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小児神経因性膀胱の確定診断の方法について、専門医向けの検査だけでなく非専門医でも行える基本評価を含めてそれぞれ詳しくご紹介します。併せて、二分脊椎の診断方法についてもご紹介します。
▼ 小児神経因性膀胱の特徴
▼ 二分脊椎とは
▼ 二分脊椎に伴う泌尿器科領域の病態(合併症)
下部尿路症状、神経症状、排尿習慣、排便習慣、既往歴(特に症候性尿路感染の既往)などについて聴取しますが、小児の特徴として成長に伴い症状に変化がみられることに注意します。また、患児に自覚症状を確認することは難しく、養育者からの情報を加えても正確な評価が難しいことが多いです。年長児以上では、下部尿路症状、排尿・排便習慣を包括的に質問する質問票である日本語版DVSS(dysfunctional voiding symptom score)を活用するとよいです。神経疾患が明らかである場合は、その神経疾患の発症時期と治療経過について聴取します。
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会編集:二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2017年版]1 リッチヒルメディカル株式会社:27, 2017
通常の胸腹部、外陰部の診察に加えて、神経学的所見(とくに会陰部知覚、肛門括約筋トーヌス・随意収縮、旧海綿体筋反射など)を確認します。特に二分脊椎を疑う場合には、臀部・尾部の陥凹や発毛、臀裂の左右非対称などの体表異常を認める際には、MRI撮像や脳神経外科へのコンサルタントを考慮します。
血液検査を行い、腎機能障害の有無を確認します。
一般定性に加えて尿沈渣も行います。
尿路感染症の合併の有無を評価するため全例で行うべきです。
必要に応じて、尿培養検査を追加施行します。
自排尿症例では、排尿時刻、排尿量および尿失禁量を、清潔間欠導尿(clean intermittent catheterization:CIC)を既に施行している症例では、導尿時刻、1回導尿量と尿失禁量を記載します。
なお、昼間のCICを適切に行っているにも関わらず、反復性尿路感染や上部尿路障害の出現・悪化を認め、夜間に尿失禁(夜尿)がある際には、夜間の膀胱の過伸展を疑います。また、朝一番の導尿量が、年齢推定膀胱容量((年齢+1)× 30)や尿流動態検査で排尿筋圧が40cmH2O以上となる膀胱容量より多い場合も同様に夜間の膀胱過伸展を疑います。排尿日誌は最低3日の記載が望ましいですが2日でも許容範囲とされます。
日本排尿機能学会:排尿日誌 http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20150223164228-BF77A4DB19B41F63FAFE8E4B30585E78048F1D63EA0708B19559919364A33550.pdf 2021年11月閲覧
注意:上記Webページの印刷物を提供する事ができません。
尿排出障害の初期評価として必須であり、非侵襲的であることから超音波検査による計測が望ましいです。
随意排尿が可能な場合は、後述する尿流測定と組み合わせて行うと有用です。
日本排尿機能学会、過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会:過活動膀胱診療ガイドライン[第2版] 1 リッチヒルメディカル株式会社:108, 2015
上部尿路および下部尿路のスクリーニングや頻回のモニタリング法としてゴールドスタンダードとされます。
膀胱壁肥厚、肉柱形成、水腎(腎盂・腎杯の拡張)、水尿管(尿管の拡張)、尿路結石の合併などの評価に有用です。
問診では症候性尿路感染の既往の有無の確認が重要です。既往があれば、治療の介入の必要性を考えます。
尿検査において尿路感染の有無、血液検査において腎機能障害の有無を確認します。また、今まで見られなかった尿失禁や夜尿が出現してきた際には、係留脊髄による症状を考えます。
膀胱変形、膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR)、器質的/機能的な膀胱出口部閉塞などの有無の評価に有用です。
内藤泰行:“Ⅱ 小児泌尿器科学総論 A 診断総論 7 小児に対する画像診断(2)” 小児泌尿器科学 日本小児泌尿器科学会編集 診断と治療社:62, 2021
尿流測定
尿排泄機能(排尿機能)を全般的に評価する非侵襲的な検査であり、尿流量計に排尿可能な症例では実施が推奨されています。
多チャンネル尿流動態検査
膀胱内圧、腹圧(直腸内圧)、括約筋筋電図、尿流量(尿漏出)を同時に測定し、膀胱充満知覚、排尿筋過活動、膀胱コンプライアンス、膀胱容量、排尿筋漏出時圧、腹圧下漏出時圧、排出時の排尿筋圧、尿流量、糞尿時と排出時の括約筋活動などを評価します。糞尿機能障害や尿排出機能障害の病態診断、上部尿路障害の危険因子の同定、排尿管理法や手術などの適応・術式の決定に際して欠かすことができない機能検査として位置づけられています。
透視下尿流動態検査(ビデオウロダイナミクス:V-UDS)
多チャンネル尿流量動態検査を行う際に、生理食塩水の代わりに膀胱内に造影剤を注入してX線透視下で行う検査であり、糞尿時および排尿時の尿流動態情報と同時に膀胱尿道の形態を評価できるため情報量が多く、推奨されます。VUR、膀胱肉柱形成、膀胱頸部開大などの下部尿路の形態的異常や尿(造影剤)漏出が同時に診断可能となります。
橘田岳也:“Ⅱ 小児泌尿器科学総論 A 診断総論 9 小児の下部尿路機能検査” 小児泌尿器科学 日本小児泌尿器科学会編集 診断と治療社:71, 2021
99mTc-DMSA(dimercaptosuccinic acid)腎シンチグラフィは腎皮質の描出能に優れ、VURや腎盂腎炎などによる腎瘢痕形成の鋭敏な検査法です。
井川靖彦:“Ⅲ 小児泌尿器科学各論 H 小児の下部尿路機能障害など 2 小児の神経因性下部尿路機能障害” 小児泌尿器科学 日本小児泌尿器科学会編集 診断と治療社:258, 2021
01 疾患を理解する
02 可能性を疑う
03 診断を行う
04 治療をする
05 疾患紹介動画
小児神経因性膀胱と二分脊椎
小児神経因性膀胱の診療の流れ
小児神経因性膀胱の早期診断・治療の重要性
難治性の下部尿路症状から疑う
検査所見から疑う
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