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~海外市販後安全性臨床試験と米国のReal World Evidence~
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等については、製品情報(電子添文等)をご参照ください。
第Ⅲ相ORAL Standard試験と、リアルワールドエビデンス(RWE)である関節リウマチ患者の治療における投与方法の嗜好性についての調査をご紹介します。
ゼルヤンツの臨床試験の中からORAL Standard試験をご紹介いたします。
ORAL Standard試験は、MTXで効果不十分の活動性RA患者717例を対象とした海外における多施設共同試験です。
ORAL Standard試験におけるベースライン時の患者背景はこのようになっています。
主要評価項目である投与6ヵ月時のACR20改善率は、プラセボ(MTX単剤)群28.3%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群51.5%と有意な差を示しました(p<0.001、二項正規近似)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX群の結果は参照群であるため図示していません。
主要評価項目である投与3ヵ月時のHAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量は、プラセボ(MTX単剤)群-0.24に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群-0.55と有意な差を示しました(p<0.001、反復測定混合効果モデル)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX群の結果は参照群であるため図示していません。
主要評価項目である投与6ヵ月時のDAS28-4(ESR)<2.6達成率は、プラセボ(MTX単剤)群1.1%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群6.2%と有意な差を示しました(p<0.05、二項正規近似)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX群の結果は参照群であるため図示していません。
HAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量はこのように推移しました。
主要評価項目である投与3ヵ月時のHAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量は、プラセボ(MTX単剤)群-0.24に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群では-0.54と有意な差を示しました(p<0.0001、反復測定混合効果モデル)。
副次評価項目である投与3ヵ月時以外のHAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量は、投与1、6ヵ月時において、いずれもプラセボ(MTX単剤)群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(いずれもp<0.0001、反復測定混合効果モデル、各時点のHAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量は出典の文献に記載がありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX 群、プラセボ+MTX→ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX 群の結果は参照群であるため図示していません。
副次評価項目であるPain VASのベースラインからの平均変化量は、投与1、3、6ヵ月時において、プラセボ(MTX単剤)群に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(いずれもp<0.0001、反復測定混合効果モデル、投与3月時のPain VASのベースラインからの平均変化量はプラセボ(MTX単剤)群-9.50、ゼルヤンツ5mg1日2回群-26.74、投与1、6ヵ月時の数値は引用文献に記載がありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX群の結果は参照群であるため図示していません。
副次評価項目であるFACIT-Fスコアのベースラインからの変化量は左の図のように推移しました。
FACIT-Fスコアのベースラインからの変化量は、投与1、3、6ヵ月時において、いずれもプラセボ(MTX単剤)群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(投与1ヵ月時p≦0.05、投与3、6ヵ月時p<0.0001、反復測定混合効果モデル、投与3ヵ月時のFACIT-Fスコアのベースラインからの平均変化量はプラセボ(MTX単剤)群1.57、ゼルヤンツ5mg1日2回群5.85、投与1、6ヵ月時は出典の文献に記載がありませんでした)。
副次評価項目であるMOS-Sleepスコアのベースラインからの変化量は右の図のように推移しました。
MOS-Sleepスコアのベースラインからの変化量は、投与3、6ヵ月時において、いずれもプラセボ(MTX単剤)群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(いずれもp≦0.05、反復測定混合効果モデル、投与3ヵ月時のMOS-Sleepスコアのベースラインからの平均変化量はプラセボ(MTX単剤)群-3.57、ゼルヤンツ5mg1日2回群-7.31、投与6ヵ月時は出典の文献に記載がありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX 群、プラセボ+MTX→ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX 群の結果は参照群であるため図示していません。
副次評価項目であるSF-36(PCS)スコアのベースラインからの変化量は左の図のように推移しました。
SF-36(PCS)スコアのベースラインからの変化量は、投与1、3、6ヵ月時において、いずれもプラセボ(MTX単剤)群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(投与1ヵ月時p≦0.05、投与3ヵ月時p<0.0001、投与6ヵ月時p<0.001、反復測定混合効果モデル、投与3ヵ月時のSF-36(PCS)スコアのベースラインからの変化量はプラセボ(MTX単剤)群3.17、ゼルヤンツ5mg1日2回群6.98、投与1、6ヵ月時は出典の文献に記載がありませんでした)。
副次評価項目であるSF-36(MCS)スコアのベースラインからの変化量は右の図のように推移しました。
SF-36(MCS)スコアのベースラインからの変化量は、投与6ヵ月時において、プラセボ(MTX単剤)群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(p<0.001、反復測定混合効果モデル、投与6ヵ月時のSF-36(MCS)スコアのベースラインからの平均変化量は出典の文献に記載がありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX 群、プラセボ+MTX→ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は承認外用量であるため、またアダリムマブ40mg隔週+MTX 群の結果は参照群であるため図示していません。
投与開始から3ヵ月時までの因果関係を問わないおもな有害事象は、ゼルヤンツ5mg 1日2回群では上気道感染症9例(4.4%)、頭痛8例(3.9%)、鼻咽頭炎8例(3.9%)、ゼルヤンツ10mg 1日2回群では上気道感染症7例(3.5%)、頭痛6例(3.0%)、帯状疱疹6例(3.0%)であり、アダリムマブ群では上気道感染症7例(3.4%)、鼻咽頭炎7例(3.4%)、尿路感染症7例(3.4%)、プラセボ群では咳3 例(2.8%)、頭痛2 例(1.9%)、胃腸障害2 例(1.9%)、高血圧2 例(1.9%)等でした。
投与開始から3ヵ月の重篤な有害事象は、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で12 例(5.9%)、ゼルヤンツ10mg 1日2回群で10 例(5.0%)、アダリムマブ群で5例(2.5%)、プラセボ群で2例(1.9%)でした。
投与開始から3ヵ月の有害事象による中止は、ゼルヤンツ5mg 1日2回群で14例(6.9%)、ゼルヤンツ10mg 1日2回群で10例(5.0%)、アダリムマブ群で10例(4.9%)、プラセボ群で3例(2.8%)でした。
試験期間中にゼルヤンツ5mg 1日2回群、アダリムマブ群で各1例の死亡が報告されました。
※引用文献に重篤な有害事象、有害事象による中止の事象名の記載はありませんでした。
【補足】
表下の安全性の記載は因果関係を否定できない有害事象です。
ゼルヤンツは、1回5mgの錠剤を1錠、1日2回経口投与します。
ゼルヤンツは、MTX効果不十分例において、MTX併用で臨床症状、身体機能、疾患活動性の改善が認められています。
ゼルヤンツは、1回5mg1錠、1日2回投与の経口薬です(既存治療で効果不十分な関節リウマチ) 。
実臨床において、患者さんとの協働的意思決定のもと治療を行うことは重要です。
患者さんの希望を考慮した治療選択肢を検討する際に参考となる、関節リウマチ患者における投与方法の嗜好性についての調査をご紹介いたします。
こちらは、「関節リウマチ(RA)患者の治療における投与方法の嗜好性についての調査」の概要です。
関節リウマチ(RA)と医師に診断され、csDMARD、bDMARD、またはtsDMARDを服用している成人(≧18歳)で、米国および欧州の調査研究に参加同意した100例(米国30例、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、英国、ブラジル各10例)を対象に調査を実施しました。
多国籍横断的定性的研究であり、RA治療における投与方法の嗜好の他、RAに関する一般的な経験、現在および過去の治療、痛み・倦怠感を含む現在の症状、重症度、治療に対する現在の満足度等に関する事項について面談調査が行われました。
こちらは、「RA患者の治療における投与方法の嗜好性についての調査」のなかで、それぞれの投与方法について第1選択とした患者数の割合です。
第1選択とした患者数の割合は、経口投与で57%、自己注射で29%、点滴静脈注射で16%、来院注射で2%でした※。
※4例が2回カウントされたためトータルで104%でした(経口および自己注射[N=3]、経口および点滴静脈注射[N=1])。
こちらは、それぞれの投与方法を選択した理由、選択しなかった理由のうち、よくみられた(患者の25%以上)理由を示しています。
【経口投与】
経口投与を選択した理由は、「投与の速さ」が30例(52.6%)、「服用のしやすさ」が30例(52.6%)、「携帯性」が23例(40.4%)でした。
経口投与を選択しなかった理由は、「別の錠剤を服用することへの躊躇」が16例(37.2%)、「服用するのを忘れる」が15例(34.9%)、「薬物間相互作用の可能性」が11例(25.6%)でした。
【自己注射】
自己注射を選択した理由は、「投与の速さ」が16例(55.2%)、「投与頻度の少なさ」が12例(41.4%)、「時間管理がしやすい」が11例(37.9%)でした。
自己注射を選択しなかった理由は、「針による痛みの回避」が33例(46.5%)、「針の回避」が30例(42.3%)、「旅行時の携帯や管理の難しさ」が19例(26.8%)、「冷蔵する必要性」が18例(25.4%)でした。
【点滴静脈注射】
点滴静脈注射を選択した理由は、「投与頻度の少なさ」が13例(81.3%)、「医療従事者の管理下で行われるため安心感がある、安全である」が5例(31.3%) でした。
点滴静脈注射を選択しなかった理由は、「不便」が56例(66.7%)、「注入時間が長い」が23例(27.4%) でした。
【来院での注射】
来院での注射を選択した理由は、「医療従事者が投与するため痛みや不安がない」「他の誰かが投与することを望む」「より効果があると感じる」「効果が早いと感じる」「医療従事者の管理下で行われるため安心感がある、安全である」「迅速な投与」が各1例(50.0%)でした。
来院での注射を選択しなかった理由は、「不便」が69例(70.4%)でした。
本調査には、以下にあげるような限界があります。
・本調査は、米国、欧州(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、英国)、ブラジルにおける多国籍横断的定性的研究であり、アジア系人種/民族の患者は含まれていない。
・諸外国と日本では保険制度が異なり、掲載されている海外のデータと本国では嗜好性が異なる可能性がある。
・Descriptive(統計的な検証がされていない)データである。
・In-person Interviewである。
・本調査では、投与方法に関する各患者の考えや認識について詳細な情報が得られたが、その定性的デザインと症例数が比較的少なかったため、より広いRA集団における結果を一般化する能力に限界がある。
・すべての患者が4つの投与方法を経験しているわけではなく、患者が経験していない投与方法について意見を述べることは困難である。
「RA患者の治療における投与方法の嗜好性についての調査」では、第1選択とした患者数の割合は、経口投与で57%、自己注射で29%、点滴静脈注射で16%、来院注射で2%でした。
今回のデータが患者さんの希望を考慮した治療選択肢を検討する際の一助となれば幸いです。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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