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お知らせエリア

潰瘍性大腸炎治療における

適正使用のためのQ&A

※中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

監修:東京医科歯科大学 副学長 渡辺 守 先生

作用機序Loading 有効性Loading 安全性Loading 適正使用Loading 薬物動態Loading 服用に際しての注意点Loading安全性Q 重大な副作用や報告頻度の高い副作用はどのようなものですか?

A ゼルヤンツの重大な副作用として感染症[帯状疱疹(3.6%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎等を含む)(1.0%)、敗血症(0.1%)、結核(0.1%)等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)]、消化管穿孔(0.1%)、リンパ球減少(0.5%)、好中球減少(0.4%)、ヘモグロビン減少(0.3%)、肝機能障害、黄疸[ALT(1.2%)、AST(0.9%)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(0.1%未満)]、間質性肺炎(0.1%)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)[肺塞栓症及び深部静脈血栓症]、心血管系事象(頻度不明)[心筋梗塞等の心血管系事象]、悪性腫瘍(頻度不明)が認められました。主なその他の副作用としては感染症及び寄生虫症[鼻咽頭炎(5%以上)、気管支炎、尿路感染、インフルエンザ、膀胱炎、咽頭炎、副鼻腔炎、肺炎(1%以上5%未満)]、血液及びリンパ系障害[貧血(1%以上5%未満)]、代謝及び栄養障害[高脂血症(1%以上5%未満)]、神経系障害[頭痛(5%以上)、錯感覚(1%以上5%未満)]、血管障害[高血圧(1%以上5%未満)]、呼吸器、胸郭及び縦隔障害[咳嗽(1%以上5%未満)]、胃腸障害[悪心、下痢、腹痛、消化不良、嘔吐(1%以上5%未満)]、皮膚及び皮下組織障害[発疹(1%以上5%未満)]、筋骨格系及び結合組織障害[関節痛(1%以上5%未満)]、一般・全身障害及び投与部位の状態[疲労、発熱(1%以上5%未満)]、臨床検査[血中クレアチンホスホキナーゼ増加(5%以上)、血中コレステロール増加、γ-GTP増加(1%以上5%未満)]が認められました。
*詳細は電子添文の「11.副作用」の項目および臨床成績の安全性の結果をご参照ください。

Q 感染症の発現リスクにはどのようなものがありますか?

A 関節リウマチ患者を対象とした臨床試験においては、年齢、糖尿病の合併、ステロイドの使用、ゼルヤンツの投与量が重篤な感染症のリスク因子として示されています。潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験においては、体重が重篤な感染症の重要なリスク因子として特定されています。

解説

関節リウマチに対する本剤の第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験参加症例を対象に解析した結果、以下が重篤な感染症発現のリスクとして報告されています1)

  • 高齢者(65歳以上)
  • 糖尿病の合併
  • ステロイドの使用(プレドニゾロン換算で7.5mg以上)
  • 本剤の投与量(5mg1日2回と比較して10mg1日2回)

また、長期投与試験においてリンパ球数が500/mm3未満の患者では、重篤な感染症の発現率が高いとの結果が示されています1)
リンパ球数減少と重篤な感染症発現には関連がみられることから、本剤投与中は定期的にリンパ球数を確認してください。リンパ球数が500/mm3未満であった場合には、本剤を投与しないでください。

潰瘍性大腸炎患者においては、投与量にかかわらず重篤な感染症の発現リスクを増加させる因子について検討するため、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験*でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)の重篤な感染症の発現率をサブグループ別に評価しました2)
発現例数及び発現件数が少数であるため、概して、特定のサブグループで確定的な結論を導くには限界がありましたが、個別の素因となるリスク因子に関連した傾向を特定するため探索的に解析を実施しました。

重篤な感染症に関して、Cox比例ハザードモデル(ステップワイズ法)を用いて解析した結果、以下が重要なリスク因子として特定されました2)

  • 体重(90kg以上)
    多変量解析により特定されたリスク因子は、体重が90㎏を超える部分集団であった。
コホートによる安全性併合解析の概要LoadingOCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
1)Cohen, S. et al.:Arthritis Rheumatol 66(11):2924, 2014[L20141112032]
2)社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
本解析は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。
潰瘍性大腸炎:6. 用法及び用量導入療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回10mgを1日2回8週間経口投与する。なお、効果不十分な場合はさらに8週間投与することができる。
維持療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、維持療法中に効果が減弱した患者では、1回10mgの1日2回投与に増量することができる。また、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害剤無効例等)では、1回10mgを1日2回投与することができる。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)9.8 高齢者減量するなど注意すること。
重篤な感染症の発現頻度の上昇が認められている。一般に生理機能が低下している。また、肝機能及び腎機能の低下により本剤の血中濃度の増加が認められている。[1.1、1.2.1、2.2、11.1.1参照]
Q 日本人に多くみられる感染症はありますか?

A 他の人種に比べて日本人を含めたアジア人においては、帯状疱疹(日和見感染と判定されなかった事象を含むすべての帯状疱疹)の発現率が高いことが報告されています。

解説

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)のゼルヤンツ全用量群における帯状疱疹の発現率は、全体集団(4.33/100人・年)と比較して日本人集団(8.03/100人・年)で高いことが報告されています。

ゼルヤンツの投与を受けた被験者について、用量にかかわらず帯状疱疹の発現リスクを増加させる因子の有無を確認するため、Overallコホートの帯状疱疹の発現率をサブグループ別に評価した結果、発現率は以下のサブグループで高いことが報告されました。

  • 年齢が65歳以上
  • 糖尿病の合併
  • アジア人
  • その他の人種(白人、黒人、アジア人以外)

アジア人のうち、1例を除くすべての被験者が日本人又は韓国人であったため、アジアにおける帯状疱疹の発現率の地域差を評価することはできませんでした。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading コホートによる安全性併合解析の概要Loading

リスク因子:年齢及びアジア人(Cox比例ハザードモデル)

帯状疱疹に関して、ステップワイズ法では、年齢[10歳ごと、ハザード比(95%信頼区間):1.52(1.28,1.81)、p<0.0001]及び人種[アジア人とアジア人以外、ハザード比(95%信頼区間):1.89(1.02,3.50)、p=0.0426]が重要なリスク因子として特定されました。

表 年齢・人種別の帯状疱疹の発現状況:Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験)、ゼルヤンツ全用量群

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
Q 重篤な感染症の発現状況は?

A 発現率は2.05/100人・年でした。

解説

Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)では、重篤な感染症の発現率はプラセボ群1.94/人・年、ゼルヤンツ5mg1日2回群1.35/100人・年、10㎎1日2回群0.64/100人・年でした。

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)のゼルヤンツ全用量群において、重篤な感染症は1156例中30例(うち1例はゼルヤンツの最終投与後28日を過ぎて発現したため、発現率の算出に含めず)で報告され、発現率は2.05/100人・年でした。

特定の感染症に偏る傾向は認められませんでした。

Overallコホートのゼルヤンツ全用量群における日本人集団での重篤な感染症の発現率は3.26/100人・年で、全体集団の2.05/100人・年でした。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

図 Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験)における重篤な感染症の発現率

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
発現率(100人・年あたりの発現例数)の算出には最終投与後28日以内に認められた事象を含めた。
※:トファシチニブ投与期間中の1日平均投与量に基づいて15mg未満が5mg群、15mg以上が10mg群
社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
Q 日和見感染症の発現状況は?

A 発現率は1.22/100人・年で、主な日和見感染は帯状疱疹13例でした。

解説

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)のゼルヤンツ全用量群において、日和見感染は1123例中17例で報告され、発現率は1.22/100人・年でした。

この発現率は、Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)で認められた発現率の範囲内(1.36~2.60/100人・年)でした()。

主な日和見感染は帯状疱疹13例でした。日和見感染症の内訳は以下のとおりでした。

  • 帯状疱疹13例(うち10例が多神経分節性帯状疱疹、3例が播種性帯状疱疹)
  • 肺真菌症(医師報告用語:浸潤性クリプトコッカス症)1例
  • ヒストプラスマ症(肺病変を含む)1例
  • サイトメガロウイルス肝炎1例
  • サイトメガロウイルス感染[医師報告用語:サイトメガロウイルス病、結腸生検のサイトメガロウイルスのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)陽性]1例

多変量解析で年齢が日和見感染の発現リスクを増加させるリスク因子として特定されました。

Overallコホートの日本人集団におけるゼルヤンツ全用量群の日和見感染は65例中1例で報告され、発現率は1.09/100人・年でした。この1例はOCTAVE Induction 1(1094試験)で報告された非重篤な播種性帯状疱疹で、転帰は回復でした。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

図 Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験)における
  日和見感染症の発現率

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
結核及び2つの隣接した皮節を伴う帯状疱疹を除く。発現率(100人・年あたりの発現例数)の算出には最終投与後28日以内に認められた事象を含めた(継続中である1139試験の被験者は除く)。
社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
Q 帯状疱疹の発現状況は?

A 発現率は4.33/100人・年でした。

解説

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)のゼルヤンツ全用量群において、帯状疱疹は1156例中59例で報告され、発現率は4.33/100人・年でした。

Overallコホートにおけるゼルヤンツ全用量群の発現率(4.33/100人・年、59例)は、Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)で認められた発現率の範囲内(2.05~6.64/100人・年)でした()。

Overallコホートの1156例のうち、OCTAVE Open(1139試験)で認められた多神経分節性帯状疱疹の1例(1.7%)が重篤で、ゼルヤンツ全用量群における重篤な帯状疱疹の発現率は0.07/100人・年でした。

Overallコホートの日本人集団では、ゼルヤンツ全用量群において、帯状疱疹が65例中7例で報告され、発現率は8.03/100人・年でした。この7例はすべて主要用量として10mg1日2回で、いずれも軽度又は中等度かつ非重篤でした。7例中6例において本剤投与開始から12ヵ月以上の時点で発現が認められました。また、7例中6例においては、本剤を継続したまま帯状疱疹が消失しました。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

図 Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)、Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験)における
  帯状疱疹の発現率

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
「帯状疱疹」は日和見感染と判定されなかった事象を含むすべての帯状疱疹。発現率(100 人・年あたりの発現例数)の算出には最終投与後28日以内に認められた事象を含めた。
社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
Q 悪性腫瘍の発現状況は?

A 発現率は0.50/100人・年でした。

解説

本剤の投与中に悪性腫瘍が発現することがあります。

潰瘍性大腸炎を対象とした臨床プログラムでは、1123例中9例(9件)の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)が報告されています。9例すべてがOCTAVE Open(1139試験)で認められ、主要用量として10mg1日2回群の被験者でした。

この9例のうち、肝血管肉腫を発現した症例は本剤投与終了後41日後に、腎細胞がんを発現した症例は本剤投与終了後38日後に報告されており、これら2例を除いた主要解析集団での発現率は100人・年あたり0.50(7/1123例、95%信頼区間0.20, 1.02)でした()。

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)の2016年7月8日のデータカットオフ以降、OCTAVE Openで1例に結腸ポリープが報告されましたが、病理組織審査委員会により良性腫瘍と確認されました。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

図 Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験)における悪性腫瘍の発現率

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
社内資料:臨床試験における悪性腫瘍の要約(承認時評価資料)[L20180327015]

電子添文改訂時の評価資料であり、一部承認外の成績が含まれています。

参考 海外で実施した市販後臨床試験(A3921133試験)の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率とハザード比

ORAL Surveillance試験(海外第Ⅲb/Ⅳ相試験)

心血管系事象のリスク因子(喫煙、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の既往等)を1つ以上有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象にTNF阻害剤群と本剤5mg1日2回群及び本剤10mg1日2回群の安全性の比較を目的とした海外臨床試験(A3921133試験)において主要評価項目であった悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)のTNF阻害剤群に対する非劣性は、検証できませんでした。

海外で実施した市販後臨床試験(A3921133試験)の概要Loading

図 悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率(全期間)(海外データ)

総括報告書サインオフ:2021年6月1日
※2019年の試験デザイン変更により5mg1日2回投与群に切り替えられた被験者を含む

図 悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)のハザード比

心血管系事象のリスク因子(喫煙、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の既往等)を1つ以上有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象にTNF阻害剤群と本剤5mg1日2回群及び本剤10mg1日2回群の安全性の比較を目的とした海外臨床試験(A3921133試験)において主要評価項目であった悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)のTNF阻害剤群に対する非劣性は、検証できませんでした。

コックス比例ハザードモデルに基づく。
TNF阻害剤群に対するトファシチニブ併合群(5mg1日2回群+10mg1日2回群)の主要比較の結果、ハザード比の95%信頼区間上限が1.8を超えた(2.09>1.8)ため、あらかじめ設定した非劣性基準を満たさなかった。
トファシチニブ5mg1日2回群およびトファシチニブ10mg1日2回群の副次比較の結果、ハザード比の95%信頼区間上限が2.0を超えなかった(1.43<2.0)ため、あらかじめ設定した非劣性基準を満たした。

総括報告書サインオフ:2021年6月1日
※2019年の試験デザイン変更により5mg1日2回投与群に切り替えられた被験者を含む
1)ファイザープレスリリース https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-shares-co-primaryendpoint-results-post-marketing. (2023/02/27参照)
2)EMA DHPC https://www.ema.europa.eu/en/documents/dhpc/direct-healthcare-professional-communication-dhpcxeljanz-tofacitinib-initial-clinical-trial-results_en.pdf.(2023/02/27参照)
3)Ytterberg, S. R. et al.︓N Engl J Med 386(4)︓316, 2022
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。
承認された用法及び用量
【関節リウマチ】
通常、トファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。
Q 臨床プログラムで報告された悪性腫瘍に特定の傾向はみられましたか?

A 悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)が認められた9例において、特定の癌種に偏った発現は認められませんでした。

解説

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)において、特定の癌種に偏った悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現は認められず、内訳は以下のとおりでした。

  • 子宮頸癌(基本語:子宮頚部上皮異形成、1例)
  • 軟部組織肉腫(肝血管肉腫、1例;皮膚の平滑筋肉腫、1例)
  • 胆嚢癌及び肝外胆管癌(基本語:肝内胆管癌、1例)
  • リンパ腫/非ホジキンリンパ腫(基本語:エプスタイン・バーウイルス関連リンパ腫、1例)
  • 腎癌(基本語:腎細胞癌、1例)
  • 骨髄増殖性新生物(基本語:本態性血小板血症、1例)
  • 急性骨髄性白血病(AML)及び関連する前駆細胞新生物(基本語:急性骨髄性白血病、1例)
  • 結腸直腸癌(基本語:結腸腺癌、1例)

結腸直腸癌を発現した症例は、寛解導入試験でプラセボ群であり、プラセボ投与を受けている8週時の検査にて盲腸に高度異形成が認められました。
本症例は、寛解導入試験で臨床反応が示されなかったため、引き続き長期投与試験であるOCTAVE Openに移行し、本剤10mg1日2回の投与を受けました。投与開始57日目に結腸切除が施行され、この検体より盲腸の高度異形成の部位に結腸直腸癌が認められました。
以上から投与開始前より発現していた可能性が高いですが、投与中に診断されたことから発現率に含めています。

コホートによる安全性併合解析の概要LoadingOCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
社内資料:臨床試験における悪性腫瘍の要約(承認時評価資料)[L20180327015]
Q 肝機能への影響は?

A 本剤投与にて、AST(GOT)、ALT(GPT)及び総ビリルビンの上昇が認められています。詳細は以下のとおりでした。

解説

国内外で実施した第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において、いずれかの測定時点で肝機能検査値のAST(GOT)、ALT(GPT)及び総ビリルビンが基準範囲上限以上であった被験者の割合はのとおりでした。

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)では、肝胆道系障害(器官別大分類)に含まれる重篤な有害事象は急性胆嚢炎の1件でした。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

表 いずれかの測定時点で基準範囲上限以上の肝機能検査値が認められた被験者の割合

ULN=基準範囲上限 発現例数(%) ULN=基準範囲上限 発現例数(%) ULN=基準範囲上限 発現例数(%)OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
社内資料:臨床試験における肝機能検査の要約(承認時評価資料)[L20180327022]
潰瘍性大腸炎:6. 用法及び用量導入療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回10mgを1日2回8週間経口投与する。なお、効果不十分な場合はさらに8週間投与することができる。
維持療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、維持療法中に効果が減弱した患者では、1回10mgの1日2回投与に増量することができる。また、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害剤無効例等)では、1回10mgを1日2回投与することができる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)7.6 中等度又は重度の腎機能障害を有する潰瘍性大腸炎患者、中等度の肝機能障害を有する潰瘍性大腸炎患者には、減量し(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす。)、本剤を慎重に投与すること。[2.4、8.9、9.2、9.3、11.1.4、16.6参照]8. 重要な基本的注意(抜粋)8.9 肝機能障害があらわれることがあるので、トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行うこと。[2.4、7.2、7.6、9.3、11.1.4、16.6.2参照]9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)9.3 肝機能障害患者9.3.2 中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類クラスB)減量し、慎重に投与すること。肝機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加し副作用が強くあらわれるおそれがある。9.3.3 軽度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類クラスA)肝機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加し副作用が強くあらわれるおそれがある。
Q 腎機能への影響は?

A 第Ⅲ相試験及び長期投与試験*1でゼルヤンツの投与を受けた被験者において、血清クレアチニンの増加は以下のとおりでした。

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日解説

国内外で実施した第Ⅲ相寛解導入試験において、8週時に血清クレアチニン(SCr)の増加が認められ、ベースラインからの平均変化率は、プラセボ群で+5.2%、ゼルヤンツ10mg1日2回群で+6.0%でした。

第Ⅲ相寛解導入試験を完了した被験者を対象とした寛解導入後(Post-induction phase)での52週の投与終了時におけるベースラインからの平均変化率は、プラセボ群で+6.8%、ゼルヤンツ5mg1日2回群で+9.1%、10mg1日2回群で+7.6%でした。

国内外で実施した第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において、腎機能に関する事象はプラセボ群1例を含め7例(0.6%)が報告されました。

ゼルヤンツ投与により、血清クレアチニン(SCr)のわずかな増加が認められましたが、現時点で重大な腎機能障害とゼルヤンツ投与との関連を支持する結果は得られていません。

ただし、腎機能障害を有する患者への投与は副作用が強くあらわれるおそれがあります。中等度又は重度の腎機能障害を有する患者では、減量(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす)して慎重に投与してください。

腎機能障害の程度[軽度(50<CLcr≦80mL/min)、中等度(30≦CLcr≦50mL/min)、重度(CLcr<30mL/min)]
社内資料:臨床試験における血清クレアチニンの要約(承認時評価資料)[L20180327023]
潰瘍性大腸炎:6. 用法及び用量導入療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回10mgを1日2回8週間経口投与する。なお、効果不十分な場合はさらに8週間投与することができる。
維持療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、維持療法中に効果が減弱した患者では、1回10mgの1日2回投与に増量することができる。また、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害剤無効例等)では、1回10mgを1日2回投与することができる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)7.6 中等度又は重度の腎機能障害を有する潰瘍性大腸炎患者、中等度の肝機能障害を有する潰瘍性大腸炎患者には、減量し(1回投与量を減量。1回投与量を減量することができない場合は投与回数を減らす。)、本剤を慎重に投与すること。[2.4、8.9、9.2、9.3、11.1.4、16.6参照]8. 重要な基本的注意(抜粋)8.7 総コレステロール、LDLコレステロール及びHDLコレステロールの増加等の脂質検査値異常があらわれることがある。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること。臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)9.2 腎機能障害患者[7.1、7.6、16.6.1参照]9.2.1 中等度又は重度の腎機能障害患者減量し、慎重に投与すること。
腎機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.2.2 軽度の腎機能障害患者腎機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
Q 脂質代謝への影響は?

A 本剤投与により、LDLコレステロール、総コレステロール、HDLコレステロールの用量反応的な増加が認められました。一方で、LDLコレステロール/HDLコレステロール比の臨床的に関連のある変化は認められませんでした。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認してください。臨床上、必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮してください。

解説

潰瘍性大腸炎におけるLDLコレステロール、HDLコレステロール及び総コレステロールへの影響を検討するため、臨床検査値コホート(Induction phase及びPost-Induction phase)でのコレステロール値の変動を検討しました。

本剤投与群においては開始後8週までの寛解導入期(Induction phase)において継続的にLDLコレステロールが増加し、寛解導入後(Post-Induction phase)においてもさらなる増加がみられました(図1)。

また、本剤投与群においては開始後4週までの寛解導入期(Induction phase)においてHDLコレステロールが増加し、その後の寛解導入期(Induction phase)、寛解導入後(Post-Induction phase)においては図2の示すとおりでした。

本剤投与群において総コレステロールはLDLコレステロールに類似した変動が認められました。開始後8週までの寛解導入期(Induction phase)及びその後の寛解導入後(Post-Induction phase)において継続的に増加がみられました。

心血管リスクを検討するため、コレステロール比を評価しました。本剤投与群における寛解導入期(Induction phase)、寛解導入後(Post-Induction phase)のLDLコレステロール/HDLコレステロール比は図3のとおりでした。

Induction phase(最長9週間)及びPost-induction phase(52週間)の総投与期間は最長61週間でした。ベースラインを寛解導入試験の治験薬(ゼルヤンツ又はプラセボ)の初回投与前の臨床検査値と定義しました。LDL-C値及びHDL-C値は、治験薬投与期間中に定期的にモニターしました。

図1 LDLコレステロールのベースラインからの平均変化

ULN=基準範囲上限 発現例数(%) Ind:induction(寛解導入療法)、IndNR:induction non-responder、Main:maintenance(寛解維持療法)
*データカットオフ:2016 年7月8日

図2 HDLコレステロールのベースラインからの平均変化

Ind:induction(寛解導入療法)、IndNR:induction non-responder、Main:maintenance(寛解維持療法)
*データカットオフ:2016 年7月8日
社内資料:臨床試験における血清脂質パラメータの要約(承認時評価資料)[L20180327020]

図3 LDLコレステロール/HDLコレステロール比のベースラインからの平均変化

Ind:induction(寛解導入療法)、IndNR:induction non-responder、Main:maintenance(寛解維持療法)
*データカットオフ:2016 年7月8日
社内資料:臨床試験における血清脂質パラメータの要約(承認時評価資料)[L20180327020]
Q 心血管系への影響は?

A 主要な心血管系事象(MACE)の発現率は0.28/100人・年でした。

解説

潰瘍性大腸炎の国内外で実施した第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験で確認された主要な心血管系事象は、Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)では本剤5mg1日2回及び10mg1日2回投与群において各1例ずつ認められました。その100人・年あたりの発現率は各々0.68(95%信頼区間:0.02, 3.77)、0.64(0.02, 3.54)でした。このことから主要な心血管系事象の発現率に明らかな用量反応性は認められませんでした。

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)では1123例中4例(4件)に認められ、その100人・年あたりの発現率は0.28(0.08, 0.73)であり()、Maintenanceコホートで報告された発現率の範囲内(0.64~0.68/100 人・年)でした。

Overallコホートの4例中3例に心血管系のリスク因子となる病歴がありました。

コホートによる安全性併合解析の概要Loading

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

表 判定された主要な心血管系事象(MACE)の発現割合と発現率:Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験

OCTAVE Open(1139試験)のデータカットオフ:2016年7月8日
社内資料:臨床試験における重要な心血管系事象の要約(承認時評価資料)[L20180327016]
5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)〈効能共通〉5.1 心血管系事象のリスク因子を有する患者に本剤を投与する際には、心筋梗塞等の心血管系事象、静脈血栓塞栓症があらわれるおそれがあるので、他の治療法を考慮すること。[9.1.10、11.1.6、11.1.7、17.3.1参照]

電子添文改訂時の評価資料であり、一部承認外の成績が含まれています。

参考 海外で実施した市販後臨床試験(A3921133試験)のMACEの発現率とハザード比(因果関係を問わない有害事象)

ORAL Surveillance試験(海外第Ⅲb/Ⅳ相試験)

心血管系事象のリスク因子(喫煙、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の既往等)を1つ以上有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象にTNF阻害剤群と本剤5mg1日2回群及び本剤10mg1日2回群の安全性の比較を目的とした海外臨床試験(A3921133試験)において、主要評価項目であった主要な心血管系事象(MACE)のTNF阻害剤群に対する非劣性は、検証できませんでした。

図 MACEの発現率(投与終了後60日まで)(海外データ)

総括報告書サインオフ:2021年6月1日
※2019年の試験デザイン変更により5mg1日2回投与群に切り替えられた被験者を含む

図 MACEのハザード比

コックス比例ハザードモデルに基づく。
TNF阻害剤群に対するトファシチニブ併合群(5mg1日2回群+10mg1日2回群)の主要比較の結果、ハザード比の95%信頼区間上限が1.8を超えた(1.94>1.8)ため、あらかじめ設定した非劣性基準を満たさなかった。
トファシチニブ5mg1日2回群およびトファシチニブ10mg1日2回群の副次比較の結果、ハザード比の95%信頼区間上限が2.0を超えなかった(1.71<2.0)ため、あらかじめ設定した非劣性基準を満たした。
総括報告書サインオフ:2021年6月1日
※2019年の試験デザイン変更により5mg1日2回投与群に切り替えられた被験者を含む
海外で実施した市販後臨床試験(A3921133試験)の概要LoadingA3921133試験における主要な心血管系事象(MACE)の定義は以下のとおりです。
心血管死
急性心筋梗塞による死亡
心突然死
心不全による死亡
脳血管障害による死亡
心血管手技に伴う死亡
心血管出血による死亡
上記以外の心血管系を原因とする死亡(末梢動脈疾患など)
非致死的心筋梗塞
非致死的脳血管障害(虚血や出血を示す新規脳病変が画像診断によって認められるような可逆的な限局性神経障害を含む)
1)ファイザープレスリリース https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-shares-co-primaryendpoint-results-post-marketing. (2023/02/27参照)
2)EMA DHPC https://www.ema.europa.eu/en/documents/dhpc/direct-healthcare-professional-communication-dhpcxeljanz-tofacitinib-initial-clinical-trial-results_en.pdf.(2023/02/27参照)
3)申請データ ファイザー ニューヨーク州ニューヨーク
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。
承認された用法及び用量【関節リウマチ】通常、トファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。
Q 長期間服用すると副作用リスクは高まりますか?

A ゼルヤンツの潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験(最長投与期間3.9年)において、有害事象、重篤な有害事象、重篤な感染症、日和見感染症、帯状疱疹の発現率は以下のとおりでした。全例市販後調査にて、さらに長期の安全性を確認してまいります。

解説

Maintenanceコホート(第Ⅲ相寛解維持試験)のゼルヤンツ群の合計394例において、有害事象は299例(75.9%)、重篤な有害事象は21例(5.3%)で報告されました。重篤な感染症は3例で報告され、100人・年あたりの発現率は0.98(95%信頼区間:0.20, 2.87)、日和見感染症は6例で報告され、100人・年あたりの発現率は1.99(0.73, 4.34)、帯状疱疹は13例で報告され、100人・年あたりの発現率は4.38(2.33, 7.50)でした。悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)は認められませんでした。

Overallコホート(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験及び長期投与試験でゼルヤンツの投与を受けたすべてのデータ)のゼルヤンツ全用量群1156例において、有害事象は939例(81.2%)、重篤な有害事象は149例(12.9%)で報告されました。重篤な感染症は1156例中29例で報告され、100人・年あたりの発現率は2.05(95%信頼区間:1.38, 2.95)、日和見感染症は1123例中17例で報告され、100人・年あたりの発現率は1.22(0.71, 1.95)、帯状疱疹は1156例中59例で報告され、100人・年あたりの発現率は4.33(3.29, 5.58)、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)は1123例中7例で報告され、100人・年あたりの発現率は0.50(0.20, 1.02)でした。

なお、潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験では悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現例数が少なく、経時的な悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率の解析は行われませんでした。

コホートによる安全性併合解析の概要Loadingデータカットオフ:2016年7月8日
1)社内資料:臨床試験における比較的良くみられる有害事象の要約(承認時評価資料)[L20180327012]
2)社内資料:臨床試験における重篤な感染症、帯状疱疹、日和見感染の要約(承認時評価資料)[L20180327018]
3)社内資料:臨床試験における悪性腫瘍の要約(承認時評価資料)[L20180327015]
潰瘍性大腸炎:6. 用法及び用量導入療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回10mgを1日2回8週間経口投与する。なお、効果不十分な場合はさらに8週間投与することができる。
維持療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、維持療法中に効果が減弱した患者では、1回10mgの1日2回投与に増量することができる。また、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害剤無効例等)では、1回10mgを1日2回投与することができる。
8. 重要な基本的注意8.1 本剤は、免疫反応に関与するヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。関節リウマチ患者において、本剤投与時に発現する重篤な感染症は、本剤単独投与時と比較して抗リウマチ薬(メトトレキサートを含むDMARD)併用投与時では発現率が高い傾向が認められているため、特に注意すること。[1.1、1.2、2.2、2.3、9.1.1-9.1.3、9.1.9、11.1.1、15.1.1参照]8.2 悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること[1.1、11.1.8、17.3.1参照]8.5 ヘルペスウイルス等の再活性化(帯状疱疹等)が報告されている。また、日本人患者で認められた重篤な日和見感染症のうち多くが重篤な帯状疱疹であったこと、播種性帯状疱疹も認められていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、速やかに適切な処置を行うこと。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意すること。[1.1、1.2.1、2.2、9.1.1、9.1.3、9.1.9、11.1.1、15.1.1参照]9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 感染症(重篤な感染症(敗血症等)又は活動性結核を除く)の患者又は感染症が疑われる患者感染症が増悪する可能性がある。[1.1、1.2、2.2、2.3、8.1、8.3-8.5、8.8、11.1.1、15.1.1参照]
コホートによる安全性併合解析の概要ゼルヤンツの安全性の評価では、複数の臨床試験から、試験デザイン、試験対象集団及び投与期間に基づき、主として3種類のコホートを作成し、安全性に関する併合解析を行いました。

ゼルヤンツの臨床試験における安全性併合解析(国内データを含む海外データ)の試験デザイン1)

試験デザインと被験者の流れ2)

ゼルヤンツの臨床試験における安全性併合解析は下記のコホートを対象に行われた。

  • Overallコホート(Induction コホート、Maintenance コホートを含む)には、2016年12 月16 日時点のOCTAVE Open試験のデータ(投与期間最長4.4 年)が含まれる。
  • Overall+PⅢb/Ⅳコホートには、OCTAVE Open 試験の最終データ(最終データカットオフ:2020 年8 月24 日)とRIVETING 試験の6ヵ月間中間解析のデータ(中間データカットオフ:2020 年2 月20 日、投与期間最長7.8 年)が含まれる。

最終的な有効性の評価は第8 週目もしくは第52 週目に行われ、試験は9 週間もしくは53 週間行われた

OCTAVE Induction試験1及び2の臨床効果は、合計Mayoスコアがベースライン時から3点以上かつ30%以上減少し、さらに、直腸出血サブスコアが1点以上減少、または、直腸出血サブスコア絶対値が0または1点であることと定義した。

治療不成功は、最低8週間の治療後に合計MayoスコアがOCTAVE Sustain試験のベースライン時から3点以上増加、さらに、直腸出血及び内視鏡サブスコアが1 点以上増加した場合と定義した

寛解は、合計Mayoスコアが2点以下、かつ、個々のサブスコアが1点を超えておらず、さらに、直腸出血のサブスコアが0 点である場合と定義した。

RIVETING試験に参加した被験者は、OCTAVE Open試験でゼルヤンツ10mg1日2回投与を2年以上続けて投与され、ベースラインの6カ月以上前から安定した寛解状態にあり、ベースラインの4週間以上前から潰瘍性大腸炎に対してコルチコステロイドを投与されていない患者であった。

レスポンダー:臨床反応の基準に合致した被験者;ノンレスポンダー:臨床反応の基準に合致しなかった被験者;N:各治療群の総患者数
1)Sandborn,W.J.et al.:J Crohns Colitis.2022 Sep 17;jjac141.doi:10.1093/ecco-jcc/jjac141.
2)Winthrop,K.L.et al.:Inflamm Bowel Dis 24(10):2258,2018 よりCC BY-NC ライセンスに従って作図
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。

第Ⅱ相、第Ⅲ相、第Ⅲb/Ⅳ相国際共同試験の安全性併合解析

目的:

潰瘍性大腸炎患者を対象としたゼルヤンツの最長7.8 年間の国際共同臨床試験で得られた安全性データを統合的に検討する。

対象:

第Ⅱ相寛解導入試験(1063 試験)、第Ⅲ相寛解導入試験OCTAVE Induction 1(1094 試験)及びOCTAVE Induction 2(1095 試験)、 第Ⅲ相寛解維持試験OCTAVE Sustain(1096試験)、第Ⅲ相長期非盲検試験OCTAVE Open(1139 試験)、第Ⅲb/Ⅳ相試験RIVETING に参加した潰瘍性大腸炎患者 計1157 例

方法:

本解析では、Overall コホート(Induction コホート、Maintenance コホートを含む)とRIVETING 試験の対象患者からなるOverall+PⅢb/Ⅳコホートにおける安全性データを解析した。各コホートの対象は次のとおりである。

  • Inductionコホート:1063 試験、1094 試験、1095 試験でゼルヤンツ10mg1 日2 回またはプラセボを8 週間投与した症例
  • Maintenanceコホート:1096 試験でゼルヤンツ5mg1 日2 回、10mg1 日2 回、プラセボのいずれかを52 週間投与した症例
  • Overallコホート:Induction コホート、Maintenance コホート、OCTAVE Open 試験(データカットオフ:2016 年12 月16 日、投与期間最長4.4 年)でゼルヤンツ5mg または10mg1日2 回を1 回以上投与した症例
  • Overall+PⅢb/Ⅳコホート:Induction コホート、Maintenance コホート、OCTAVE Open試験(最終データカットオフ:2020 年8 月24 日)、RIVETING試験(中間データカットオフ:2020 年2 月20 日、投与期間最長7.8 年)でゼルヤンツ5mg または10mg1 日2 回を1 回以上投与した症例

Overallコホートにおいては、有害事象、重篤な有害事象、ならびに有害事象による投与中止の割合を算出した。特に注目すべき有害事象は、重篤な感染症、帯状疱疹(非重篤及び重篤)、日和見感染症、悪性腫瘍(NMSCを除く)、NMSC、MACE、VTE(深部静脈血栓症、肺塞栓症を含む)及び消化管穿孔であった。日和見感染、悪性腫瘍、MACE、VTE、消化管穿孔の可能性については、盲検化された独立判定委員会で検討された。重篤な感染症 (重篤な有害事象に分類される感染症、非経口抗菌剤療法もしくは入院を必要とする感染症)を発症した患者は試験を中止して適切なフォローアップを受けた。播種性もしくは多発性帯状疱疹は「日和見感染を含む帯状疱疹」と定義した。Overall+PⅢb/Ⅳコホートにおいては、ベースライン時で脂質低下薬を投与されていた患者の割合と、試験期間中に脂質低下薬投与を開始もしくは増量した患者の割合を報告した。また、クレアチンキナーゼ上昇、貧血、リンパ球減少、好中球減少、急性腎不全、横紋筋融解症を発現した患者の割合及びその発現率(IR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

安全性の評価項目:

有害事象、重篤な有害事象、ならびに有害事象による投与中止の発現割合

解析計画:

ベースライン時の患者背景及び疾患特性は、すべてのコホートについて記述的に要約した。ゼルヤンツ投与量は各試験間及びOCTAVE Open試験とRIVETING試験の途中に切り替わった可能性があるため、OverallコホートとOverall+PⅢb/Ⅳコホートにおけるゼルヤンツの用量は、投与された1日平均用量に基づいて分類した。すなわち、主要用量ゼルヤンツ5mg1日2回投与群はゼルヤンツの1日平均投与量が15mg未満と定義され、主要用量ゼルヤンツ10mg1日2回投与群は1日平均投与量が15mg以上と定義された。
すべてのコホートにおける死亡及び特に注目すべき有害事象について、発現割合とIR(100 人年あたりの有害事象を発現した患者数として算出)ならびに95% CI を算出した。死亡、悪性腫瘍(NMSCを除く)、NMSC、MACEについてはIRの算出にすべての事象を含め、一方、その他の注目すべき有害事象については最終投与から28日以上経過してから発現した事象は含めなかった。
患者背景及び臨床的因子と特に注目すべき有害事象との関連性は、Cox比例回帰モデルを用いて評価した。本モデルはOverall+PⅢb/Ⅳコホートに適用し、プラセボ投与中に経験した期間と事象は除外した。複数の連続共変量が高い相関を示す場合は、共線性の問題を避けるため、そのうち1つのみをモデルに残した。ベースライン特性のモデリングアプローチは、まず、各有害事象と統計学的に有意な関係を持つ個々の危険因子を特定するために単変量モデルを適用し、 次に、p<0.10の因子をステップワイズ多変量モデルに適用した。最終モデルには、ステップワイズ多変量モデルでp<0.05 となった因子をすべて含めた。多重比較のためのp 値の調整は行わなかった。

CI(confidence interval):信頼区間;IR(incidence rate):発現率;MACE(major adverse cardiovascular events):主要心血管イベント;NMSC(non-melanoma skin cancer):非黒色腫皮膚癌;VTE(venous thromboembolic events):静脈血栓塞栓症

Sandborn,W.J.et al.:J Crohns Colitis.2022 Sep 17;jjac141.doi:10.1093/ecco-jcc/jjac141.
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。

Inductionコホート(第II相及び第III相寛解導入試験)対象例数は1220例、投与期間は8週(1094及び1095試験は最長9週)。寛解導入試験(1063、1094及び1095試験)でプラセボ又はゼルヤンツ10mg1日2回の投与を受けたすべての被験者のデータを含む。 Maintenanceコホート(第III相寛解維持試験)対象例数は592例、投与期間は52週(最長53週)。寛解維持試験(1096試験)のすべての被験者のデータを含む。 Overallコホート(第II相、第III相試験及び長期投与試験)対象例数は1156例、試験は継続中(データカットオフ:2016年7月8日、最長3.9年)。Inductionコホート、Maintenanceコホート及び長期非盲検試験(1139試験)でゼルヤンツが投与されたすべての被験者のデータを含む。1094及び1095試験終了時に臨床反応の基準に合致せず、1139試験に参加し、ゼルヤンツ10mg1日2回の投与を受けた被験者からなる1139試験のサブグループを寛解導入療法ノンレスポンダー(IndNR)として、Overallコホートの解析にも含めた。
社内資料:臨床データパッケージの概略(潰瘍性大腸炎)(承認時評価資料)[L20180327004]
電子添文改訂時の評価資料であり、一部承認外の成績が含まれています。海外で実施した市販後臨床試験(A3921133試験)の概要海外市販後安全性臨床試験:ORAL Surveillance試験(A3921133試験)(海外データ)
第IIIb/IV相無作為化並行群間非盲検安全性臨床試験(safety endpoint-driven study)

主な目的:
50歳以上で少なくとも1つ以上のCVリスク因子がある関節リウマチ患者を対象に、ゼルヤンツの2つの用量(5mg1日2回と10mg1日2回)とTNF阻害剤の安全性を比較する。

対象:
試験薬の投与を受けた被験者4,362例

2つの主要評価項目 :
主要なCV有害事象(MACE)の判定§および悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌[NMSC]を除く)の判定に関するTNF阻害剤に対するトファシチニブの非劣性。

統計解析計画:
トファシチニブ併合群のハザード比95%信頼区間(CI)上限がTNF阻害剤群と比較して非劣性基準を満たすかどうか明らかにする(MACE[On Treatment Time解析]および悪性腫瘍[Total Time解析]のいずれにおいても95% CI上限が1.8未満であることが検証されれば非劣性)。

治験実施計画書の修正:
2019年2月に、トファシチニブ10mg1日2回で治療した被験者において肺塞栓症の発現率および全死亡率の上昇をDSMBで確認した。その結果、治験実施計画書は修正され、トファシチニブ10mgを1日2回投与した被験者のうち試験薬投与の継続を選択した被験者は、トファシチニブ5mg1日2回投与に切り替えられた。

トファシチニブ10mg1日2回投与群の被験者で試験薬の投与継続を選択した被験者は、トファシチニブ5mg1日2回投与に切り替えられた。米国、プエルトリコ、カナダでは、TNF阻害剤に無作為化された被験者にアダリムマブ40mgを2週間に1回投与した。その他のすべての国では、TNF阻害剤に無作為化された被験者にエタネルセプト50mgを週1回投与した。
§MACE(主要な心血管系有害事象)には、心血管死、非致死性心筋梗塞、あらゆる病型の非致死性脳卒中が含まれる。
BID(bis in die)=1日2回、C(I confidence interval)=信頼区間、CV(cardiovascular)=心血管系、DSMB(Data Safety Monitoring Board)=データ安全性モニタリング委員会、IR(inadequate response)=効果不十分、MACE(major adverse cardiovascular events)=主要な心血管系有害事象、MTX(methotrexate)=メトトレキサート、NMSC(non-melanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、ORAL(Oral Rheumatoid Arthritis Trial)=ORAL試験、q2w(quaque 2 weeks)=2週間に1回、qw(quaque week)=1週間に1回、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
1)ClinicalTrials.gov. NCT02092467 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02092467.(2023/02/27参照)
2)ファイザープレスリリース https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/
pfizer-shares-co-primary-endpoint-results-post-marketing.(2023/02/27参照)
3)申請データファイザーニューヨーク州ニューヨーク
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。
承認された用法及び用量【関節リウマチ】通常、トファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。本邦におけるメトトレキサートの関節リウマチに対する用法・用量通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。
なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量とし16mgを超えないようにする。
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製品基本情報 | 潰瘍性大腸炎
2023年8月作成 XUC39N030A
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