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紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、製品情報ページ をご参照ください。※ベスポンサページから離れます。
当院の血液内科は100床以上の完全個室を備え、北海道全域から白血病患者を受け入れている。白血病で治癒を目指す場合は、造血幹細胞移植(以下、移植)可否の判断および移植のタイミングが重要となるため、病初期から当施設に紹介される患者が多い。ALLについては年間20例前後の患者を新規に受け入れており、その年齢層はAYA世代から高齢者まで幅広い。
当院のALL治療では、日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)のプロトコールに準じた寛解導入・地固め・維持療法を基本とし、患者の状態によりHyper-CVADなどを選択する。移植の適応は基本的には65歳程度までだが、身体状態が良好な場合は70歳前後でも考慮する。予後不良因子を有する患者では特に積極的に移植を検討する。AYA世代の患者に対しては、強力な化学療法により良好な治療効果が期待できるため、化学療法のみで治癒を目指すことが多い。また、2019年からモニタリングとしてPCR-MRD測定が保険収載下で商業化されたこともあり、MRDを治療選択の指標としている。移植適応年齢でMRDが消えない場合は、移植をしないと予後が悪くなるので、初回寛解時に移植を勧める方針としている。
再発・難治性ALLに対するサルベージ療法については、再発までの期間も考慮して治療を選択する。近年登場した抗体薬の1つであるベスポンサは、下記の理由から有力な治療オプションとして発売当初より当院に導入された。
再発・難治性ALL治療におけるベスポンサの有用性
●国際共同第Ⅲ相 INO-VATE試験の結果から再発・難治性ALLに対し、80.7%の寛解率、また96.6%が第2サイクルまでに寛解を達成した1)
●外来や患者さんの地元の病院でも投与が可能である
一方で、ベスポンサ治療では、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)の発現に注意する必要がある。当院では予防的にウルソデオキシコール酸(VOD/SOS予防に対しては適応外)を投与し2)、サイクルごとのモニタリングでは血液検査に加え、北海道大学のプロトコールに基づいてエコー検査により肝臓サイズや血管径、血流状態を評価している3)。少しでも肝障害の徴候を認めたら、ベスポンサ投与を中断あるいは延期を検討することにより、治療継続が可能であると考える。
今回は当院でベスポンサ治療を実施した再発・難治性ALLの非移植例を紹介する。
1例目(図1)は、60代の初回再発Ph染色体陰性ALL患者(女性)で、肺癌の既往があり、WT1 mRNA*の高発現を認めた。Hyper-CVADによる初期治療中に血液学的寛解を達成したものの、末梢神経障害などの合併症を発症し、移植の時機を得られないまま骨髄芽球割合とWT1 mRNAの上昇を認め、再発となった。合併症により化学療法の継続は困難と判断し、ベスポンサによる治療を選択した。入院による投与1サイクル目で寛解を達成し、その後は肺炎での入院や休薬の時期もあったが、外来で6サイクルまで治療を完遂した。当時は保険でMRDを測定できなかったため、他の抗体薬による治療を継続した。その後、化学療法による維持療法に移行したが、副作用を認め、この時点で測定可能となったMRDが陰性化していたこともあり、無治療経過観察とした。
2例目は、70代の難治性のPh染色体陰性ALL患者(女性)である(図2)。他院で寛解導入療法を受けたところ、肝障害、凝固異常などの合併症が現れたが、寛解を達成した。本人および家族が移植の検討を希望したため、当院に紹介受診となった。当院では合併症を考慮し、移植の実施および化学療法の継続は困難と判断し、ベスポンサによる治療を選択した。入院で実施した投与1サイクル目で寛解を達成し、その後は地元の病院で3サイクル目までベスポンサ投与を受け、治療期間を通して血液学的寛解を維持していた。本症例は個人マーカーの設計ができずMRD測定できなかったため、MRD陰性の確認には至らなかった。
移植の適応外、または移植を希望しない再発・難治性ALL患者に対する治療では、寛解の導入・維持を目指しつつ、自宅で過ごしたいなど患者の希望に沿った治療を実施することが重要である。当院においての非移植例におけるベスポンサ治療のポイントは以下のように考えている。
当施設での非移植例におけるベスポンサ治療のポイント
●簡便な投与方法(週1回、1時間以上の点滴静注)のメリットを活かす
●Infusion reactionや腫瘍崩壊症候群などを考慮して初回サイクルは入院で実施、寛解達成以降は外来で実施する
●入院時に外来移行後の注意事項(感染症や肝障害などの副作用に十分注意すること、体調の変化や発熱があった場合にはすぐに連絡すること等)を伝えておく
現在ではMRD測定技術の進歩により、Ph染色体陽性ALLのみならず、Ph染色体陰性ALLでも個人マーカーを設計してMRDを測定できるようになった。また、定量的PCR法によるMRD測定は、2019年よりモニタリングとして2回までの実施が保険適用となった4)。
今回紹介した2例は、治療当時はMRDの測定ができなかった、あるいは個人マーカーを設計できなかったPh陰性ALL症例であり、MRDの陰性化を確認できなかったことから、念押しとして複数の抗体医薬品による治療を実施した。
MRD陰性を達成できていない患者では再発リスクが高くなることが複数の研究で報告されており5-9)、今後以下のような観点が重要になると考えている。
当施設でのMRDを指標としたALL治療のポイント
●寛解導入療法によるMRD非陰性化はAYA世代も含めて移植を検討する要素となる
●移植もMRD陰性の状態で実施することで、より良好な治療効果が得られることが期待される10)ため、移植前にMRDが陰性化していなければ、より深い寛解を目指して抗体療法を検討する
●化学療法でMRD陰性の達成・継続が困難な患者では、プロトコールのコースの途中でも、抗体療法への切り替えを検討する
●非移植例では、MRD陰性化は治療終了の1つの指標になり得ると考える。そのため、寛解後も現在使用可能な治療法を組み合わせて、さらなる深い寛解を目指す
このような観点での再発・難治性ALL治療において、ベスポンサはINO-VATE試験の寛解達成例で標準療法に比べて高いMRD陰性化率を示している1)ことからも、有用な治療選択肢となる。
総括 札幌北楡病院 血液内科 診療部長 太田 秀一 先生
当院で実施した再発・難治性ALLの非移植例に対する治療で示した通り、ベスポンサは外来治療や地元の病院での治療を可能にし、患者さんの希望に沿った治療を継続できた。また、非移植例においてもMRD陰性化は予後改善に重要であると考えているが、ベスポンサはINO-VATE試験の結果から標準療法と比べてMRD陰性化率が高く、より深い寛解が得られた1)。これら2つの点からベスポンサは、移植例と同様に非移植例でも有用な治療選択肢としての位置づけが期待される。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は 製品情報ページ をご参照ください。
承認時に国際共同試験及び海外試験の臨床成績が臨床パッケージとして審査・評価されました。一部、承認内容と異なる用法及び用量を含んだ解析成績が含まれています。
ベスポンサ群(164例) | 標準化学療法群(143例) | |
全副作用 | 144例(87.8%) | 130例(90.9%) |
主な副作用 | 好中球減少症63例(38.4%)、血小板減少症55例 (33.5%)、貧血33例(20.1%)等 |
血小板減少症71例(49.7%)、発熱性好中球減少症 65例(45.5%)、貧血60例(42.0%)等 |
グレード*3以上の 副作用 |
115例(70.1%) | 113例(79.0%) |
主なグレード3以上の 副作用 |
好中球減少症60例(36.6%)、血小板減少症40例 (24.4%)、白血球減少症29例(17.7%)等 |
血小板減少症70例(49.0%)、発熱性好中球減少症 64例(44.8%)、好中球減少症54例(37.8%)等 |
投与中止に至った 副作用 |
15例(9.1%) | 7例(4.9%) |
主な投与中止に至った 副作用 |
肺炎、血小板減少症、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、高ビリルビン血症、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)† 各2例(1.2%)等 | 発熱性好中球減少症3例(2.1%)等 |
試験薬と関連がある 死亡とその内訳 |
9例(5.5%) ベスポンサ投与終了後のHSCT施行後に発現したVOD/SOS 5例(3.0%)、腸管虚血/敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、ベスポンサ投与終了後におけるHSCT施行後の多臓器不全 各1例(0.6%) |
3例(2.1%) 頭蓋内出血、多臓器不全、肺感染/呼吸不全 各1例 (0.7%) |
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本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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