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潰瘍性大腸炎※治療における
※中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
監修:東京医科歯科大学 高等研究員 特別栄誉教授 渡辺 守 先生
A 過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤又は生物製剤)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者への寛解導入及び維持療法時に投与を考慮してください。
承認されている効能又は効果は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」です。過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤又は生物製剤)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与を考慮してください。
本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではありませんが、悪性腫瘍の発現も報告されています。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
A 投与禁忌の患者は次のとおりです。
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.重篤な感染症(敗血症等)の患者
3.活動性結核の患者
4.重度の肝機能障害を有する患者
5.好中球数が500/mm3未満の患者
6.リンパ球数が500/mm3未満の患者
7.ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者
8.妊婦又は妊娠している可能性のある女性
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.重篤な感染症(敗血症等)の患者
3.活動性結核の患者
4.重度の肝機能障害を有する患者
5.好中球数が500/mm3未満の患者
6.リンパ球数が500/mm3未満の患者
7.ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者
8.妊婦又は妊娠している可能性のある女性
A 免疫抑制剤及び生物学的製剤との併用はできません。
国内外で実施された臨床試験において、本剤と強力な免疫抑制剤及び生物学的製剤との併用の経験はありません。
これらの薬剤との併用により免疫抑制作用が増強され、感染症発現のリスクが増加することが予想されますので、併用はしないでください。
A 重度の肝機能障害を有する患者への投与は禁忌です。軽度又は中等度の肝機能障害を有する患者へ投与する場合にはAST、ALT値の上昇に注意してください。なお、中等度の肝機能障害を有する患者に対しては、減量し(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす)、慎重に投与してください。
本剤の主な代謝経路は肝臓であり、未変化体の約70%が肝臓で代謝されます。国内外で実施された臨床試験において重度の肝機能障害を有する患者は除外されており、安全性は確立されていません。
なお、軽度及び中等度の肝機能障害患者各6例、肝機能正常者6例にゼルヤンツ10mgを単回経口投与したとき、軽度肝機能障害群のCmaxの平均値は肝機能正常群よりも0.6%低く、AUC0-∞の平均値は3.2%高いことが示されています。中等度肝機能障害群のCmaxの平均値は肝機能正常群よりも49%高く、AUC0-∞の平均値は65%高いことが示されています。t1/2の平均値については、肝機能正常群の4.1時間から中等度肝機能障害群の5.4時間まで延長しました。
表 肝機能正常者及び肝機能障害患者(軽度及び中等度)にゼルヤンツ10mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ(外国人データ)
A 腎機能障害を有する患者への投与は副作用が強くあらわれるおそれがあります。なお、中等度又は重度の腎機能障害を有する患者に対しては、減量し(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす)、慎重に投与してください。
軽度、中等度、重度の腎機能障害患者各6例、腎機能正常者6例にゼルヤンツ10mgを単回経口投与したとき、全例でCmaxの平均値は類似していました。腎機能正常群と比べ、軽度、中等度及び重度の腎機能障害群におけるAUC0-∞の平均値の比は、それぞれ137%(90%信頼区間:97~195%)、143%(101~202%)及び223%(157~316%)でした。t1/2の平均値は、腎機能正常群では2.4時間、重度の腎機能障害群では3.8時間でした。
表 腎機能正常者及び腎機能障害患者にゼルヤンツ10mgを単回投与したときの薬物動態パラメータ(外国人データ)
A 禁忌には該当しませんが、注意が必要です。重度の腎機能障害を有しているため、減量し(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす)、慎重に投与してください。
血液透析を受けている末期腎疾患患者12例に本剤10mgを単回経口投与したとき、透析クリアランス/血液流量で算出される透析効率の平均値(標準偏差)は0.73(0.15)でした(外国人データ)。しかしながら、ゼルヤンツは腎外クリアランスが大きいことから、血液透析による除去の総排泄に対する割合は小さいものでした。
中等度又は重度の腎機能障害※を有する患者では減量し、十分注意して使用してください。
A 妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌です。本剤投与中は授乳を中止してください。
動物実験で催奇形性が報告されているため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないでください。なお、妊娠する可能性のある女性に投与する場合は、投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は、妊娠を避けるよう指導してください。
また、動物実験によりゼルヤンツの乳汁への移行が認められているため、服用中は授乳を中止してください。
国内での承認審査過程で評価された試験成績を含んでおり、一部承認外の成績が含まれています。
参考 経口避妊薬の投与について(外国人データ)
参考 男性への影響について
A ご使用いただけません。
小児等に対する使用経験がないため、安全性は確立されていません。
A 高齢者には慎重に投与する必要があります。投与時には、感染症等の副作用の発現に十分注意してください。
高齢者において日和見感染症の発現頻度の上昇が認められています。肝機能及び腎機能の低下により本剤の血中濃度の増加が認められています。
一般に高齢者では生理機能が低下しているため、減量するなど注意してください。
A B型肝炎ウイルスの再活性化に対する本剤の影響は明らかではありませんが、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、ウイルスの再活性化が報告されています。
B型肝炎及びC型肝炎のウイルスキャリアの患者は本剤の臨床試験の対象患者から除外されていたため、B型肝炎ウイルスの再活性化に対する本剤の影響は明らかではありません。
しかし、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。
なお、日本肝臓学会による「B型肝炎治療ガイドライン2)」を参考にするとともに、肝臓専門医等に相談のうえ、適切な処置を行ってください。
A 本剤投与前には次の検査及び結核スクリーニングを行ってください。
主な検査項目
血球数及びヘモグロビン値について
結核スクリーニング
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認してください。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談してください。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与してください。
1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者
また、本剤投与中も胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明してください。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないでください。
A 日常診療において、定期的に臨床検査値のモニタリングを行ってください。
具体的な臨床検査値のモニタリング期間は設定されていませんが、副作用の発現及び重篤化の防止、適正使用の観点から、日常診療における定期的なモニタリングを行ってください。
A 患者資材に記載された「特に注意すべき症状」を説明してください。また、毎日の体調変化を記録し、該当する症状や体調の変化に気づいたら、服用を中止し速やかに医師に相談するよう指導してください。
患者資材の内容
A ヘルペスウイルスの再活性化の徴候や症状の発現が認められたら、抗ヘルペス薬(アシクロビル、バラシクロビル等)の投与等、適切な処置を行ってください。
本剤のJAK阻害作用は、免疫系及び造血系へ影響を及ぼす可能性があります。非臨床試験において、リンパ球数及び赤血球数の減少などに加え、免疫抑制(IFN-α/β、IFN-γ、TNF-α等のサイトカインの抑制等)に起因する二次的な作用(細菌及びウイルス感染ならびにリンパ腫)がみられています。
また、他の地域に比べ日本を含むアジアにおける帯状疱疹の発現率が高いことが報告されていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。
ヘルペスウイルス以外のウイルス(エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス等)の再活性化にも注意してください。
A 本剤投与前にはスクリーニング(詳細はQ 投与前に行う検査、スクリーニングはどのようなものですか? 参照)を行ってください。また、本剤投与中は、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意してください。
ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されています。患者に対しては、結核を疑う症状が発現した場合には速やかに主治医に連絡するよう指導してください。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないでください。
参考に、生物学的製剤投与時の結核予防対策の例を図に示します。
図 生物学的製剤投与時の結核予防対策(参考)
A 患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行ってください。
発熱、咳、呼吸困難などの症状があらわれた場合には、投与を中止し、日本リウマチ学会の「生物学的製剤、JAK阻害薬投与中における発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャート2)」等を参考に、適切な処置を行ってください。
また、患者にあらかじめ感染症の主な初期症状を説明し、これらの症状があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導してください。
A 本剤投与開始後、好中球数が継続して500~1000/mm3である場合は、好中球数が1000/mm3を超えるまで本剤の投与を中断してください。
本剤の投与中に好中球減少があらわれることがあります。関節リウマチ患者を対象としたゼルヤンツの第Ⅲ相試験及び長期投与試験において好中球数が500/mm3を下回った症例は認められませんでしたが、好中球減少が認められた場合は、感染症が発現する可能性があります。
投与中は定期的に検査を実施し、好中球数が500/mm3未満の患者には投与しないでください。投与中に継続して500~1000/mm3の好中球減少が認められた患者は、好中球数が1000/mm3を超えるまで投与を中断してください。
A 本剤投与開始後は定期的にリンパ球数を確認し、リンパ球数が500/mm3未満の場合には、投与を中止してください。
関節リウマチ患者に対する本剤の投与中にリンパ球減少が認められ、またリンパ球減少と重篤な感染症発現に関連が認められています1)。
投与中は定期的にリンパ球数を確認してください。リンパ球数が500/mm3未満であった場合には、投与しないでください。
患者に発熱、咳、呼吸困難などの症状があらわれた場合には、投与を中止し、日本リウマチ学会の「生物学的製剤、JAK阻害薬投与中における発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャート2)」等を参考に、適切な処置を行ってください。
また、患者にあらかじめ感染症の主な初期症状を説明し、これらの症状があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導してください。
A 治療を要する感染症、重篤な感染症、日和見感染症の発現リスクは、500/mm3未満で増加すると考えられています。なお、リンパ球数が500/mm3未満の症例は禁忌に該当します。
関節リウマチ患者を対象としたゼルヤンツの第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験のデータをもとに、リンパ球数と感染症発現の関連について解析を行いました1)。結果は表のとおりでした。
なお、リンパ球数500/mm3未満の場合は禁忌に該当するため、投与しないでください。
1024+1041試験(長期投与試験)
表 リンパ球数減少の程度別※の治療を要した感染症の発現率(関節リウマチ患者を対象とした長期投与試験)1)
(国内データを含む海外データ)
A ヘモグロビン値が8g/dL未満である患者、又は本剤投与開始後に2g/dLを超える低下を示した患者については、正常化するまで本剤を投与しないでください。
本剤は、その作用機序からJAK2を介する受容体活性を阻害することにより、エリスロポエチンのシグナル伝達を抑制すると考えられるため、ヘモグロビン減少が認められる可能性があります。
関節リウマチ患者を対象としたゼルヤンツの第Ⅲ相試験及び長期投与試験で認められた貧血はほとんどが軽度から中等度でしたが、重度の貧血の発現にも注意してください。
A 憩室症/憩室炎の既往歴、NSAIDとステロイドの併用等がリスク因子と考えられています。
関節リウマチ患者に対する第Ⅲ相試験及び長期投与試験において、消化管穿孔あり(消化管穿孔疑いを含む)と判定された被験者の多くは、憩室症/憩室炎の既往歴や、NSAIDとステロイドの併用等のリスク因子を有していました1)。
また、第Ⅱ相、第Ⅲ相臨床試験において、消化管穿孔は主に下部消化管に発現していること、消化管穿孔が認められた患者の多くは危険因子(NSAID併用、ステロイド併用、憩室炎合併)を有していたことが報告されています2)。
潰瘍性大腸炎患者においては、OCTAVE臨床試験プログラムのゼルヤンツ群で3例、プラセボ群で2例に消化管穿孔が認められました。
ゼルヤンツ群3例のうち、ステロイドの併用は2例に、事象発現から14日以内のNSAIDの併用は1例に認められました。消化管穿孔の発現リスクが高い被験者はゼルヤンツ群3例のうち2例に認められ、3例すべての検査結果により、本事象の発現にその他の因子の関与が示唆されました。
消化管穿孔の発現例数は少なく、潜在的なリスク因子を特定するためのサブグループ解析又は多変量解析は実施されませんでした3)。
本剤と消化管穿孔発現の関連は明らかではありませんが、本剤は正常な免疫応答に影響を与える可能性があることから、憩室炎の増悪に伴い消化管穿孔が発生する可能性があります。憩室があることがあらかじめわかっている患者や、憩室炎の既往のある患者では、腹痛等の臨床症状に注意しながら慎重に投与してください。
また、NSAIDとステロイドを併用している患者に投与する場合も、十分な注意が必要です。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
あなたは医療関係者ですか?