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紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、電子添文をご参照ください。
当院の血液内科はベッド数約100床のうちクリーンルームは48床を有し、多くの造血細胞移植患者に対応している。実際に当院の患者さんは移植を目的とした紹介例が多く、年間140~150件の造血細胞移植(以下、移植)を実施している。
ALLの初回治療では、Ph染色体陰性の場合、福岡血液骨髄移植グループ(FBMTG)のALL/MRD2014nonPhプロトコールを使用している。Ph染色体陽性の場合は、同じくFBMTGのALL/MRD2014 Phプロトコールを使用しており、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を組み合わせた治療の後、基本的には移植を行う。
再発・難治性ALLに対しては、miniMEC(ミトキサントロン+エトポシド+中用量シタラビン)療法をはじめとした多剤併用療法を行ってきたが、最近はベスポンサなどの抗体医薬が登場し、投与方法や副作用、その後の治療計画などを考慮して適応を決定する。
一般的にベスポンサは類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)のリスク因子とされている。当院ではSOS/VODを移植後の主要合併症として対策を講じてきた。移植前処置から日本造血細胞移植学会(JSHCT)のSOS/TA-TMAガイドライン1)に準じて予防処置を行い、移植後は日々出現する臨床症状を慎重に評価しながら凝固マーカーのモニタリングや画像評価を行っている。今後はより迅速で感度の高いバイオマーカーや、予防薬として使用できる薬剤の登場にも期待している。
本症例は50代半ばでPh染色体陰性ALLと診断された患者である(図1)。JALSG ALL202プロトコールによる初回寛解導入療法を行うが寛解を達成できず、移植目的で当院へ紹介された。骨髄芽球割合は、転院時には50.8%で、ALL/MRD2014 nonPhプロトコールによる再寛解導入療法後は25.0%まで減少したが非寛解だった。
移植前の寛解導入を目指し、ベスポンサを選択した。当科ではinfusion reaction対策としてアセトアミノフェンとクロルフェニラミンマレイン酸塩を事前に投与している。ベスポンサ投与1サイクルで血液学的完全寛解を達成し、ベスポンサ最終投与から約3週間後に臍帯血移植(CBT)を行った。前処置は年齢と軽度の精神障害を考慮して骨髄非破壊的前処置を選択し、フルダラビン(FLU)+メルファラン(MEL)+ブスルファン(BU)と4Gyの全身放射線照射(TBI)*を用いた。移植から2週間後に生着を確認したが、その2日後に腹水を認めた。その後13%の体重増加、門脈血流速度の低下、肝腫大、肝静脈狭小化を認めた。ビリルビン値は2mg/dL未満だったが、Seattle基準2)からSOS/VODと診断した。支持療法として遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)とステロイド剤を投与し、約1ヵ月後には腹水の消失と門脈血流速度の回復を確認した。本症例はその後も完全寛解を維持している(インタビュー収録時)。
本症例は移植前に複数の化学療法レジメンで一度も寛解を得ることがなかったが、ベスポンサ1サイクル後に完全寛解を達成し、完全寛解の状態で移植を行うことができた。SOS/VODを発症したが比較的軽度で治療反応性が良好で、画像検査を含むモニタリングと蓄積された迅速な対策により、重症化に至らずに回復できた好例であると考える。
本症例は40代半ばでPh染色体陽性ALLと診断された患者である(図2)。ALL/MRD2002 Phプロコトールで分子学的寛解を達成し、姉をドナーとして末梢血幹細胞移植を受けた。5年後に再発し、その後6年間、ドナーリンパ球輸注(DLI)、ダサチニブ(Dasa)、ポナチニブ(Pona)など様々な治療を行い、長期の寛解は得られなかったものの部分寛解を維持していた。初回移植時の経験と長期入院ができない家庭の事情から、再移植は希望しなかった。
病状の維持が困難になったためベスポンサ投与を決定した。ベスポンサ投与1サイクルで分子生物学的完全寛解を達成した。軽度の血球減少がみられたため再投与は行わなかった。その後は約半年間にわたって分子生物学的完全寛解を維持していたが再発した。再度ベスポンサの投与を行ったが、2回目の投与後に血球数が顕著に減少したため、3回目の投与は行わなかった。2ヵ月後に再度再発し、再度ベスポンサの投与を行ったが、今回は1回目の投与後に血球数が顕著に減少したため、2回目以降の投与は行わなかった。血球減少に対しては輸血とG-CSF投与で対処した。その後も1ヵ月程度で再発したため、ご本人とご相談して現在は緩和療法を行っている(インタビュー収録時)。
本症例では移植後再発の後、様々な治療法で寛解を得ることができなかったが、ベスポンサ投与により1サイクルで分子生物学的完全寛解を達成し、約半年間、自宅で日常生活を送ることができた。その後は血球減少により長期投与が行えず、再発を繰り返すこととなったが、患者の意向であった長期入院は避けることができた。
当施設では、抗体医薬の導入前は非寛解期で移植に臨む患者さんも多く、そのような症例では移植後の再発率も高かった。移植前病期は移植後再発率や生命予後に大きく影響する因子であり、高い寛解導入率が期待できるベスポンサは、再発・難治性ALLの移植後再発率の減少と生命予後の改善を目指すうえで有用な選択肢だと考えている。
SOS/VODに関しては、少ないサイクル数でベスポンサを使用した移植症例の方が発現頻度が低いことが示されている3)。実際、1例目に提示した症例のようにベスポンサ1サイクルで完全寛解を達成できる症例もあり、INO-VATE試験では、寛解達成例の96.6%が第2サイクルまでに寛解を達成している4)。今後、SOS/VODのモニタリングや予防方法が確立されれば、さらに使いやすい薬剤になる可能性もあると考える。
また、ベスポンサは移植へのブリッジングだけではなく、移植を希望しない患者さんや高齢など移植非適応の患者さんにとっても、QOL維持5)を考慮しつつ寛解を目指す治療を患者さんに提供できる治療選択肢の1つと考える。
文献
造血細胞移植学会ガイドラインSOS/TA-TMA (第2版)2022年1月/日本造血・免疫細胞療法学会ガイドライン委員会編/JSHCT monograph Vol.48
https://www.jstct.or.jp/uploads/files/guideline/01_06_06_sos_ta-tma02n.pdf(2023/6/2参照)
McDonald, G.B. et al.: Ann Intern Med 118(4): 255, 1993 PMID: 8420443.
Kantarjian, H.M. et al.: Lancet Haematol 4(8): e387, 2017 PMID: 28687420. 本試験はPfizer Inc.のスポンサーシップのもと実施された。
社内資料: 国際共同第Ⅲ相試験(B1931022試験)[L20171116016](承認時評価資料)
Kantarjian, H.M. et al.: Cancer 124 (10) : 2151, 2018. PMID: 29508899. 本試験はPfizer Inc.のスポンサーシップのもと実施された。
承認時に国際共同試験及び海外試験の臨床成績が臨床パッケージとして審査・評価されました。一部、承認内容と異なる用法及び用量を含んだ解析成績が含まれています。
HCT施行率はITT集団を対象とし、HCT施行率の差については95%CIを算出し、有意水準0.0125(片側)として群間で比較した。
ベスポンサ群(164例) | 標準化学療法群(143例) | |
全副作用 | 144例(87.8%) | 130例(90.9%) |
主な副作用 | 好中球減少症63例(38.4%)、血小板減少症55例 (33.5%)、貧血33例(20.1%)等 |
血小板減少症71例(49.7%)、発熱性好中球減少症 65例(45.5%)、貧血60例(42.0%)等 |
グレード*3以上の 副作用 |
115例(70.1%) | 113例(79.0%) |
主なグレード3以上の 副作用 |
好中球減少症60例(36.6%)、血小板減少症40例 (24.4%)、白血球減少症29例(17.7%)等 |
血小板減少症70例(49.0%)、発熱性好中球減少症 64例(44.8%)、好中球減少症54例(37.8%)等 |
投与中止に至った 副作用 |
15例(9.1%) | 7例(4.9%) |
主な投与中止に至った 副作用 |
肺炎、血小板減少症、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、高ビリルビン血症、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)† 各2例(1.2%)等 | 発熱性好中球減少症3例(2.1%)等 |
試験薬と関連がある 死亡とその内訳 |
9例(5.5%) ベスポンサ投与終了後のHSCT施行後に発現したVOD/SOS 5例(3.0%)、腸管虚血/敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、ベスポンサ投与終了後におけるHSCT施行後の多臓器不全 各1例(0.6%) |
3例(2.1%) 頭蓋内出血、多臓器不全、肺感染/呼吸不全 各1例 (0.7%) |
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本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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