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投与中の注意事項
監修:東京大学 名誉教授 山本 一彦 先生
東邦大学医療センター佐倉病院 特任教授 鈴木 康夫 先生
投与中の注意事項
本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤を服用した患者は服用しなかった患者や他の治療法(TNF阻害剤の投与)を受けた患者に比べ悪性腫瘍の発現率が高いという報告があります。また心血管系事象は本剤を服用した患者では他の治療法(TNF阻害剤の投与)を受けた患者に比べ発現率が高いという報告もあります。本剤が疾病を完治させる薬剤ではないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認したうえで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致命的な経過をたどることがあります。本剤投与後に副作用が発現した場合には、服用を中止し、主治医に連絡するよう、患者にご説明ください。
本剤の投与により好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値、コレステロール値の変動が報告されています。本剤投与中は定期的に臨床検査値を確認し、適切な処置を行ってください。
本剤の投与中に好中球減少があらわれることがあります。
関節リウマチを対象とした第3相試験及び長期投与試験並びに潰瘍性大腸炎を対象とした第2相及び第3相試験において好中球数が500/mm3を下回った症例は認められませんでしたが、好中球減少が認められた場合は、重篤な感染症が発現する可能性があります。
本剤投与中は定期的に検査を実施し、好中球数が500/mm3未満の患者には本剤を投与しないでください。
本剤投与中に継続して500~1000/mm3の好中球減少が認められた患者は、好中球数が1000/mm3を超えるまで本剤の投与を中断してください。
本剤の投与中にリンパ球減少が認められ、またリンパ球減少と重篤な感染症発現に関連が認められています。
リンパ球減少と重篤な感染症発現には関連がみられることから、本剤投与中は定期的にリンパ球数を確認してください。
リンパ球数が500/mm3未満であった場合には、本剤を投与しないでください。
本剤は、その作用機序からJAK2を介する受容体活性を阻害することによりエリスロポエチンのシグナル伝達を抑制すると考えられるため、ヘモグロビン減少が認められる可能性があります。
第3相試験及び長期投与試験で認められた貧血はほとんどが軽度から中等度でしたが、重度の貧血の発現にも注意してください。
本剤投与中は定期的に検査を実施し、ヘモグロビン8g/dL未満の患者又は本剤投与開始後に2g/dLを超える低下を示した患者では正常化するまで本剤の投与を中断してください。
本剤の投与中に、総コレステロール、LDLコレステロール及びHDLコレステロールの増加等の脂質検査値異常があらわれることがあります。
心血管系事象のリスク因子(喫煙、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の既往等)を1つ以上有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象にTNF阻害剤群と本剤5mg1日2回群及び本剤10mg1日2回群の安全性の比較を目的とした海外臨床試験(A3921133試験)において、副次評価項目である臨床検査値の変動のうち、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールの増加が認められました。
本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認してください。
臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮してください。
本剤投与中のアトルバスタチンの脂質への影響を検討した臨床試験において、関節リウマチ患者にアトルバスタチンを投与した結果、プラセボ投与群と比較して有意なLDLコレステロールの減少が認められています(p<0.0001)。
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