好中球減少期間の長さは侵襲性真菌(特に糸状菌)感染症(IMI)の発症リスクに影響を与えることが知られているが、好中球減少は、軽度でも長期に続く症例(図1:青線)、重度でも期間が短い症例(図1:黄線)もあり、一概に期間だけでリスクを判断することは難しく、好中球数曲線下面積では評価することができない(図1)。
好中球減少期間と重症度の両方を同時に評価することを可能としたのが、D-indexである。なお、このD-indexは好中球が回復したあとに算出されるため、治療の参考になりえない。治療の経過中には、累積D-index(cD-index)として算出することで、IMIの予測因子であることが示唆されている(図2)。
D-indexの算出方法は、測定された好中球数をプロットした曲線下面積(Ao)を、好中球非減少時の面積(Ae:好中球数500/μLでプロットした場合の直線化面積)から差し引いた部分の面積であり、本ソフトではその値を自動的に算出することが可能である(算出式は以下の通り)。
例として、好中球減少期間が以下のように推移した患者のD-indexは以下の通り。
1日目:450/μL、2日目:300/μL、3日目:300/μL、5日目:400/μL、8日目:480/μL
Ao=〔1/2(450+300)〕+〔1/2(300+300)〕+〔1/2(300+400)×2〕+〔1/2(400+480)×3〕
Ao=375+300+700+1,320=2,695 days・好中球数/μL
好中球減少期間が7日間のAeは、
Ae=7×500=3,500 days・好中球数/μL
よって、
本症例における、D-indexは、
Ae-Ao=3,500-2,695=805 days・好中球数/μL
なお、Portugalら1)はAMLの寛解導入療法におけるcD-indexのカットオフ値を5,800、Kimuraら2)は造血幹細胞移植後早期におけるカットオフを5,500と定め、侵襲性アスペルギルス症(IA)をはじめとするIMIおよび細菌感染症の予測に役立つことを報告している。今後、ステロイド使用などの好中球減少以外の危険因子を有する患者を含めて、様々な病態におけるカットオフ値が明確になっていくことで、更なる臨床現場での活用が期待されている。
監修者の言葉:神田善伸【自治医科大学附属病院 血液科 教授/自治医科大学付属さいたま医療センター 血液科 教授】
血液悪性腫瘍患者に対する化学療法や造血幹細胞移植後の免疫抑制時の感染症の予後は、早期診断や新規薬剤の開発に伴い改善しつつあるが、検査の遅れや精度の問題もあり、未だ十分とはいえない。また、これらの患者の発熱性好中球減少期の侵襲性真菌感染症に対する経験的な抗真菌薬治療は、抗真菌薬の過剰投与につながっていることが指摘されている。そのため、今後は、画像や血清学的診断に加えて、患者個々の状態や環境因子に合わせた更なる適切な抗真菌薬の治療が求められている。D-indexは好中球減少の程度と期間の両者を同時に評価する指標である。日々の検査で得られる好中球数を元に患者の好中球減少の重症度を定量化し、侵襲性真菌症発症の危険度を推測することによって、血液悪性腫瘍患者の最適な感染管理に役立つものと考えている。
監修者の言葉:神田善伸【自治医科大学附属病院 血液科 教授/自治医科大学付属さいたま医療センター 血液科 教授】
血液悪性腫瘍患者に対する化学療法や造血幹細胞移植後の免疫抑制時の感染症の予後は、早期診断や新規薬剤の開発に伴い改善しつつあるが、検査の遅れや精度の問題もあり、未だ十分とはいえない。また、これらの患者の発熱性好中球減少期の侵襲性真菌感染症に対する経験的な抗真菌薬治療は、抗真菌薬の過剰投与につながっていることが指摘されている。そのため、今後は、画像や血清学的診断に加えて、患者個々の状態や環境因子に合わせた更なる適切な抗真菌薬の治療が求められている。D-indexは好中球減少の程度と期間の両者を同時に評価する指標である。日々の検査で得られる好中球数を元に患者の好中球減少の重症度を定量化し、侵襲性真菌症発症の危険度を推測することによって、血液悪性腫瘍患者の最適な感染管理に役立つものと考えている。
①D-indexを起動すると右記の【患者一覧】画面が表示されます。
②患者データを新規登録する場合は、【患者データ登録】ボタンを押します。
③【患者登録】画面が表示されます。
④登録日、疾患名、患者名を入力します。
⑤入力内容を確認し、【登録する】ボタンを押すと患者データの新規登録が完了します。
【検査の終了】
検査が終了した場合は、一覧右端の終了をクリックし、チェックマークを付けてください。検査データを修正する場合は、再度クリックしてチェックマークを外してください。
【検査状態で絞り込み】
画面左上のプルダウンメニューから検査中/検査終了を選択することで、各ステータスの患者に絞って一覧を表示することができます。
①【患者一覧】画面で、検査データを入力する患者を選択し、【検査データ入力】ボタンを押します。
②【検査データ一覧】画面が表示されます。
③検査データを入力する場合は、【検査データ一覧】画面の【データ入力】ボタンを押します。
④好中球数(μL)を入力し、【登録する】ボタンを押します
好中球数が分からない場合:
白血球数(μL)と白血球分画[好中球](%)を入力し、【計算】ボタンを押すとシステムが自動で好中球数(μL)を算出します。入力された検査データから、システムが自動でD-indexを算出し、グラフを表示します。
①エクスポート・インポートメニューを選択します。
②エクスポート画面を選択して、【データをファイルに保存】ボタンを押します。
③【保存】ボタンを押すことにより、指定した保存場所にデータファイルが作成されます。
④インポート画面を選択して、【ファイルを指定してデータをインポートする】を選択します。
⑤【ファイルを選択】ボタンを押します。
⑥検査データを保存したファイルを指定して、【開く】ボタンを押します。
⑦【インポート】ボタンを押すことより、指定したファイルからデータを取込みます。
①確認したい途中経過日を選択します。
②【適用】ボタンを押します。
③選択した途中経過日までの cD-index/D-index が算出され、グラフが更新されます。
既にD-indexをご利用いただいている皆さまへ
ソフトウェアをバージョンアップしても、これまでのデータを移行する事が可能です。
データ移行の手順は下記リンクより「移行マニュアル」をご覧ください。
▶移行マニュアル(PDF)
Windows
Mac OS
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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