Example
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、製品情報ページ をご参照ください。※ベスポンサページから離れます。
当院は年間に20~30人程度のALL患者を診療している。患者の年齢層は10代から90代まで幅広いが、平均年齢は60代と高齢であり、Ph染色体陽性の患者が多い。また、患者の半数以上が再発・難治例となる。
当院での初発のALL治療は、基本的にJapan Study Group for Cell Therapy and Transplantation(JSCT)の臨床研究のプロトコールに則っている。Ph染色体陰性ALLに対してはL-アスパラギナーゼを含んだ化学療法、Ph染色体陽性ALLに対してはチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)+ステロイドを第一選択とすることが多い。
当院は年齢によらず、患者の希望に即して積極的に造血幹細胞移植を実施する方針であるが、患者のperformance status(PS)や臓器障害の有無、全身状態を考慮すると、現実的には75歳程度が移植適応の上限となっており、全患者の半数程度で移植を選択できない。
再発・難治性ALLに対しては、移植歴の有無にかかわらず、適応があれば移植・再移植を検討する。移植が困難な場合は、入院・外来や治療の強度など、患者の希望に即した治療を考慮する。化学療法後の再発に対する薬物療法では、初回寛解維持期間にかかわらず、現在は抗体薬を第一選択としている。
当院では、根治を目指した積極的な治療を勧めているが、移植の適応対象外や、移植を望まない患者も少なくない。そのような移植を予定しない患者に対する治療においても、寛解を目指した疾患のコントロールが重要である。また、できるだけ寛解を継続し、患者のQOLを維持することも考慮する必要がある。
当院では、ALLの治療反応性の評価として、測定可能な残存病変(MRD)を重視している。Ph染色体陰性例でも、臨床試験に参加することで、MRDを複数回測定している。そうでない場合も、一連の治療が終了したタイミングでMRDを測定している。
再発・難治性ALLに対する抗体療法において寛解達成例ではMRD陰性も達成することが多いことを経験している。移植を行う際には、MRD陰性の状態で実施することで、より良好な治療効果が得られることが期待されている1)。当院でも移植前のMRD陰性達成を目指しているが、同時に移植のタイミングも重視しており、可能な限り早期に移植を実施している。
移植を実施しない患者でも、MRD陰性達成により長期寛解を期待できると考えている。しかしながら、MRDの測定には骨髄穿刺を実施することになるため、特に高齢の患者にとっては負担になると考えられる。したがって、高齢の患者では、末梢血中の白血球細胞の有無と臨床状態により、治療効果を評価することが多い。
今回は移植を選択しなかった再発・難治性ALLに対しベスポンサ治療を実施した症例を紹介する。
1例目は、70代の再発ALL患者(女性)である(図1)。Ph染色体陽性ALLと診断され、TKIによる治療と化学療法を開始し、約半年後に分子遺伝学的寛解を達成した。その後、TKIの内服を継続していたが、約2年後にMRDが陽性となった。2剤目のTKIに切り替えたが、約2ヵ月後に血液学的再発を認めた。高齢でPSも不良であったため、移植は選択せず、外来による化学療法を実施した。
このタイミングでベスポンサが使用可能となり、本症例はフローサイトメトリーでCD22陽性を確認していたことから、ベスポンサ治療に切り替えた。当院で最初のベスポンサ投与例であったため、入院による治療を行った。2サイクルで血液学的寛解を達成し、良好な患者状態を維持することができたが、MRDは残存していた。患者の自宅に帰りたいという強い希望で1度退院し自宅療養を経て、1ヵ月後に3サイクル目の投与のために再入院した。その際、血液学的に再発しており、CD22の発現も減衰していた。3サイクル目の投与は奏効せず、入院中に亡くなった。
ベスポンサ投与中は血球減少※1,2を認めたが、infusion reactionや腫瘍崩壊症候群、感染症の発現はなかった。
本症例ではPh染色体陽性で、複数のTKI投与後の再発例であったが、ベスポンサ治療により患者のQOL維持を考慮することができ、自宅に帰る時間を作れた点が有意義であったと考える。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、5.3、7.2.1、8.1、9.1.1、9.3.1、11.1.1、15.1.1参照]
2例目は、80代の再発ALL患者(女性)である(図2)。Ph染色体陽性ALLと診断されたが、高齢であったため化学療法は実施せず、TKIとステロイドによる初回寛解導入療法を実施した。血液学的寛解を達成したがMRDは陽性のままであり、T315I変異を認めたため、2剤目のTKIに切り替え、減弱化学療法も実施したが初回寛解から9ヵ月後に再発した。
それまでの使用経験や、週1回、1時間以上の点滴静注という投与方法の面からも使用しやすい印象があったため、 高齢である本症例にはベスポンサ治療を選択した。腫瘍崩壊症候群対策のため減弱化学療法によるdebulkingの後、ベスポンサ投与1サイクルでMRD陰性を達成し、3サイクル目までその状態が維持された。本症例は80代で、かつ遠方からの患者であったため、完全な外来投与は実施せず、1サイクルのうち投与を行う半月間は入院し、 残りの半月は退院するという方法を選択した。3サイクル目投与後の退院期間中に腰椎を圧迫骨折し、治療中断・転院となり、6ヵ月後にALLの増悪により亡くなった。
本症例は80代で、予後不良とされるT315I変異例であったが、1サイクルで寛解を達成し、臓器障害もなく治療を継続できた。MRD陰性を達成できていたこともあり、治療中断があったものの良好な疾患コントロールを実施でき、予後改善を施せた好例であると考える。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、5.3、7.2.1、8.1、9.1.1、9.3.1、11.1.1、15.1.1参照]
3例目は、60代の再発・難治性ALL患者(男性)である(図3)。Ph染色体陽性ALLの診断を受け、TKIと化学療法による初回寛解導入療法で寛解を達成した。移植を実施可能と判断し、移植を勧めたが、患者本人の強い希望により移植は行わず、薬物治療を継続した。3年11ヵ月後に再発し、減弱化学療法による対症療法を行うも、10ヵ月後に 症状が悪化し、難治例となった。
外来治療を強く希望していたことから、ベスポンサを選択した。根治よりも家族と一緒に過ごすことを望んでいたため、骨髄穿刺は実施せず、末梢血のみで治療効果をフォローした。減弱化学療法によるdebulkingとベスポンサ投与1サイクル目の初回投与のみ入院で実施し、その後は外来に移行した。1サイクルで血液学的寛解を達成し、維持していたが、4サイクル目終了時にLDHが上昇※3したため、ベスポンサによる治療を中止した。その後再発し、現在は化学療法を実施している。
本症例は、ベスポンサ治療により外来治療を実現し、家族との時間を過ごせたことから、患者にとって有意義な治療を提供できたと考える。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、5.3、7.2.1、8.1、9.1.1、9.3.1、11.1.1、15.1.1参照]
当施設ではベスポンサ投与に際して、腫瘍量が多い症例では腫瘍崩壊症候群対策としてdebulkingを考慮し、infusion reaction対策として抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛剤の前投与を実施する。また、移植例に比べて高くないものの、非移植例でも、類洞閉塞症候群(SOS)の発現リスク※3を考慮し、投与開始時に肝機能障害のある患者では使用を慎重に検討する必要があり、投与中は肝機能検査値の推移に注意が必要である。
外来治療を行う場合は、特に感染症に注意する必要がある。看護師などの医療スタッフとの連携を密にし、患者には体調に異変を感じたらすぐに連絡するよう指導している。
再発・難治性ALLで根治を目指すには移植を実施する必要があり、ベスポンサは国際共同第Ⅲ相試験(INO-VATE試験)において80.7%の血液学的完全寛解率が示されており2)、移植を目指した再寛解導入療法の有用な選択肢と考える。一方で、再発・難治症例の中には高齢や合併症、臓器障害を理由に移植適応外である患者や、移植よりも外来での治療を望む患者も存在する。外来治療が可能なベスポンサは、QOL維持を考慮しつつ寛解を目指すことができるため、そのような移植を選択しない症例に対しても、患者の希望に沿った治療を行うことができる治療選択肢である。
当施設における移植を選択しない再発・難治性ALLにおけるベスポンサ治療のポイント
●簡便な投与方法(週1回、1時間以上の点滴静注)から、外来治療が可能で患者希望に沿った治療ができる
●移植を予定しない場合も、寛解を目指した疾患のコントロールが重要であり、ベスポンサはINO-VATE試験で化学療法と比較し高い血液学的完全寛解率、MRD陰性化率(寛解達成例の76.7%)2)を示している
●外来治療中の副作用(特に、感染症や肝機能検査値など)に対処するため、医療スタッフとの連携・患者指導を徹底する
ベスポンサ投与後、好中球数の中央値はベースラインの1,500/µLから初回サイクル後の400/µLに減少しました。第3サイクルにはベースラインに近い値(1,190/µL)に、第6サイクルにはベースライン値まで回復しました(データカットオフ日:2016年3月8日)。
ベスポンサ投与後、血小板数の中央値はベースラインの54,000/µLから初回サイクル後の22,000/µLに減少しましたが、第2サイクルにはベースラインに近い47,000/µL値に、第3サイクルには65,500/µLとなり、その後のサイクルでは概ね一定の値となりました(データカットオフ日:2016年3月8日)。
日本人20名を含む再発・難治性のCD22陽性ALL患者326名を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(INO-VATE試験)においては、血液学的完全寛解(CR+CRi)率はベスポンサ群80.7%、標準化学療法群29.4%であり、ベスポンサ群の標準化学療法群に対する優越性が検証された(図4:片側p<0.0001[有意水準0.0125]、χ2検定)(試験概要・安全性は こちら を参照)。血液学的完全寛解(CR+CRi)を達成した患者の微小残存病変(MRD)達成率はベスポンサ群で76.7%でした(図5)。
OS期間の中央値(95%CI)は、ベスポンサ群で7.7ヵ月(6.0、9.2ヵ月)、標準化学療法群では6.7ヵ月(4.9、8.3ヵ月)であった。ハザード比(97.5%CI)(ベスポンサ群対標準化学療法群)は0.770(0.578、1.026)であったが、標準化学療法群に対するベスポンサ群の優越性は検証されなかった[図6:片側p=0.0203(有意水準0.0104)、層別log-rank検定]。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は 製品情報ページ をご参照ください。
承認時に国際共同試験及び海外試験の臨床成績が臨床パッケージとして審査・評価されました。一部、承認内容と異なる用法及び用量を含んだ解析成績が含まれています。
ベスポンサ群(164例) | 標準化学療法群(143例) | |
全副作用 | 144例(87.8%) | 130例(90.9%) |
主な副作用 | 好中球減少症63例(38.4%)、血小板減少症55例 (33.5%)、貧血33例(20.1%)等 |
血小板減少症71例(49.7%)、発熱性好中球減少症 65例(45.5%)、貧血60例(42.0%)等 |
グレード*3以上の 副作用 |
115例(70.1%) | 113例(79.0%) |
主なグレード3以上の 副作用 |
好中球減少症60例(36.6%)、血小板減少症40例 (24.4%)、白血球減少症29例(17.7%)等 |
血小板減少症70例(49.0%)、発熱性好中球減少症 64例(44.8%)、好中球減少症54例(37.8%)等 |
投与中止に至った 副作用 |
15例(9.1%) | 7例(4.9%) |
主な投与中止に至った 副作用 |
肺炎、血小板減少症、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、高ビリルビン血症、静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)† 各2例(1.2%)等 | 発熱性好中球減少症3例(2.1%)等 |
試験薬と関連がある 死亡とその内訳 |
9例(5.5%) ベスポンサ投与終了後のHSCT施行後に発現したVOD/SOS 5例(3.0%)、腸管虚血/敗血症性ショック、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、ベスポンサ投与終了後におけるHSCT施行後の多臓器不全 各1例(0.6%) |
3例(2.1%) 頭蓋内出血、多臓器不全、肺感染/呼吸不全 各1例 (0.7%) |
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本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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