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「警告・禁忌を含む使用上の注意」については、製品情報ページをご参照ください。
EULARリコメンデーション2019年改訂版および関節リウマチ診療ガイドライン2020の内容と、ゼルヤンツの長期投与試験1024試験の結果をご紹介します。
監修:青森県立中央病院 リウマチ膠原病内科 医療顧問 竹森 弘光 先生
RAの治療アルゴリズムについて、EULARでは生物学的製剤とJAK阻害剤は同列に位置付けられています。
一方、JCRにおいては生物学的製剤とJAK阻害剤は同列にではあるが生物学的製剤が優先されるとしています。エビデンスが増えることでアルゴリズムやガイドラインなどもアップデートされてきました。
今回の9.5年間の安全性及び8年間の有効性を検討したゼルヤンツの長期投与試験(1024試験)の結果は、ゼルヤンツを選択する際の有用な情報です。ゼルヤンツにおけるエビデンスがRA患者さんの未来を見据えた先生方の診療の一助になれば幸いです。
EULARリコメンデーション2019年改訂版に基づく治療アルゴリズムです。
2019年改訂版のEULARリコメンデーションのアルゴリズムは、PhaseⅠ~Phase Ⅲで設定されています。各Phaseで効果不十分の場合、次のPhaseの治療に移行します。
こちらは関節リウマチ診療ガイドライン2020の薬物治療アルゴリズムです。
フェーズⅠでまずMTXの使用を検討し、すべてのフェーズにおいてMTXを基本的な薬剤として考慮すべきとしています。
ただし、わが国のRA患者は高齢者が多く、また海外と比較しリンパ増殖性疾患や間質性肺炎の合併頻度が高いことから、禁忌事項のほかに、年齢、腎機能、肺合併症等を考慮して、MTXの適応の有無と開始量を判断します。
MTXの副作用の予防目的では葉酸の使用が推奨され、MTX使用がむずかしいもしくは不可の場合、MTX以外のcsDMARDを使用します。
また、MTX単剤使用で効果が不十分な場合は、他のcsDMARDを追加して併用療法を検討します。
欧米で使用されていないわが国独自のcsDMARDとして、ブシラミン、イグラチモド、タクロリムスなどがあり、併用で治療効果の増強が期待できるとされています。
フェーズⅡでは、MTX併用・非併用いずれの場合もbDMARDまたはJAK阻害薬の使用を検討しますが、長期安全性、医療経済の観点からbDMARDの使用を考慮します。
MTX非併用の場合はbDMARDではnon-TNF阻害薬をTNF阻害薬より優先しますが、この場合のnon-TNF阻害薬はIL-6阻害薬を意味します。
また、MTX非併用の場合、bDMARDまたはJAK阻害薬の単剤療法も考慮できます。
フェーズⅢでは他のbDMARDまたはJAK阻害薬への変更を検討します。
この場合、TNF阻害薬が効果不十分な場合は非TNF阻害薬への切り替えを優先しますが、その他の薬剤については、どの薬剤への変更が適切であるかの推奨は作成しておらず、future questionとして次のガイドラインでアップデート予定とされています。
RA治療薬の有効性と安全性は、臨床試験および市販後の実臨床におけるエビデンスの蓄積が重要となります。
ゼルヤンツは、関節リウマチ領域で6件の第Ⅲ相臨床試験と2件の長期継続投与試験を実施し、115,000例以上の実臨床の使用経験があります。
また、関節リウマチの後に承認取得をした潰瘍性大腸炎領域では、3件の第Ⅲ相臨床試験と1件の長期継続投与試験を実施し、実臨床での検討が行われています。
ゼルヤンツはこれらの有効性および安全性に関するエビデンスの蓄積があり、情報提供をさせていただいております。
ゼルヤンツは非盲検長期継続投与試験を行っており、9.5年間の安全性および8年間の有効性を海外において検討しています。
対象はゼルヤンツの第Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ相のいずれかの先行患者選択指標試験を完了し、2007 年2月5日~2016 年11月30日に本試験に登録された関節リウマチ患者4481例です。
対象患者をゼルヤンツ5mg 1日2回群1123 例、ゼルヤンツ10mg 1日2回群3358 例に割り付け、最長9.5 年間継続投与しました。ゼルヤンツ5mg 1日2回群または10mg 1日2回群への割り付けは、ゼルヤンツ総1日投与量(TDD)に従って行い、TDD<15mgはゼルヤンツ5mg 1日2回群、TDD≧15mgはゼルヤンツ10mg 1日2回群としました。試験期間中の関節炎治療薬、特定のcsDMARDs、ステロイド薬の継続投与は可としました。ゼルヤンツまたは併用薬は治験担当医師の裁量で調節しました。
主要評価項目はゼルヤンツ5mg 1日2回、10mg 1日2回長期投与の安全性および忍容性、副次評価項目はゼルヤンツ5mg 1日2 回長期投与の有効性として、ACR20、50、70改善率、HAQ-DIスコア、ΔHAQ-DIスコア≧0.22 達成率、DAS28-4(ESR)、DAS28-4(ESR)<2.6(寛解)達成率、DAS28-4(ESR)≦3.2(低疾患活動性)達成率、CDAI≦2.8(寛解)達成率、SDAI≦3.3(寛解)達成率等でした。
主要評価項目である重篤な感染症、NMSCを除く悪性腫瘍、帯状疱疹の発現率の経時的変化はこのような推移を示しています。
投与開始から114 ヵ月後までの有害事象発現率は、ゼルヤンツ投与群全体で90.1%(4036/4481)、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で90.4%(1015/1123)でした。重篤な有害事象はゼルヤンツ投与群全体で30.0%(1343/4481)、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で30.8%(346/1123)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ25.0%(1120/4481)、28.0%(315/1123)でした。追跡期間中に88 例が死亡し、そのうちゼルヤンツ5mg 1日2回群の死亡例は39例でした。重篤な有害事象の内訳は、肺炎(2.1%)、変形性関節症(1.9%)、関節リウマチ(0.8%)等であり、投与中止に至った有害事象の内訳は、肺炎(1.8%)、血中クレアチニン上昇(1.5%)、帯状疱疹(0.7%)等でした。
主な有害事象の内訳は、ゼルヤンツ全投与群において上気道感染症18.8%(842/4481)、鼻咽頭炎14.6%(656/4481)、尿路感染症13.8%(619/4481)等でした。
臨床検査所見における主な有害事象は、ゼルヤンツ全投与群において血中クレアチンホスホキナーゼ上昇7.6%(340/4481)、ALT上昇4.1%(185/4481)、血中クレアチニン上昇3.9%(176/4481)等でした。
とくに注目すべき有害事象の発現率はこちらになります。ゼルヤンツ全投与群における非黒色腫皮膚癌(NMSC)のIRは0.7(116/4481)、NMSC 以外の悪性腫瘍は0.8(138/4481)であり、リンパ腫、黒色腫、乳癌(女性患者のみ)、肺癌はそれぞれ0.5未満でした。
ゼルヤンツ全投与群における重篤な感染症のIRは2.4(395/4481)、帯状疱疹は3.4(526/4481)であり、結核、結核以外の日和見感染症、心血管/感染症/悪性腫瘍の死亡率はそれぞれ0.5未満でした。
ゼルヤンツ全投与群における複合主要心血管イベント(MACE)、胃穿孔、間質性肺炎、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症のIRはそれぞれ0.5未満でした。
副次評価項目であるACR20改善率は、投与1ヵ月時で70.7%を示し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるHAQ-DIスコアは、ベースラインの1.40から投与1ヵ月時で0.83に低下し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるDAS28-4(ESR)は、ベースラインの6.27から投与1ヵ月時で3.81に低下し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
ゼルヤンツは、初の関節リウマチJAK阻害剤として開発されて以来、長期にわたる有効性・安全性を検討し続けています。
海外では、LTE試験により9.5年間の投与における安全性および8年間の投与における有効性の検証結果を報告しています。
国内では、発売以来、特定使用成績調査による安全性の検討などが行われています。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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