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VYNDAQEL (tafamidis) 61 mg is indicated for the treatment of wild-type or hereditary transthyretin amyloidosis in adult patients with cardiomyopathy (ATTR-CM). VYNDAQEL (tafamidis meglumine) 20 mg is indicated for the treatment of transthyretin amyloidosis in adult patients with stage 1 symptomatic polyneuropathy (ATTR-PN) to delay peripheral neurologic impairment. [INDICATION TO BE UPDATED BY LOCAL MARKET.]
2023年6月28日(水)
福井大学医学部 分子病理学分野 教授
内木 宏延 先生
現在、アミロイドーシスに関する調査研究班では、全国10施設が協力して病理ワーキンググループを構築しており、オリジナルの抗体を共有することにより診断精度の均てん化を行っている1)。加えて、免疫組織化学染色にて病型が判明しない場合は、信州大学、熊本大学、日本医科大学にてプロテオーム解析を行い、最終的に病型を診断する体制をとっている。
1) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 アミロイドーシスに関する調査研究班 http://amyloidosis-research-committee.jp/consultation/ 資材作成月参照
注意:上記Webページの印刷物を提供する事はできません。
2020年、米国心臓協会(American Heart Association:AHA)がトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の診断アルゴリズムをステートメントとして発表している2)。この診断アルゴリズムでは、心アミロイドーシスを疑った場合、初めにM蛋白を確認すると記載されている。M蛋白が陽性の際は速やかに血液内科にコンサルトし、うっ血性心不全などを発症している場合は心筋生検を実施する。M蛋白が陰性の際は99mTc-ピロリン酸シンチグラフィの実施が可能であるならば実施し、結果が陽性の場合はノンバイオプシーでATTR-CMと診断することが可能である。
2)Kittlesson,M.M. et al.:Circulation 142(1):e7, 2020
こちらはアミロイドーシスに関する調査研究班が4年4ヵ月で検査した心筋生検の診断件数である。灰色のバーが、各月に研究班で受け付けた心筋生検数、赤色のバーがコンゴーレッド陽性件数、青色のバーが免疫組織化学染色においてATTR陽性件数を示している。心筋生検は2208件受け付け、1503件(68.1%)がATTR陽性であった。最初の12ヵ月と最後の12ヵ月を比較すると心筋生検数は4倍に増えており、ATTR陽性件数は4.9倍に増えている。
また、2019年以降、保険医療制度上のイベントの発生に合わせて3つの山が見て取れる。
第1の山は2019年4月であり、タファミジスメグルミンがトランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)に適応拡大されたことによって治療への機運が高まり、心筋生検の実施数が増加したと考えられる。第2の山は2020年10月であり、99mTc-ピロリン酸シンチグラフィが55年通知によって心アミロイドーシスの診断に使用された場合においても保険償還されるようになり、心筋生検の確度が上昇し、心筋生検の実施数が増加したと考えられる3)。第3の山は2022年2月であり、99mTc-HMDPシンチグラフィが55年通知によって心アミロイドーシスの診断に使用される場合においても保険償還されるようになったことで更に心筋生検の実施数が増えたと考えられる4)。
2022年3月に日本循環器学会が発表したATTR-CM患者へのタファミジス処方数の全国集計は1450例であった5)。一方、2018年から蓄積しているアミロイドーシスに関する調査研究班のデータを集計すると、心筋生検によってATTR陽性が証明され、ATTR-CMと診断された患者は1503例であり、心筋生検以外の生検も含めると2261例であることから、タファミジス処方患者の大部分をカバーしていると考えられる。このデータは全国の循環器内科医と病理医が協力することで集められた非常に貴重な日本のデータであると考える。
3)令和2年10月26日付「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」(保医発1026第1号)
4)令和4年2月28日付「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」(保医発0228第1号)
5)Naiki,H. et al.:Amyloid 30(3):321, 2023
国際アミロイドーシス学会は現在、世界各国でどのように病型診断がなされているか、調査を行っている。このほか、シンチグラフィの視点から見てAHAの診断アルゴリズムが世界でどう運用されているかという調査や、 AHAのアルゴリズムに従って診断したが病型が誤っていたケースを検証する研究が進行中である。これらを通じて、日本の病型診断が世界とどう違うか、特長が鮮明になると考えられる。
日本では心症状と心肥大があり、アミロイド沈着陽性、ATTR陽性という基準を満たさなければ、タファミジスメグルミンを投与できない。一方、世界ではM蛋白陰性、 99mTc-ピロリン酸または99mTc-HMDPシンチグラフィ陽性、すなわち改訂診断基準におけるProbableであれば生検・免疫組織化学染色なしで投与できる6)7)。日本では確定診断が必要だが今後、Probableであれば生検・免疫組織化学染色なしでタファミジスメグルミンの投与が可能となるデータを創出することが重要である。
6)Kittlesson,M.M. et al.:Circulation 142(1):e7, 2020
7)Garcia-Pavia,P. et al.:Eur Heart J 42(16):1554, 2021
トランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われたら、認定施設までご相談ください。
臨床徴候や検査所見などからトランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われる、あるいはトランスサイレチン型心アミロイドーシスの可能性が否定できない場合は、生検および染色などの専門的な診断が必要となります。日本循環器学会の認定施設への紹介をご検討ください。
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