基本情報
ブイフェンドは、ボリコナゾールを有効成分とするアゾール系真菌症治療剤であり、2005年4月に注射剤および錠剤が承認され、2014年9月にドライシロップ剤が承認されました。
ボリコナゾールはフルコナゾールの有する多くの特徴を保ちながら、フルコナゾールに低感受性あるいは非感受性とされる Candida glabrata、C. krusei を含むカンジダ属に対する抗真菌活性を高め、また、今日問題となっているアスペルギルス属、クリプトコックス属、フサリウム属、スケドスポリウム属などにまで抗真菌スペクトルを広げることを目指して研究が進められ、英国ファイザー社サンドイッチ研究所において創薬されました。
臨床試験成績からボリコナゾールはアスペルギルス症の治療での有効性が確認され、C. glabrata、C. krusei を含むカンジダ属によるカンジダ症、クリプトコックス症、フサリウム症、スケドスポリウム症に対する有効性も確認されました。また、安全性においても臨床上十分な忍容性が確認されました。さらに、ボリコナゾールは経口投与時の消化管吸収性がバイオアベイラビリティが高いことから、静脈内投与と経口投与との間での切り替え(スイッチ療法)が可能であることも臨床試験で示されました。そして国内外での臨床的検討の結果、成人における重症または難治性深在性真菌症への有効性・安全性が認められ、2005年4月に注射剤および錠剤が承認されました。
さらに国内では小児患者に使用できる抗真菌剤の選択肢が限られていることなどから、2010年4月に開催された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」においてボリコナゾールの小児適応は医療上の必要性が高いと評価され開発要請がなされました。本邦において小児患者に対する薬物動態試験を実施し、2014年9月、小児適応の承認を取得しました。その際、小児における用法・用量は体重あたりで調整する必要があり、また低年齢児においては錠剤の服用が困難である場合が想定されることから、新たな剤形として経口ドライシロップ剤の承認を取得しました。
造血幹細胞移植(HSCT)患者におけるアスペルギルス症の発症率は国内外で高い水準にあります。HSCT後の易感染状態にある患者が、深在性真菌症を合併すると、死亡率は極めて高いことから、抗真菌薬の予防投与が国内外のガイドラインなどで推奨されています。国内でHSCT患者の深在性真菌症発症予防に使用できる抗真菌薬、特に侵襲性アスペルギルス症に対する選択肢は限られており、新たな予防投与の選択肢の医療上の必要性が高いと考えられました。ボリコナゾールは、国内において大規模臨床試験は実施されていないものの、外国臨床試験において予防投与に対する有効性・安全性が認められています。さらに、国内においてもHSCT患者の深在性真菌症発症予防に対して使用した報告において、有効性・安全性が確認されていることから、2015年8月、「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の適応にて承認を取得しました。
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