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がん薬物治療に伴うAEマネージメント

第1回 骨髄抑制Kicker

診療准教授
勝屋 弘雄 先生
佐賀大学医学部付属病院 血液・呼吸器・腫瘍内科

がん薬物療法による骨髄抑制は、高頻度にみられる有害事象の一つであり、発熱性好中球減少症や血小
板減少症による出血は致命的になることもある。そのため、抗がん剤治療では、骨髄抑制を正しく理解、管理することが求められる。
今回、佐賀大学医学部附属病院の勝屋弘雄先生より、がん薬物治療に伴う好中球減少、血小板減少、貧血といった骨髄抑制に対するマネージメントについて解説いただいた。

がん薬物療法による骨髄抑制について

がん薬物療法による骨髄抑制は、高頻度に見られる有害事象の一つであり、発熱性好中球減少症や血小板減少による出血は、時として致命的な経過をたどる。治癒を目指せる腫瘍では、薬剤の減量や次の治療の遅延は治癒率低下につながる。そのため、骨髄抑制を正しく理解し、管理することは抗がん剤治療をする上で最も重要となる。

がん薬物療法による好中球減少と発熱性好中球減少症

殺細胞性抗がん剤による骨髄抑制の時期は、好中球と血小板数は通常1~2週間で急激に低下して回復する。一方、赤血球数は緩徐な低下が認められる。このように好中球減少に先立って単球が減少することから、単球の変動は好中球の予測に用いることができる。また、好中球減少で最も注意が必要なのが発熱性好中球減少症(Febrile Neutropenia:FN)である。FNは、①好中球数が500/μL未満、かつ②腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱と定義されている1)

発熱性好中球減少症の初期対応として、まずは問診と診察、口腔から肛門、足先までしっかり診察することが大切である。これ
によって腹部症状、肛門周囲膿瘍、蜂窩織炎などを見過ごさないように診察することが必要である。また、白血球分画を含む血算や、腎機能、電解質、肝機能を含む血清生化学検査を実施する。それと同時に、抗菌薬開始前に2セットの血液培養検査を異なる部位から施行する。感染が疑われる部位に関しては、培養検査ができるもの、尿や喀痰は培養検査を提出する。呼吸器症状などがある場合は、胸部レントゲン、必要時はCT検査を検討する。

発熱性好中球減少症の重症化リスクとして、MASCC(Multinational Association for Supportive Care in Cancer)スコアがある。臨床症状などの項目が示されており、スコアの合計が20点以下は高リスクとなる2)。なお、MASCCスコア以外の
重症化リスク因子として、臓器障害、強い消化管粘膜障害、FNの既往、長い好中球減少期間が予想される場合などがあり、これらについては高リスクとして対応することが必要である。

発熱性好中球減少症の経験的治療で最も大切なのは、血液培養採取後、その結果を待たずに、早急に抗菌薬投与を開始することである。MASCCスコアで高リスクのFN患者では、抗緑膿菌作用を有するβ-ラクタム薬の単剤治療を行う。また、低リスクのFN患者では経口抗菌薬による治療も可能である。

表1 発熱性好中球減少症重症化リスク評価のためのMASCCスコア

発熱性好中球減少症発症時のG - C S F(Granulocyte Colony Stimulating Factor:顆粒球コロニー形成刺激因子)の治療投与では、ルーチンでの使用投与は推奨されていないが、(表2)に示す重症化リスク3)がある場合には、FN発症時にG-CSFの治療的投与を行う。なお、G-CSF製剤の一時予防的投与は、FN発症リスクを低下させることが目的であり、好中球数を増加させることが目的でないことに注意が必要である。投与開始は、好中球数が低下する前に行い、化学療法終了から24~72時間の間にG-CSF投与を開始することが必要である。

表2 発熱性好中球減少症の重篤化リスク
がん薬物療法による血小板減少

通常、血小板減少のピークは1~2週間で起こり、網血小板から低下が認められることから、網血小板数を血小板減少予測の指標として用いることができる。ただし、予期せぬ時期の血小板減少や遷延する場合には、他疾患との鑑別が必要である。
血小板減少症において、鑑別が必要なものとして偽性血小板減少、血小板産生減少、血小板破壊亢進がある。そして、血小板減少の頻度が高い代表的な化学療法レジメンを用いる場合は注意が必要である。

血小板減少の治療は輸血となる。血小板減少輸血のトリガー値は1万/μLが推奨されている。ただし、最近の出血エピソードなどがある場合には、血小板輸血トリガーの値は2万/μLとなる(表34)。血小板輸血は患者の状態や医療環境に即し、臨機応変に対応すべきである。

表3 血小板輸血トリガー値 2万/μLを提案する場合
がん薬物療法による貧血

貧血は抗がん剤の投与により緩徐に進行する。悪性リンパ腫や婦人科・泌尿器系の腫瘍では貧血の頻度が高くなっている。抗がん剤による骨髄抑制以外に、貧血となる他の疾患を合併していることも多く、鑑別が必要となっている。

貧血の鑑別をする場合に最も大切な検査は、網赤血球の確認することである。網赤血球が上昇している場合、消費の亢進を示す。そのため、出血を考慮して出血源検索が必要となる。また、薬剤による骨髄抑制の回復期でも網赤血球の上昇が認められる。すなわち、骨髄抑制回復期ではないときに、網赤血球増加を伴う貧血が出現した場合、溶血所見と出血源の確認が必要となる。

なお、網赤血球が正常~低下の場合、小球性(MCV<80)、正球性(MCV80~100)、大球性(MCV>100)に分けた鑑別が必要となる。小球性の場合、長期の抗がん剤治療や慢性出血による鉄欠乏性貧血、慢性炎症による続発性貧血などと鑑別をする。
正球性の場合、抗がん剤による薬剤性の骨髄抑制、骨髄がん腫症、慢性炎症による続発性貧血などと鑑別をする。大球性の場合、胃全摘後や高齢者などでみられる巨赤芽球性貧血、また長期間の抗がん剤治療による骨髄抑制などと鑑別をする。

貧血の治療では、赤血球輸血が行われる。赤血球輸血のトリガー値は、ヘモグロビン7~8g/dLが推奨されている。ただし、ヘモグロビン値が7g/dL以上でも、心疾患、慢性肺疾患、脳卒中などの併存疾患を有する場合や、持続する頻脈、頻呼吸、胸痛、息切れ、失神、立ちくらみ、日常生活に支障が出るような倦怠感、このような貧血症状を有する場合も、輸血の適応となる。

まとめ

好中球減少症では単球減少が好中球減少の予測になる。FNでは血液培養採取後、結果を待たずに早急に抗菌薬投与を行うことが必要である。FNの発症率が20%以上、または10~20%で発症リスクを有する場合は、G-CSF製剤の一次予防的投与が推奨される。
また、血小板減少症では、予期せぬ時期の血小板減少や、血小板減少が遷延する場合は、他疾患の鑑別が必要となる。

貧血では、網赤血球数が上昇している場合には、出血源の精査と溶血の鑑別が必要になる。

<参考文献>
1) 日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症(FN) 診療ガイドライン(改訂第2版), p.2, 南江堂,2018
2) Klastersky, J. et al. :J Clin Oncol 2000; 18: 3038, 2000
3) NCCNガイドライン 2022年版
4) 高見昭良ほか:科学的根拠に基づいた血小板製剤の使用ガイドライン:2019 年改訂版:日本輸血 細胞治療学会誌 2019;65:544-561

2023年●月作成 ONC39N013C
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