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RA患者に対するTreat to TargetのアプローチおよびTNF阻害剤効果不十分例を対象とした第Ⅲ相試験ORAL Step試験の結果についてご紹介します。
監修:大阪府済生会中津病院 整形外科 部長 大阪市立大学 医学研究科 客員教授
乾 健太郎 先生
疾患活動性の評価によって病状を把握し、目標に向けたタイトコントロールにより長期アウトカムを改善するTreat to Target(T2T)のアプローチはRA治療において重要です。
TNF阻害剤効果不十分例に対するゼルヤンツの有効性および安全性を検討した第Ⅲ相試験ORAL Step試験の結果は、日々、治療選択肢を検討されている先生の参考になるかと存じます。
RA治療において、TNF阻害剤で効果不十分な患者さんに対する治療選択肢を検討する際に、参考となるゼルヤンツの臨床試験の概要と有効性および安全性のデータをご紹介します。
目標達成に向けた治療(T2T)は、日常診療において治療目標を明確にし、目標達成のために患者との協働的意思決定のもと戦略的に治療アプローチを展開していくという概念が示されています。
基本的な考え方は、疾患活動性の評価によって病状を把握し、寛解や低疾患活動性の目標に向けたタイトコントロールにより長期アウトカムを改善するという考え方が示されています。
リコメンデーションは、治療目標、評価、治療選択に関連する個々のステートメントが示されています。
基本的な考え方は以下です。
リコメンデーションは以下です。
ゼルヤンツはJAK Pathwayの活性化に利用されるATPの構造の一部と類似構造を持ち、細胞内でATPと競合的にJAKに結合し、以降のシグナル伝達を阻害します。
生物学的製剤が細胞外で作用するのに対し、ゼルヤンツは細胞内に局在するJAKのシグナル伝達を阻害します。
生物学的製剤は特定のサイトカインや受容体に作用しますが、ゼルヤンツはJAK Pathwayに作用することで、炎症に関わる複数のサイトカインのシグナル伝達を抑制します。
ORAL Step試験は、1 種類以上のTNF 阻害剤で効果不十分の活動性RA 患者399例を対象とした海外における多施設共同試験です。
ORAL Step試験におけるベースライン時の患者背景はこのようになっています。
主要評価項目である投与3ヵ月時のACR20改善率は、プラセボ(MTX単剤)群24.43%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群41.67%で有意な差を示しました(p≦0.05、二項正規近似)。
また、副次評価項目である投与3ヵ月時以外のACR20改善率は、投与0.5、1ヵ月時において、プラセボ(MTX単剤)群に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(p≦0.05、二項正規近似、各時点の数値は引用文献に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
主要評価項目である投与3ヵ月時のHAQ-DIスコアのベースラインからの変化量は、プラセボ(MTX単剤)群-0.18に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群-0.43で有意な差を示しました(p<0.0001、反復測定混合効果モデル)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
主要評価項目である投与3ヵ月時のDAS28-4(ESR)<2.6達成率は、プラセボ(MTX単剤)群1.7%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群6.7%で有意な差を示しました(p=0.0496、二項正規近似)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
副次評価項目であるHAQ-DIスコアの臨床的に意義のある改善が認められた患者の割合は、投与3ヵ月時においてプラセボ(MTX単剤)群46.6%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群60.7%で有意な差を示しました(p<0.05、縦型繰り返し測定混合効果モデル)。
また、副次評価項目であるPain VASの臨床的に意義のある改善が認められた患者の割合は、投与3ヵ月時においてプラセボ(MTX単剤)群39.1%、ゼルヤンツ5mg1日2回群69.3%で有意な差を示しました(p<0.0001、縦型繰り返し測定混合効果モデル)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
副次評価項目であるPain VASのベースラインからの変化量は、ベースライン値に対し、0.5、1、3、4.5ヵ月時および6ヵ月時のゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(p<0.0001、longitudinal model、各時点の数値は引用文献に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
副次評価項目であるPtGA VASのベースラインからの変化量は、ベースライン値に対し、0.5、1、3、4.5ヵ月時および6ヵ月時のゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(p<0.0001、longitudinal model、各時点の数値は引用文献に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回+MTX群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
投与開始から3ヵ月時に頻度が高かった因果関係を問わないおもな有害事象は、ゼルヤンツ群で下痢13例(4.9%)、鼻咽頭炎11例(4.1%)、頭痛11例(4.1%)、尿路感染症8例(3.0%)、プラセボ群で悪心9例(6.8%)でした。
3~6ヵ月時に全投与群を通じて頻度が高かったおもな有害事象は、上気道感染症13例(3.3%)、鼻咽頭炎11例(2.8%)、気管支炎9例(2.3%)でした。重篤な有害事象は、ゼルヤンツ5mg1日2回群で2例(1.5%)、ゼルヤンツ10mg1日2回群で2例(1.5%)、プラセボ群で6例(4.5%)でした。
3~6ヵ月時の有害事象による中止は、ゼルヤンツ5mg1日2回群で8例(6.0%)、ゼルヤンツ10mg1日2回群で6例(4.5%)、プラセボ群で7例(5.3%)でした。
本試験において1例の死亡例が報告されました。
※重篤な有害事象、有害事象による中止の事象名は引用文献に記載はありませんでした。
【補足】
表下の安全性の記載は因果関係を否定できない有害事象です。
ゼルヤンツは、1回5mgの錠剤を1錠、1日2回経口投与します。
ゼルヤンツは、JAK Pathwayを阻害することで、炎症に関わる複数のサイトカインを阻害する経口薬です。
TNF阻害剤効果不十分のRA患者において、MTX併用で臨床症状、身体機能、疾患活動性、患者による痛み評価、患者による症状の評価の改善を示しました。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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