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~海外市販後安全性臨床試験と米国のReal World Evidence~
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等については、製品情報(電子添文等)をご参照ください。
【RCT】ゼルヤンツの9.5年間の安全性と8年間の有効性を検討した長期投与試験1024試験と【RWE】2つの日本のリアルワールドエビデンスをご紹介します。
ゼルヤンツの長期投与試験1024試験についてご紹介いたします。
関節リウマチ(RA)治療薬の有効性と安全性の検討には、臨床試験および市販後の実臨床におけるエビデンスの蓄積が極めて重要となります。
RA治療薬のゼルヤンツ(トファシチニブ)においても、「臨床試験」と「実臨床」の両方のエビデンスが蓄積され、検討されています。
しかしながら、臨床試験(RCTs)と実臨床では患者集団、特定の共存疾患、治療歴など、様々な相違があることから、RCTsの結果は、実臨床解析から得られた結果と直接比較することはできません。
ゼルヤンツは非盲検長期継続投与試験を行っており、9.5年間の安全性および8年間の有効性を海外において検討しています。
対象はゼルヤンツの第Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ相のいずれかの先行患者選択指標試験を完了し、2007年2月5日~2016年11月30日に本試験に登録されたRA患者4481例です。
対象患者をゼルヤンツ5mg 1日2回群1123例、ゼルヤンツ10mg 1日2回群3358例に割り付け、最長9.5年間継続投与しました。ゼルヤンツ5mg 1日2回群または10mg 1日2回群への割り付けは、ゼルヤンツ総1日投与量(TDD)に従って行い、TDD<15mgはゼルヤンツ5mg 1日2回群、TDD≧15mgはゼルヤンツ10mg 1日2回群としました。試験期間中の関節炎治療薬、特定のcsDMARDs、ステロイド薬の継続投与は可としました。ゼルヤンツまたは併用薬は治験担当医師の裁量で調節しました。
主要評価項目はゼルヤンツ5mg 1日2回、10mg 1日2回長期投与の安全性および忍容性、副次評価項目はゼルヤンツ5mg 1日2回長期投与の有効性として、ACR20、50、70改善率、HAQ-DIスコア、ΔHAQ-DIスコア≧0.22 達成率、DAS28-4(ESR)、DAS28-4(ESR)<2.6(寛解)達成率、DAS28-4(ESR)≦3.2(低疾患活動性)達成率、CDAI≦2.8(寛解)達成率、SDAI≦3.3(寛解)達成率等でした。
主要評価項目である重篤な感染症、NMSCを除く悪性腫瘍、帯状疱疹の発現率の経時的変化はこのような推移を示しています。
投与開始から114ヵ月後までの有害事象発現率は、ゼルヤンツ投与群全体で90.1%(4036/4481例)、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で90.4%(1015/1123例)でした。重篤な有害事象はゼルヤンツ投与群全体で30.0%(1343/4481例)、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で30.8%(346/1123)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ25.0%(1120/4481)、28.0%(315/1123)でした。追跡期間中に88例が死亡し、そのうちゼルヤンツ5mg 1日2回群の死亡例は39例でした。重篤な有害事象の内訳は、肺炎(2.1%)、変形性関節症(1.9%)、関節リウマチ(0.8%)等であり、投与中止に至った有害事象の内訳は、肺炎(1.8%)、血中クレアチニン上昇(1.5%)、帯状疱疹(0.7%)等でした。
おもな有害事象の内訳は、ゼルヤンツ全投与群において上気道感染症18.8%(842/4481例)、鼻咽頭炎14.6%(656/4481例)、尿路感染症13.8%(619/4481例)等でした。
臨床検査所見における主な有害事象は、ゼルヤンツ全投与群において血中クレアチンホスホキナーゼ上昇7.6%(340/4481例)、ALT上昇4.1%(185/4481例)、血中クレアチニン上昇3.9%(176/4481例)等でした。
とくに注目すべき有害事象の発現率はこちらになります。ゼルヤンツ全投与群における非黒色腫皮膚癌(NMSC)のIRは0.7(116/4481例)、NMSC以外の悪性腫瘍は0.8(138/4481例)であり、リンパ腫、黒色腫、乳癌(女性患者のみ)、肺癌はそれぞれ0.5未満でした。
ゼルヤンツ全投与群における重篤な感染症のIRは2.4(395/4481例)、帯状疱疹は3.4(526/4481例)であり、結核、結核以外の日和見感染症、心血管/感染症/悪性腫瘍の死亡率はそれぞれ0.5未満でした。
ゼルヤンツ全投与群における複合主要心血管イベント(MACE)、胃穿孔、間質性肺炎、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症のIRはそれぞれ0.5未満でした。
副次評価項目であるACR20改善率は、投与1ヵ月時で70.7%を示し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるACR50改善率は、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるACR70改善率は、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるHAQ-DIスコアは、ベースラインの1.40から投与1ヵ月時で0.83に低下し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
副次評価項目であるDAS28-4(ESR)は、ベースラインの6.27から投与1ヵ月時で3.81に低下し、投与96ヵ月時までこのように推移しました。
実臨床(RWE)として、関節リウマチ患者におけるゼルヤンツ投与24週間の有効性と安全性についてご紹介いたします。
RA治療薬のゼルヤンツにおいても、「臨床試験」と「実臨床」の両方のエビデンスが蓄積され、検討されています。
しかしながら、臨床試験(RCTs)と実臨床では患者集団、特定の共存疾患、治療歴など、様々な相違があることから、RCTsの結果は、実臨床解析から得られた結果と直接比較することはできません。
こちらは、国内2施設(長崎大学病院および佐世保中央病院)において、2013年11月~2016年5月までにゼルヤンツ5mg1日2回の連日投与を開始した関節リウマチ(RA)患者70例を対象に、24週間の有効性と安全性を検討した実臨床研究です。
患者背景およびベースライン時の特性はこのようになっています。
DAS28-ESRスコアの平均値は、ベースライン時の5.04±1.33から投与4週時3.83±1.11に低下し、投与24週時までこのように推移しました(p<0.0001)。
DAS28-ESR、SDAI、CDAIで定義される疾患活動性の患者割合です。
各臨床指標において寛解を達成した患者割合はベースライン時と投与24週時でこのようになりました(DAS28-ESR<2.6:0%→21.4%、SDAI≦3.3:0%→26.1%、CDAI≦2.8:0%→20.3%)。
LDA未満を達成した患者割合もベースライン時と投与24週時でこのようになりました(DAS28-ESR:5.7%→40.0%、SDAI:15.9%→69.6%、CDAI:13.0%→71.0%)。
投与開始から24週時までに、ゼルヤンツ5mg1日2回群で14/70例(20.0%)の有害事象が認められました。おもな有害事象は帯状疱疹5例、肺炎3例、上気道感染2例等でした。有害事象による投与中止例は4 例(肺炎、敗血症、悪心、耳下腺癌)でした。
※:おもな有害事象の発現率、重篤な有害事象、死亡例についての記載は文献にありませんでした。
本研究には、以下にあげるような限界があります。
・症例数が少ないため、統計解析に限界がある。
・今回の解析集団は日本人のみである。世界的な集団を代表していない可能性がある。
・対照群または比較対照群がなし。
・有効性の評価は投与24週間のため、長期を評価するデータは得られていない。
・安全性の評価は投与24週間のため、急性の有害事象のみが観察されることが予測された。
実臨床(RWE)として、関節リウマチ患者におけるゼルヤンツ治療:生物学的製剤(bDMARDs)未治療患者とbDMARDs既治療患者の直接比較試験についてご紹介いたします。
RA治療薬のゼルヤンツにおいても、「臨床試験」と「実臨床」の両方のエビデンスが蓄積され、検討されています。
しかしながら、臨床試験(RCTs)と実臨床では患者集団、特定の共存疾患、治療歴など、様々な相違があることから、RCTsの結果は、実臨床解析から得られた結果と直接比較することはできません。
こちらは、MTX効果不十分な関節リウマチ(RA)患者におけるゼルヤンツ治療の転帰について、生物学的製剤(bDMARDs)未治療群およびbDMARDs既治療群を直接比較したプロスペクティブ試験です。
bDMARDs未治療群とbDMARDs既治療群のベースライン時の患者背景はこのようになっています。
投与6ヵ月時のCDAIの寛解率は、ゼルヤンツを投与されたbDMARDs既治療群11.7%に対し、bDMARDs未治療群41.1%でした。
LDA、MDA、HDA、投与中止の変化はこのようになりました。
投与開始から6ヵ月時までに、有害事象による投与中止例は、bDMARDs既治療群で2例(いずれも重症のリンパ球減少症により入院)、bDMARDs未治療群で2例(器質化肺炎1例、全身性発疹1例)でした。
※:有害事象の頻度、おもな有害事象、重篤な有害事象、死亡例については文献に記載ありませんでした。
本研究には、以下にあげるような限界があります。
・患者数が少ないため、統計解析に限界がある。
・今回の解析集団は日本人のみである。世界的な集団を代表していない可能性がある。
・投与期間が6ヵ月という短期間の追跡調査であり、ゼルヤンツの長期的な有効性を評価するデータは得られていない。
・bDMARDs未治療群とbDMARDs既治療群の比較は、bDMARDs既治療のある患者は複数の治療を経験していたため、バイアスがかかる可能性がある。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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