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小児においてRSウイルスは、下気道疾患を引き起こす主要な原因ウイルスのひとつです。1)
乳児の感染例における重症化リスク及び喘息発症リスクが報告されています。2,3,4)
1)より作図
[対象・方法]2007年4月から2012年3月の期間にて、東京女子医科大学八千代医療センターに下気道感染症により入院加療をした2歳未満児721例を対象に、鼻咽腔ぬぐい液から核酸を抽出し(RT-)PCR法により呼吸器ウイルスの検出を行った。RSウイルス、エンテロ属のウイルス(以下エンテロウイルス)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、ヒトボカウイルス(HBoV)、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスを検討した。
(本研究の限界)陽性であったウイルスの病原性について検討していないこと、ウイルス以外の感染症との合併率については正確に言及できないこと、本研究の対象は入院児であり、比較的重症者と考えられること、また、単施設の研究であるため、一般市中の感染症頻度を必ずしも反映していない可能性があります
1)浜田洋通 他: 感染症学雑誌 88(4): 423, 2014
[対象・方法]2016年4月~2017年3月に長野県内の主要な11病院でRSV感染症により入院となった小児438例を対象として、入院したRSV患者の割合、年齢、性別、出生時の妊娠週数、出生時の体重、基礎疾患等の情報に関するアンケート調査を実施した。
注:文献中には本研究の限界の記載はありませんが、国内の一部地域の報告のため限定的な結果であり、本報告の結果を一般化することはできない可能性があります。
2) Yanagisawa T et al.: Pediatr Int 60(9): 835, 2018
[対象・方法]日本医療データセンターのデータベースに登録されていた2歳未満の患者のうち、2017年1月1日から2018年12月31日までの期間において、RSウイルス感染症と診断された患者を後ろ向きに評価した。
(本研究の限界)RSウイルス感染症はICD10コードに基づいており、試験で確認されたRSウイルス陽性ではないため注意が必要であること、本研究で用いたデータベースは、中~大規模企業の従業員とその家族のみを含み、小規模企業の従業員と公務員は含んでいないため、RSウイルス負荷の過小評価を示す可能性があること、入院日からの入院日数も研究期間の終了時に切り捨てられており、これはいくつかの症例で平均入院期間を過小評価した可能性があるため注意が必要です。
3) Kobayashi Y et al.: Pediatr Int 64(1): e14957, 2022より作図(本文献の著者4人はいずれもファイザー株式会社の社員である)
3歳時における喘息発症率の比較4)
対象・方法:1989年12月~1990年4月にRSウイルス感染による細気管支炎で入院した乳幼児47例と性別、年齢、居住地域を合わせた対照の乳幼児93例を対象として、患者及びその家族に対する3歳時点の追跡調査によって喘息の発症状況を検討した。3回以上の気管支閉塞を医師が確認した場合を喘息と定義した。
4) Sigurs N. et al.: Pediatrics 95(4):500, 1995
7歳時における喘息発症率の比較5)
対象・方法:1989年12月~1990年4月にRSウイルス感染による細気管支炎で入院した乳幼児47例と性別、年齢、居住地域を合わせた対照の乳幼児93例を対象として、患者及びその家族に対する7歳時点の追跡調査によって喘息の発症状況を検討した。3回以上の気管支閉塞を医師が確認した場合を喘息と定義した。
5) Sigurs N. et al.: Am J Respir Crit Care Med 161(5):1501, 2000
13歳時における喘息発症率の比較6)
対象・方法:1989年12月~1990年4月にRSウイルス感染による細気管支炎で入院した乳幼児46例と性別、年齢、居住地域を合わせた対照の乳幼児92例を対象として、患者及びその家族に対する13歳時点の追跡調査によって喘息の発症状況を検討した。3回以上の気管支閉塞を医師が確認した場合を喘息と定義した。
6) Sigurs N. et al.: Am J Respir Crit Care Med 171(2):137, 2005
注:4)~6)の原著論文中には解釈における注意点の記載はありませんが、本研究はスウェーデンの報告であり必ずしも日本に当てはまるとは限らないことや、1歳未満の入院症例を対象としており、他の同様の研究と比較してより重症な症例のみを対象としている可能性があることなどが本研究の限界として考えられます。
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