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警告・禁忌を含む注意事項等情報は最新のDI情報をご参照ください。

一部承認内容と異なる用法及び用量を含んだ試験成績又は解析結果が含まれていますが、ここに記載されている試験は承認時評価資料及びその長期フォローアップデータのために記載します。

本試験の主要評価項目である奏効率(ORR)は、治験実施計画書で規定された最終解析である2022年6月17日時点でコホートA[BCMA標的治療歴なし]は61.0%(95%信頼区間:51.8-69.6)であり、帰無仮説(閾値ORR 30%以下)に対して統計的に有意でした(p<0.0001、片側正確二項検定)§。また、コホートB[BCMA標的治療歴あり]は29.7%(95%信頼区間:18.9-42.4)であり、帰無仮説(閾値ORR 15%以下)に対して統計的に有意でした(p=0.0021、片側正確二項検定)§。いずれのコホートに関しても帰無仮説が棄却され、真のORRが閾値ORRを上回ることが示されました。また、ORR及びその他の有効性の結果並びに安全性の結果について、ORRの最終解析時より長い追跡データである承認申請時の結果[最後の患者の初回投与から9ヵ月以上経過した時点(データカットオフ日:2022年10月14日)]を示します。追跡期間の中央値はコホートA[BCMA標的治療歴なし]で10.38ヵ月(範囲:0.23-20.14ヵ月)、コホートB[BCMA標的治療歴あり]で9.22ヵ月(範囲:0.33-12.32ヵ月)でした。なお、本試験は継続中です。
§本試験は、統計的に第1種の過誤、第2種の過誤を制御した解析として計画されましたが、同時対照群の比較試験でないため、検定結果は検証的なものではありません。
エルレフィオの臨床成績と多発性骨髄腫におけるチーム医療 
*エルレフィオの効能又は効果は、再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)です。
独立行政法人国立病院機構
渋川医療センター 副院長
松本 守生 先生
独立行政法人国立病院機構
渋川医療センター 血液内科 臨床研究部長
入内島 裕乃 先生
独立行政法人国立病院機構
渋川医療センター 看護部 副看護師長
本多 昌子 先生
 開催日  2025年7月28日  開催場所  ホテルグランビュー高崎

多発性骨髄腫は、近年、新薬の登場により治療選択肢が広がり、より広範な患者さんに対して治療が可能となってきた。その一方で、治療は長期にわたり、副作用管理や患者さんの心理的サポートが不可欠となる。今回、再発又は難治性多発性骨髄腫(RRMM)治療のチーム医療におけるエルレフィオ投与の実際と患者コミュニケーションのポイントについて、渋川医療センター血液内科の入内島裕乃先生と看護部の本多昌子先生にお話を伺った。本誌では、エルレフィオの臨床成績とともに紹介する。
エルレフィオの臨床成績Loading 多発性骨髄腫におけるチーム医療Loading
エルレフィオの臨床成績
MagnetisMM-3試験(国際共同第Ⅱ相試験:C1071003試験)
初回承認申請時 コホートA[抗B細胞成熟抗原(BCMA)標的治療歴なし]
独立中央判定(BICR)評価による奏効率(ORR:sCR+CR+VGPR+PR) (主要評価項目)
コホートA[BCMA標的治療歴なし]では、主要評価項目の奏効率(ORR)は、61.0%でした。VGPR以上の奏効は55.3%に認められました。安定(SD)は17.1%、疾患進行(PD)は17.9%、推定不能(NE)は4.1%でした。
抗腫瘍効果の評価は国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)規準1)に基づく。
*Clopper-Pearson法  **BICR評価による完全奏効率(CRR:sCR+CR)(副次評価項目)
(データカットオフ日:2022年10月14日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(初回承認時評価資料)
目的:
免疫調節薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)及び抗CD38モノクローナル抗体製剤(抗CD38抗体)のそれぞれ少なくとも1剤に対して治療抵抗性を示すRRMM患者を対象として、エルレフィオを単剤投与したときの有効性及び安全性を検討する。
試験デザイン:
非無作為化、非盲検、多施設国際共同、第Ⅱ相試験
対象:
BCMAを標的とした治療がエルレフィオ単剤投与の効果に及ぼす影響を検討するため、2つの独立した並行コホートを設定した。
123例にはエルレフィオ44mg投与後に76mgの週1回投与を受けた4例が含まれる。
試験方法:
エルレフィオを1日目に12mg、4日目に32mgを1日1回皮下投与し、8日目以降は4週間を1サイクルとして1日1回76mg(標準用量)を1週間間隔で皮下投与した。ステップアップ用量及び初回の標準用量の投与約60分前に前投与[アセトアミノフェン650mg(又はparacetamol 500mg)を経口、デキサメタゾン20mg(又は相当量)を経口又は静注及びジフェンヒドラミン25mg(又は相当量)を経口又は静注]を必須とした。少なくとも24週間(6サイクル)投与継続後にPR以上の効果が2ヵ月以上持続している場合、投与間隔を2週間間隔に変更した※2。また、2週間間隔投与を少なくとも6サイクル実施した場合、投与間隔を4週間に1回に変更することとした※3。エルレフィオの投与はPDの確定、許容できない毒性の発現、同意の撤回又は試験終了まで行うこととした。なお、プロトコルに2段階のステップアップ用量を導入する前にコホートAに組み入れられた最初の4例は、初回に44mg、8日目から76mgの週1回投与を受けた。
投与間隔を2週間間隔に変更後に腫瘍量の増加(IMWG規準にしたがってPDと判定するには至らない増加)が認められた場合は、投与間隔を1週間間隔に戻すこととした。治験実施計画書改訂第10版(2023年3月22日)では、投与間隔を2週間間隔から4週間間隔への変更を追加し、2週間間隔開始後に1週間間隔に戻す選択肢を削除した。主要評価項目の最終解析後に治験実施計画書を改訂(2023年3月22日)
評価項目:
[有効性]
主要評価項目<コホートA及びコホートB>
:BICR評価によるIMWG規準に従ったORR(sCR+CR+VGPR+PR)
重要な副次評価項目<コホートAのみ>:ベースライン時の髄外病変(EMD)の有無別のBICR評価によるIMWG規準に従ったORR
副次評価項目<コホートA及びコホートB>:IMWG規準に従った微小残存病変(MRD)陰性率、BICR評価によるIMWG規準に従った無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、CRRなど

[安全性]
有害事象をNCI-CTCAE Version 5.0を用いて評価し、サイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)のGradeはASTCT 20192)に準じて評価した。
有効性評価及び安全性評価※4は治験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての治験参加者187例を対象に行った。
安全性の集計結果については、エルレフィオ44mgの投与後に76mgの週1回投与を受けたコホートAの4例を除いた(承認外の用法及び用量に該当するため)183例を示す。
解析計画:
●コホートA及びコホートBの目標症例数は、正確二項分布に基づく2段階デザインを用いて、2つのコホートで別々に主要評価項目であるORR(BICR評価)に関する統計学的仮説を検定したとき十分な検出力が得られるように設定した。
●主要評価項目であるORR(BICR評価)の各コホートの最終解析は、すべての対象症例がベースライン以降に少なくとも2回奏効評価を行った時点、又は投与開始後2ヵ月以内に奏効評価を中止した時点で実施することとした。
●主要評価項目であるORR(BICR評価)はClopper-Pearson法により両側95%信頼区間を算出し、コホートAでは、閾値ORR30%以下となる帰無仮説に対する片側p値、コホートBでは、閾値ORR15%以下となる帰無仮説に対する片側p値を算出した。さらにVGPR以上(sCR+CR+VGPR)を算出し、Clopper-Pearson法により両側正確95%信頼区間を算出した。
●コホートAでORR(BICR評価)の帰無仮説が棄却された場合、重要な副次評価項目である、ベースライン時にEMDのない対象症例でのORR(BICR評価)を38%以下とした帰無仮説に対して、ゲートキーピング法を用いて片側有意水準0.025で階層的に検定することとした。コホートAのベースライン時にEMDのない対象症例でORR(BICR評価)の帰無仮説が棄却された場合、重要な副次評価項目である、ベースライン時にEMDを有する対象症例でのORR(BICR評価)を12%以下とした帰無仮説に対して、ゲートキーピング法を用いて片側有意水準0.025で正確二項検定を用い、階層的に検定することとした。
●主要評価項目であるコホートAのORR(BICR評価)は中間解析を実施するため、主要評価項目の片側有意水準0.025は最終解析時点では0.0202となっている。
●副次評価項目であるTTR(BICR評価)は記述統計により要約し、CR以上の奏効が得られるまでの期間も同様に要約した。DOR(BICR評価)、PFS(BICR評価)、OSはKaplan-Meier法を用い、3、6、9、12ヵ月時点(以降6ヵ月毎)の奏効持続確率、3、6、9、12、15、18、24ヵ月時点(以降12ヵ月毎)のイベントフリー確率及び9、12、24、36ヵ月時点(以降12ヵ月毎)の生存確率を対応する両側95%信頼区間とともに推定した。
●副次評価項目であるCRR(BICR評価)はCR以上(sCR+CR)を算出し、Clopper-Pearson法により両側正確95%信頼区間の算出を事前に規定した(EMD有無別の評価も含む)。
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(初回承認時評価資料)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(一部変更承認時評価資料)
長期フォローアップについては、事前に規定された解析ではないものの、エルレフィオの用法及び用量を2週に1回投与(Q2W)から4週に1回投与(Q4W)への変更を可能とする一部変更申請にあたって事後に解析しました。承認申請の過程で評価を受けた結果であるため記載します。
長期フォローアップ コホートA[BCMA標的治療歴なし]
BICR評価によるPFS(Kaplan-Meier法)
長期フォローアップのコホートAにおけるBICR評価によるPFS中央値は17.2ヵ月(95%信頼区間:9.8ヵ月-NE)でした。
初回承認申請時のBICR評価によるPFS中央値は未到達(95%信頼区間:10.4ヵ月-NE)でした(データカットオフ日:2022年10月14日)。
(データカットオフ日:2024年3月26日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(一部変更承認時評価資料)
長期フォローアップ コホートA[BCMA標的治療歴なし]
OS(Kaplan-Meier法)
長期フォローアップのコホートAにおけるOS中央値は24.6ヵ月(95%信頼区間:13.4ヵ月-NE)でした。
初回承認申請時のOS中央値は未到達(95%信頼区間:NE-NE)でした(データカットオフ日:2022年10月14日)。
(データカットオフ日:2024年3月26日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(一部変更承認時評価資料)
初回承認申請時 主な副作用(全Gradeでの発現率:10%以上)
初回承認申請時における主な副作用として、CRS(57.9%)、好中球減少症(36.1%)、貧血(26.8%)などが発現しました。
GradeはNCI-CTCAE Version 5.0に準じる。CRSのGradeはASTCT 20192)に準じて評価した。
(データカットオフ日:2022年10月14日)
重篤な副作用※2は183例中54例(29.5%)に認められ、内訳はCRS 23例(12.6%)、肺炎6例(3.3%)、貧血5例(2.7%)、発熱性好中球減少症4例(2.2%)、発熱、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎各3例(1.6%)、好中球減少症、血小板減少症、副鼻腔炎、細菌性肺炎、腎盂腎炎、ICANS各2例(1.1%)、純赤血球無形成、狭心症、急性心不全、めまい、出血性下痢、注射部位反応、低γグロブリン血症、蜂巣炎、敗血症、サイトメガロウイルス感染再燃、器具関連菌血症、大腸菌尿路感染症、ヘルペスウイルス感染症、クレブシエラ性敗血症、パルボウイルスB19感染、サイトメガロウイルス性肺炎、シュードモナス性肺炎、ウイルス性肺炎、敗血症性ショック、ブドウ球菌性菌血症、ブドウ球菌性敗血症、溶連菌性敗血症、成長障害、低カリウム血症、腫瘍崩壊症候群、関節痛、骨痛、筋炎、リウマチ性多発筋痛、サルコペニア、運動失調、ギラン・バレー症候群、錯乱状態、急性腎障害、呼吸困難、低酸素症、肺臓炎が各1例(0.5%)でした。
死亡に至った副作用※2はシュードモナス性肺炎、成長障害†、敗血症性ショック各1例(0.5%)でした。
投与中止に至った副作用※2は15例(8.2%)であり、内訳はICANS 2例(1.1%)、好中球減少症、血小板減少症、発熱性好中球減少症、CRS、サイトメガロウイルス感染再燃、クレブシエラ性敗血症、サイトメガロウイルス性肺炎、シュードモナス性肺炎、敗血症、敗血症性ショック、血中アルカリホスファターゼ増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、筋肉減少症、ギラン・バレー症候群、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、多発ニューロパチー、呼吸困難、気道の炎症が各1例(0.5%)でした。
※1:エルレフィオの投与を少なくとも1回受けたすべての治験参加者187例のうち、エルレフィオ44mg投与後に76mgの週1回投与を受けたコホートAの4例を除いた患者
※2:MedDRA Version 25.0
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(初回承認時評価資料)
長期フォローアップ 主な副作用(全Gradeでの発現率:25%以上)
長期フォローアップにおける主な副作用として、CRS(57.9%)、好中球減少症(36.6%)、貧血(26.8%)などが発現しました。
●重篤な副作用:64例(35.0%)
CRS 23例、肺炎8例、貧血5例、発熱性好中球減少症4例(4例以上)
●死亡に至った副作用:6例(3.3%)
シュードモナス性肺炎、成長障害、敗血症性ショック、心停止、アデノウイルス感染、アデノウイルス性肺炎、アデノウイルス性肝炎 各1例
●投与中止に至った副作用:31例(16.9%)
末梢性感覚ニューロパチ-4例、好中球減少症、ICANS、末梢性運動ニューロパチー 各2例(2例以上)
GradeはNCI-CTCAE Version 5.0に準じる。
CRSのGradeはASTCT 20192)に準じて評価した。
※:エルレフィオの投与を少なくとも1回受けたすべての治験参加者187例のうち、エルレフィオ44mg投与後に76mgの週1回投与を受けたコホートAの4例を除いた患者
† MedDRA PT term “failure to thrive”、成人においては全体的な衰弱(NIH. National Cancer Institute. NCI thesaurus.
   https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/ConceptReport.jsp?dictionary=NCI_Thesaurus&ns=ncit&code=C107587(2025年8月閲覧))
(データカットオフ日:2024年3月26日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(一部変更承認時評価資料)
参考文献
Kumar S, et al.:Lancet Oncol 17(8):e328, 2016(PMID:27511158)(著者にファイザー社よりコンサルタント料を受領している者が含まれる)Lee DW, et al.:Biol Blood Marrow Transplant 25(4):625, 2019(PMID:30592986)(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
2025年10月作成 ELR39P050A
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