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小児神経因性膀胱の診療の流れについて、「新生児期・乳児期に診断された二分脊椎患児の下部尿路機能障害診療アルゴリズム」、「晩期に発見された潜在性二分脊椎患者の下部尿路機能障害診療アルゴリズム」の2つのアルゴリズムを紹介します。
▼ 小児神経因性膀胱の特徴
▼ 二分脊椎とは
▼ 二分脊椎に伴う泌尿器科領域の病態(合併症)
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会編集:二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2017年版] 1 リッチヒルメディカル株式会社:6, 2017
本アルゴリズムでは新生児期または乳児期に専門医にコンサルテーションされた囊胞性二分脊椎(脊髄髄膜瘤 他)および脊髄脂肪腫とこれに伴う脊髄円錐部低位が確認された潜在性二分脊椎の患児を想定している。この時期以降にコンサルテーションされた患者についても、このアルゴリズムを参考に診療を行う。
病歴聴取、腰仙髄領域の神経学的診察を中心とした身体所見、尿検査、尿培養、排尿記録、腎尿路超音波検査、残尿測定(膀胱の過伸展状態の評価)、血清クレアチニン測定
水腎症、残尿が多いことが推測される持続的な膀胱過伸展状態、症候性尿路感染のいずれかを認める場合には可及的すみやかに清潔間欠導尿(clean intermittent catheterization:CIC)を開始する。いずれも認めなかった場合には自排尿とするが、最終的な尿路管理法決定まで腎障害・尿排出障害・症候性尿路感染の発生の有無を定期的に評価する。自排尿としての手圧排尿(bladder expression)は原則的に推奨しない。
囊胞性二分脊椎の新生児では閉鎖術後6~12週を目安に実施する。透視下に実施することが困難な場合には、排尿時膀胱尿道造影と尿流動態検査を別々に行ってもよい。
排尿筋過活動、低コンプライアンス膀胱(<10mL/cmH2O)、排尿筋括約筋協調不全、排尿筋漏出時圧高値(>40cmH2O)、膀胱尿管逆流(VUR)などが腎障害・症候性尿路感染の危険因子となる。VURや水腎症、症候性尿路感染を認めた場合には腎シンチグラフィーの実施を考慮する。
腎障害・症候性尿路感染の危険因子を認めた場合には、原則的に「予防的介入療法」の立場をとりCIC を導入する。尿流動態検査の所見によっては抗コリン薬の併用を考慮する。VURを認めるCIC管理中の患者に対する抗菌薬の予防投与は一律に行うべきではない。
腎障害や症候性尿路感染の危険因子を認めるにもかかわらず諸般の事情でCICが実施できない場合、特に腎障害がすでにあるか症候性尿路感染を反復する場合にはcutaneous vesicostomy(膀胱皮膚瘻造設術)を検討する。
本邦における承認外の情報を含みます。詳細については各薬剤の電子化された添付文書または電子添文をご確認ください。
危険因子を認めない場合には自排尿で経過観察とするが、将来的にCICが必要になる可能性(例:尿失禁に対する手術療法実施後)やCICが尿禁制にも寄与する可能性を期待してCICを導入してもよい。ただし、回数に関しては、介護者の負担を考慮の上、患者ごとに慎重に検討する。
少なくとも3~4カ月ごとに問診、排尿記録(CIC施行例では導尿の記録)、尿検査を実施する。腎尿路超音波検査は小児期には6カ月ごと、成人では年1回実施する。
透視下尿流動態検査は囊胞性二分脊椎においては学童期までは年1回、学童期から思春期は隔年での実施を目安として患者ごとに適宜調整する。成人では患者ごとに実施の必要性を検討する。一方、脊髄脂肪腫が確認された二分脊椎については、病態に幅があることを考慮し、被曝と侵襲性の問題から患者ごとに実施の必要性やその頻度を検討する。
CICの導入、CICの実施状況の確認と再指導、抗コリン薬の開始や投与量の再検討、服薬状況の確認と服薬指導、夜間の膀胱過伸展防止目的の間欠式経尿道的留置カテーテルの導入などを検討する。二次性脊髄係留症候群が関与する場合もあるので、検査所見によっては脊髄MRIの実施や脳神経外科へのコンサルテーションを考慮する。
膀胱拡大術は、保存的な尿路管理内容の調整を最大限行っても高圧蓄尿状態が改善しない場合に適応となる。尿道の閉鎖機能障害のために将来的に尿失禁も問題となると考えられた場合には、尿失禁防止術の併用を検討する。
なお、将来的に固有尿道からの自己導尿が困難であると予想される場合には腹壁導尿路の造設も考慮する(14参照)。また、難治性の便失禁を有する場合には順行性洗腸用のストーマ造設の適応・併用実施も検討する。
年齢などの観点から膀胱拡大術が困難と考えられる場合にはcutaneous vesicostomy が選択肢になりうる。
難治性排尿筋過活動が適応となるが、本邦では成人(15歳以上)にのみ承認されている。
学童期から思春期に至っても生活上問題となる尿失禁が残存し、患者が治療を希望する場合には尿失禁に対する積極的治療を考慮する。ただし、まず尿路管理内容の調整(9参照)を行い、改善の有無を確認する。
尿失禁防止術の成績は術式、性別、膀胱拡大術併用の有無によって異なるので、術前の検査所見に基づいて術式を慎重に選択する。また、尿失禁防止術のみを実施した場合には、術後の腎障害の発生に注意して経過観察を行う必要がある。
学童期以降の二分脊椎患者では原則的にCICの実施が必要となる。しかし、股関節開排制限、体幹変形、導尿時の尿道痛などのために固有尿道からの自己導尿が困難な場合には腹壁導尿路の造設を検討する。
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会編集:二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2017年版] 1 リッチヒルメディカル株式会社:10, 2017
本アルゴリズムでは幼児期~思春期に難治性の下部尿路症状または反復性尿路感染で専門医にコンサルテーションされた潜在性二分脊椎患者を想定している。
基本評価として、病歴・下部尿路症状・排便症状の聴取、性機能の聴取(思春期以降)、日本語版DVSS*、腰仙部の外表異常の評価と腰仙髄領域の神経学的診察を中心とした身体所見、尿検査、尿培養(必要時に)、排尿記録、腎尿路超音波検査、残尿測定を行い、非侵襲的尿流動態検査として尿流測定を行う。
*DVSS:Dysfunctional Voiding Symptom Score
尿流測定上、bell-shaped curve で残尿を認めず、腎尿路超音波検査で形態的な異常を認めない場合には神経因性下部尿路機能障害(neurogenic lower urinary tract dysfunction:NLUTD)の可能性は低いと判断する。NLUTD以外の尿路疾患の精査を行い、診断を確定した上で適切な治療を行う。NLUTDの可能性が高いと判断した場合には、この時点で脳神経外科あるいは整形外科へのコンサルテーションを考慮してもよい。
NLUTDの可能性が高いと判断された場合には尿流動態検査を施行する。可能であれば透視下に実施するが、困難な場合には、排尿時膀胱尿道造影と尿流動態検査を別々に行ってもよい。尿流動態検査所見が難治性の下部尿路症状や反復性尿路感染を説明しうる所見であることが重要である。VUR、反復性尿路感染、水腎症を認めた場合には腎シンチグラフィーを行う。透視下尿流動態検査所見上NLUTDの可能性が高いと判断した場合には脳神経外科あるいは整形外科へのコンサルテーションを考慮する。
腰仙部の外表異常と腰仙髄領域の神経学的診察で異常を認めるなど、二分脊椎に伴うNLUTDが疑われた場合には脊髄MRIをチェックする。
進行性の神経症状を呈し、脊髄MRI上、先天性皮膚洞、腰部脂肪腫、終糸肥厚症、割髄症などによる脊髄係留が存在すると考えられた場合には、脊髄係留症候群によるNLUTDの可能性が高いと診断し、脳神経外科あるいは整形外科など当該科へのコンサルテーションを早急に行う。
一方、脊髄MRIで、上記の潜在性二分脊椎に関連する病変は存在しても有意な脊髄係留を認めない場合、単なる椎弓の癒合不全のみを認める場合、あるいは脊髄MRIで異常を認めない場合には、他の原因によるNLUTDあるいは他の尿路疾患を含めた精査を行い、診断を確定した上で適切な治療を行う。なお、これらの症例の中には、乳児期からのsubclinicalなNLUTDが見過ごされていて、その影響が蓄積された結果として、幼児期~思春期にNLUTDが顕在化したと考えられる症例もある。そのことも念頭に当該科と緊密に連携をとりながら診断を確定することが重要である。
排尿管理法としては自排尿とCICに大きく分かれる。安全な排尿であるかを評価していずれの尿路管理法を選択するか検討する。安全な排尿の暫定的な基準としては、低コンプライアンス膀胱(<10mL/cmH2O)、排尿筋括約筋協調不全、排尿筋漏出時圧高値(>40cmH2O)、高圧の排尿筋過活動、VURといった二分脊椎における腎障害の危険因子をいずれも有さないことに加え、残尿なし、膀胱変形なし(小川分類I度以下)、水腎症なし、反復性尿路感染なしなどとする。係留解除手術によるNLUTDの改善効果については十分に解明されていない点も多く、術前後とも適切な尿路管理法を選択することが重要である。
ここでいう自排尿とは随意排尿を指す。原則として腹圧排尿による自排尿は選択せずCICとする。病態に応じて適宜薬物治療を追加する。
CIC は新生児期・乳児期に診断された二分脊椎患児のアルゴリズムに準じて実施し、病態に応じて適宜抗コリン薬を用いる。
本邦における承認外の情報を含みます。詳細については各薬剤の電子化された添付文書または電子添文をご確認ください。
新生児期・乳児期に診断された二分脊椎患児のアルゴリズムに準ずる定期経過観察を行う。
新生児期・乳児期に診断された二分脊椎患児のアルゴリズムに準ずる尿路管理内容の調整を行う。
保存的治療によっても腎障害や尿失禁が改善しない場合に最後の手段として選択される。尿失禁に対して適応とする場合には、学童期から思春期に至っても生活上問題となる尿失禁が残存し、患者が治療を希望する場合とする。
難治性排尿筋過活動が適応となるが、本邦では成人(15歳以上)にのみ承認されている。
小児神経因性膀胱と二分脊椎
小児神経因性膀胱の診療の流れ
小児神経因性膀胱の早期診断・治療の重要性
難治性の下部尿路症状から疑う
検査所見から疑う
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