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Settling Behavior

監修:福岡大学 消化器内科 主任教授 平井 郁仁 先生

“Settling”とは

“Settling”とは理想的ではないが、我慢できなくもないものを受け入れることです。これは、人間の自然な感情ですが、治療においては好ましいものではありません。

“Settle”を辞書で引くと…

  • 何かについて合意に達すること。
  • より堅実なライフスタイルを取り入れること。

“Settling”とは我慢することはできるが、理想的ではないものを受け入れること。

“Settling”とは人間の自然な感情で、我々は最善ではないものでも受け入れることがある。

  • “新車が欲しいけど、今回は中古で我慢する。”
  • “本当は大きな家が欲しいけど、今の住まいで我慢する。”
炎症性腸疾患(IBD)における“Settling”とは

炎症性腸疾患(IBD)における“Settling”については、共通の文言で表現はされていませんが、多くのIBDに関する論文で“Settling”について触れられています。“Settling”は患者だけではなく、医師にも当てはまります。患者においては好ましくない症状を受け入れることがありますし、医師では患者の生活の質には注意を払わなくなること等があります。

共通の文言で表現はされていませんが、
多くのIBDに関する論文で“Settling”について触れられています。

患者にとって“Settling”とは

  • 疾患の好ましくない側面(例:痛み、疲労)を受け入れる。1)
  • “寛解”しても、1日に何度もトイレに行っている。2)
  • 最適ではない治療を受け入れている。3)
  • 疾患により日々の生活や仕事が制約されることを受け入れている。2)

医師にとって“Settling”とは

  • 長期に亘る治療の過程で患者ケア全体に対するフォーカスが薄らぐ。4)
  • 疾患に関わる説明に十分な時間を確保できていない。4)
  • 疾患に起因する生活の質にまでは注意が払えていない。3),5)
  • 症状に対する患者の考えや思いまでは十分に聞き取れていない。3),5)
最適でない治療と“Settling”は双方向に影響を及ぼす

最適でない疾患管理を受けることで患者が“Settling”な状態になる可能性が報告されています。
また、”Settling”な状態になると、より効果的な治療を求めなくなり、さらに不十分な治療を受ける、あるいは継続される可能性が高くなることが示唆されています。

グローバル調査『UC narrative』
対象と方法:2017年8月~2018年2月にかけて、10か国(オーストラリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)のUC患者2100名及び医師1254名に対し、診断、治療、患者QOLへの影響を含むUCに関するアンケート調査を行った。
  • 寛解状態にあると考えている患者が、トイレに行った回数は、調子がよく最も少ない日で平均3.3回、調子が悪く最も多い日で平均8.9回であった。6)
  • 寛解状態にあると考えている患者の81%が、UCは仕事に影響を与えていると感じており、UCの症状のために年間で平均7.3日欠勤した。6)
  • 患者は最適ではない治療により痛みが長引くと、疲労感や敗北感を感じる。これが、医師への相談時に効果的なコミュニケーションの障害となることがある。1)
患者と医師のコミュニケーション不足は患者が“Settling”する原因となる

患者は、病気が自分の人生に与える影響について、直接聞かれない限り話さないことがあります。
患者が医師に症状を報告しないことは、更なるQOLの低下につながり、そして患者がその状態を受け入れるという悪循環が生まれる可能性があります。

医師に病状を報告しない

QOLが低下する

患者は「最適」の基準を下げた
ニューノーマルに“Settling”する
  • 患者と医師のコミュニケーションが不十分だと、アドヒアランス不良のリスクが高くなる。8)
  • 34%の患者が再燃に関する医師との話し合いに消極的である。7)

米国調査『the UC:NORMAL』によると

  • 医師は、患者が思っているよりも疾患管理がうまくいってると考えている。7)
  • 患者は、医師よりも寛解の基準を低く設定している。7)
  • 一部の医師では、患者はUCが生活に与える影響を過大に申告している、または患者を完全に満足させるのは難しいと回答した。7)
米国調査『the UC:NORMAL』
対象と方法:2007年2月〜3月にかけて、米国のUC患者451名に対し、患者QOLへの影響を含むUCに関するアンケート調査を行った。
「潰瘍性大腸炎 治療に関する質問票」の活用

この質問票は、医師が患者さんの“Settling”な状態を判断し、また患者さんご自身もそのことに気づく機会となることを目的としています。患者さんと医師の効果的なコミュニケーションを促進し、より良い治療の実現を目指すためにも、この質問票をぜひご活用ください。

患者さんの「大丈夫です」は、ホントに大丈夫?

患者コミュニケーションシート
「潰瘍性大腸炎 治療に関する質問票」

監修:福岡大学医学部 消化器内科 主任教授 平井 郁仁 先生

この質問票は、PfizerPROでダウンロードできます。先生方の日常診療で、ぜひご活用ください。

  • 診察の前に、患者が相談したい内容を整理することができる質問票です。
  • 医師が患者の“Settling”な状態を判断すること、そして患者自身の気づきにつなげることを目的としています。
  • 患者と医師の効果的なコミュニケーションを促進し、より良い治療の実現を目指します。
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Sweeney, L. et al.:Br J Pain 13(4):201, 2019Molander, P. et al.:Scand J Gastroenterol 54(7):869, 2019Rubin, D. T. et al.:Inflamm Bowel Dis 23(4):494, 2017Ha, J. et al.:The Ochsner Journal 10:38, 2010Rubin, D. et al.:Inflamm Bowel Dis 27(7):1096, 2021Dubinsky, M.C. et al.: Inflmm Bowel Dis pii:izab016, 2021Rubin, D. T. et al.:Inflamm Bowel Dis 15(4):581, 2009Plevinsky, J. M. et al.:Clin Exp Gastroenterol 9:259, 2016
2024年8月作成 XUC37M001B
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