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VYNDAQEL (tafamidis) 61 mg is indicated for the treatment of wild-type or hereditary transthyretin amyloidosis in adult patients with cardiomyopathy (ATTR-CM). VYNDAQEL (tafamidis meglumine) 20 mg is indicated for the treatment of transthyretin amyloidosis in adult patients with stage 1 symptomatic polyneuropathy (ATTR-PN) to delay peripheral neurologic impairment. [INDICATION TO BE UPDATED BY LOCAL MARKET.]
2022年12月15日(木)
高知大学医学部 老年病・循環器内科学講座 教授
北岡 裕章 先生
福井大学医学部 分子病理学分野 教授
内木 宏延 先生
近年、心アミロイドーシスが注目を浴びており、PubMedにおける論文発表数が急激に増えている1)。PubMedで「心アミロイドーシス」と検索した際の経年的な論文発表数をみると、1980年代から続いてきた地道な研究の礎に3つのパラダイムシフトがあると考える(パラダイムシフト1:99mTc-PYPシンチグラフィが本疾患の診断に有用であることがわかったこと、パラダイムシフト2:99mTc-PYPシンチグラフィを用いて心不全患者、特にHFpEF患者を検査すると13%に心アミロイドーシスがみつかったと報告されたこと2)、パラダイムシフト3:本疾患に有効な疾患修飾療法が登場し、臨床試験の結果が報告されたことである3)。)。
この流れを受け、日本では2020年に日本循環器学会から心アミロイドーシスガイドライン4)、2021年には欧州心臓病学会から心不全ガイドラインが発出された5)。また、2022年に米国心臓病学会から発出された心不全ガイドラインの中に新たに心アミロイドーシスに関する記載が追加され6)、国内外で心不全の原疾患として心アミロイドーシスが重要との認識が高まっている。
1)National Library of Medicine:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Cardiac+Amyloidosis&filter=years.1984-2022&timeline=expanded&sort=date&size=100 2023年4月閲覧
2)González-López, E. et al.:Eur Heart J 36(38):2385, 2015
本研究はファイザー社の研究助成金を通して雇われた研究員によって部分的に支援が行われた。
著者の中にファイザー社から講演料、コンサルト費用を受け取っている者が含まれる。ファイザー社は彼らの機関に研究支援を行っている。
3)Maurer, M.S. et al.:N Engl J Med 379(11):1007, 2018
4)日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf.2023年4月閲覧
5)McDonagh, T.A. et al.:Eur Heart J 42(36):3599, 2021
6)Heidenreich, P.A. et al.:Circulation 145(18):e895, 2022
99mTcシンチグラフィは以前からトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の診断に有用であることが知られている。複数の報告7-9)を受け、欧州心臓病学会発出の心不全ガイドラインの診断アルゴリズムにおいても、米国心臓病学会発出の心不全ガイドラインの診断アルゴリズムにおいても99mTc-PYPシンチグラフィをはじめとする骨シンチグラフィで異常が検出されればATTR-CMと診断すると記載されている10)。
今まで手がしびれる、原因不明の心不全・心肥大など診断がつかず病院を転々としていた患者がシンチグラフィの導入により診断されるまでの期間が早まっている。実際に心アミロイドーシスと診断されるまでの期間は、シンチグラフィ導入前では14ヵ月であったが、シンチグラフィ導入後では8ヵ月と報告されており、この傾向はALアミロイドーシス(診断遅延の減少の中央値:5ヵ月)よりATTR-CM(診断遅延減少の中央値:10ヵ月)でみられていた。加えて、12ヵ月以内の早期診断患者が増えることによって、NYHA心機能分類Ⅰ・Ⅱ度(シンチグラフィ導入前:55%、導入後:77%)またはCA stageⅠ・Ⅱ(シンチグラフィ導入前:39%、導入後:67%)の患者の診断数が増えているとも報告されている11)。
7)Bokhari, S. et al.:Circ cardiovasc imaging 6(2):195,2013
8)Gillmore, J.D. et al.:Circulation 133(24):2404, 2016
9)McDonagh, T.A. et al.:Eur Heart J 42(36):3599, 2021
10)Heidenreich, P.A. et al.:Circulation 145(18):e895, 2022
11)Brons, M. et al.:Eur Heart J Open 2(2):oeac011, 2022
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
心アミロイドーシスを疑うきっかけとして、日本では長い間、心電図における低電位と心エコー検査での壁厚の増加があげられてきた。疑うきっかけの所見として正しいが、この2つの所見を認めないことで、心アミロイドーシスを疑わないことは大変危険である。その理由として、どちらの所見もアミロイドーシスが進行した症例における典型所見であるため、進行した所見のみを探していては結果として診断が遅れてしまうからである。
ビンダケル®カプセル20mg 添付文書 2022年2月改訂(第3版)
厚生労働省法令等データベースサービス-通知検索- 第11編 保険 第1章 保険 健康保険法(昭和60年以降)
医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について(平成31年03月26日保医発第326001号)より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4085&dataType=1&pageNo=1 資材作成月参照
注意:上記Webページの印刷物を提供する事はできません。
心アミロイドーシスの診断において、99mTc-PYPシンチグラフィの実施が重要であるが、熊本大学の検討によって、早期に99mTc-PYPシンチグラフィを実施して心アミロイドーシスのスクリーニングを行うべき患者の特徴、熊本クライテリアが発表された。熊本クライテリアとは、「hs-cTnT≥0.0308ng/mL」、「LV posterior wall thickness≥13.6mm」、「wide QRS(QRS≥120ms)」の3つの因子が揃うと99mTc-PYPシンチグラフィが高い確率で陽性になるというものである12)。
実際に高知大学で熊本クライテリアに則って患者を後ろ向きに解析すると、熊本クライテリアの3因子がすべて揃う患者の99mTc-PYPシンチグラフィ陽性率は、熊本大学患者群で96%(22/23例)、高知大学患者群で89%(15/17例)とその有用性が確認された13)。加えて、hs-cTnTはスクリーニングとしての感度は高いと考えられるため、hs-cTnTが0.0308ng/mLより持続高値の際は心アミロイドーシスの可能性を疑い13)、99mTc-PYPシンチグラフィを実施することで、早期にATTR-CMの診断を付けることが重要である。
12)Marume, K. et al.:Circ J 83(8):1698, 2019
13)Ochi, Y. et al.:J Cardiol 77(2):124, 2021
心アミロイドーシスの診断を行うのは、タファミジスなどの治療薬を処方するためだけではないと考えている。多くのHFpEF患者は心房細動を併発しているため、頻脈性の心房細動の心拍数の管理にベラパミルやβ遮断薬を頻用する。HFpEFの原因がATTR-CMの場合、ベラパミルやβ遮断薬、ジギタリスを使用すると伝導障害が顕在化し、徐脈を引き起こす14)。そのため、HFpEF患者の背景として、アミロイドーシスが原因なのか否かを明確にすることが重要である。アミロイドーシスの可能性がある場合はβ遮断薬やベラパミルの投与は慎重であるべきである。
加えて、心室頻拍があれば通常、植込み型除細動器を植込むが、心アミロイドーシスの心室頻拍の患者は心静止で亡くなることも多く、心アミロイドーシス患者に対して植込み型除細動器を植込むことによる予後改善を示したエビデンスも現在のところないため、植込み型除細動器等を植込む際は患者さんとシェアード・ディシジョン・メイキング(共同意思決定)をしっかり行い、治療方針を決めることが重要である。
14)日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf.2023年4月閲覧
10年前、我々は重症(NYHA Ⅳ度など)のアミロイドーシスしか知らなったが、診断方法、治療方法が進歩し、現在は様々なアミロイドーシスが存在し、早期診断することで必ずしも予後が不良ではないこともわかってきた。
日本の臨床現場に十分にアミロイドーシスの重要性が浸透していない状態ではあるが、高い精度で診断が可能な検査方法(特に99mTc-PYPシンチグラフィ)、疾患特異的な治療方法を手にしている今、最後に残った課題は早期診断である。早期診断の鍵は本疾患が稀ではないことを認識し、症状や検査から本疾患の可能性を念頭に置き、99mTc-PYPシンチグラフィを実施することである。
トランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われたら、認定施設までご相談ください。
臨床徴候や検査所見などからトランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われる、あるいはトランスサイレチン型心アミロイドーシスの可能性が否定できない場合は、生検および染色などの専門的な診断が必要となります。日本循環器学会の認定施設への紹介をご検討ください。
4.効能又は効果
Copyright (c) 2023 Pfizer Japan Inc. All rights reserved.
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