低分子医薬品であるジェネリック医薬の品開発では、目的物質(有効成分)が先発医薬品と化学的に同一であることを確認します。このため、生物学的同等性試験で、先発品と同一の用法・用量において目的物質(有効成分)の血中濃度推移が先発品と同等/同質であることが確認できれば、臨床において先発品と同じ作用が期待できると考えられ、一般的にそれ以上の臨床試験は実施されません。
一方、バイオシミラーは低分子医薬品とは異なり、同一のものは製造できないため、品質特性解析、非臨床試験、臨床試験を行い、段階的に検証することが必要になります。また、承認・販売後は免疫原性の問題などに留意し、安全性プロファイルなどについて製造販売後調査の実施も求められます。
■ ジェネリック医薬品とバイオシミラーの開発の違い
先行バイオ医薬品の開発では、健康人や患者さんを対象とした臨床試験で医薬品の有効性と安全性を証明することに最も重点が置かれますが、バイオシミラーの開発では、目的物質が先行バイオ医薬品と同等/同質であることを証明することが最も重要となります(下図)。
バイオシミラーの開発では、品質特性解析で同等性/同質性が示されたのちに、非臨床試験を経て、ヒトでの臨床薬理試験、PK/PD試験により目的とする臨床エンドポイントにおける先行バイオ医薬品との同等性/同質性を示します。最終段階の第3相臨床試験では、先行バイオ医薬品で承認されている適応症のうちのひとつを対象として、同等性/同質性を証明するためのデザインが組まれます。さらに、バイオシミラー開発時の臨床試験情報は限られているため、市販後にも免疫原性の検討を含む安全性に関する調査を実施することがあります。
<参考>バイオ医薬品の免疫原性
免疫原性とは、未知の物質により生体内で抗体の形成や免疫応答が誘導されることをいい、すべてのバイオ医薬品にあてはまるリスクです。そのため、先行バイオ医薬品とバイオシミラーにおける免疫原性の比較は、承認前の評価では欠かすことができない項目です。免疫原性は非臨床試験による評価が困難であるため品質特性解析や臨床薬物動態試験、薬力学試験だけでなく、臨床試験によって確認される場合もあります1)。また、承認後のバイオシミラーにおける免疫原性の残存リスク管理は、事前に規制当局と相談し立案されたリスク管理計画(RMP)に基づき実施されます1)。
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