各1例 (0.7%) |
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本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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