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ゼルヤンツの作用機序およびDMARD効果不十分例を対象とした第Ⅲ相試験ORAL Sync試験の結果をご紹介します。
監修:慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 准教授 鈴木 勝也 先生
JAK阻害薬のゼルヤンツと生物学的製剤では、分子量や投与経路、作用機序等が大きく異なります。ゼルヤンツは経口薬であり、JAK Pathwayに作用することで炎症に関わる複数のサイトカインのシグナル伝達を抑制します。
DMARD効果不十分例に対するDMARD併用の有効性と安全性を検討したゼルヤンツの第Ⅲ相試験ORAL Sync試験では多様な結果が示され、効果発現時期に関するエビデンスもみられます。
これらの情報は、臨床において先生がRA患者さんのニーズやライフスタイルに沿った治療選択肢を考慮する際に参考になるかと存じます。
生物学的製剤は分子量が大きいタンパク製剤であるのに対し、ゼルヤンツは低分子化合物です。ゼルヤンツは分子標的治療薬でありながら、経口での投与が可能となっています。
RAの炎症反応に関与するサイトカインには、IFN-α、β、IL-6、7、10、12、15、21、23などJAK Pathwayを利用するものが多いため、JAK Pathwayの活性を阻害することはRAの疾患修飾療法として合理的と考えられています。
ゼルヤンツはJAK Pathwayの活性化に利用されるATPの構造の一部と類似構造を持ち、細胞内でATPと競合的にJAKに結合し、以降のシグナル伝達を阻害します。
生物学的製剤とゼルヤンツの違いを改めて確認させていただきます。
生物学的製剤が細胞外で作用するのに対し、ゼルヤンツは細胞内に局在するJAK のシグナル伝達を阻害します。
生物学的製剤は特定のサイトカインや受容体に作用しますが、ゼルヤンツはJAKに作用することで、炎症に関わる複数のサイトカインのシグナル伝達を抑制します。
ORAL Sync試験は、既存のDMARDで効果不十分の活動性RA患者792例を対象とした海外における多施設共同試験です。
ORAL Sync試験における患者背景はこのようになっています。
主要評価項目である投与6ヵ月時のACR20改善率は、プラセボ群31.21%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群では52.73%と有意な差を示しました( p≦0.05 、二項正規近似)。
また、 副次評価項目である投与6ヵ月時以外のACR20改善率は、投与2週時、そして、その後、1、2、3、4.5ヵ月時において、いずれもプラセボ群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(p≦0.05、二項正規近似、各時点のACR20改善率は出典の社内資料に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
主要評価項目である投与3ヵ月時のHAQ-DIスコアのベースラインからの平均変化量は、プラセボ群-0.16に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群では-0.44と有意な差を示しました(p<0.001、反復測定混合効果モデル)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
主要評価項目である投与6ヵ月時のDAS28-4(ESR)<2.6達成率は、プラセボ群2.6%に対し、ゼルヤンツ5mg1日2回群では8.5%と有意な差を示しました(p=0.005、二項正規近似) 。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
副次評価項目である患者による痛み評価の改善を示すPain VASのベースラインからの平均変化量は、投与2週時、そして、その後、1、2、3、4.5、6ヵ月時において、いずれもプラセボ群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(2週時:p<0.05、1ヵ月時:p<0.01、2、3、4.5、6ヵ月時:p<0.0001、3ヵ月時のPain VASのベースラインからの平均変化量はプラセボ群-11.4、ゼルヤンツ5mg1日2回群-24.2、その他の各時点は引用文献に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
副次評価項目である患者による症状の評価の改善を示すPtGA VASのベースラインからの平均変化量は、投与2週時、そして、その後、1、2、3、4.5、6ヵ月時において、いずれもプラセボ群に対しゼルヤンツ5mg1日2回群で有意な差を示しました(2週時、1、6ヵ月時:p<0.01、 2、3、4.5ヵ月時:p<0.0001、3ヵ月時のPtGA VASのベースラインからの平均変化量はプラセボ群-12.5、ゼルヤンツ5mg1日2回群-24.8、その他の各時点は引用文献に記載はありませんでした)。
【補足】
ゼルヤンツ10mg1日2回群の結果は、承認外用量であるため図示していません。
試験開始から12ヵ月時までに発現頻度の高い有害事象は、上気道感染症(ゼルヤンツ5mg1日2回群で12.3/100 人・年、ゼルヤンツ10mg1日2 回群で14.6/100 人・年、プラセボ群で12.6/100 人・年)、鼻咽頭炎(ゼルヤンツ5mg1日2 回群で7.1/100 人・年、ゼルヤンツ10mg1日2 回群で5.6/100 人・年、プラセボ群で21.6/100 人・年)でした。重篤な有害事象は、ゼルヤンツ5mg1日2 回群は6.9/100 人・年、ゼルヤンツ10mg1日2回群では7.3/100 人・年、プラセボ群では10.9/100 人・年でした。
投与開始から3ヵ月時に報告された重篤な有害事象は、ゼルヤンツ5mg1日2回群で2例(0.6%)(気管支炎、播種性の帯状疱疹)、ゼルヤンツ10mg1日2回群で4例(1.3%)(肺炎2例、糖尿病性足感染症、気管支炎)等でした。
併用するDMARDの種類に特定の傾向は認められませんでした。試験開始から12ヵ月時の有害事象による中止は、ゼルヤンツ5mg1日2回群は6.2/100人・年、ゼルヤンツ10mg1日2回群では9.7/100人・年、プラセボ群では5.4/100人・年でした。
本試験において4例の死亡が報告されました。
※引用文献には有害事象による中止の事象名の記載はありませんでした。
【補足】
表下の安全性の記載は因果関係を否定できない有害事象です。
ゼルヤンツは、1回5mgの錠剤を1日2回経口投与します。
ゼルヤンツは細胞内でJAK Pathwayに作用することで、RAの炎症に関わる複数のサイトカインのシグナル伝達を抑制します。
ゼルヤンツはDMARD効果不十分例において、DMARD併用で投与3ヵ月時に身体機能、投与6ヵ月時に臨床症状、疾患活動性の改善を示しました。
また、投与2週時に臨床症状、患者による痛み評価、患者による症状の評価の改善を示しました。
ゼルヤンツは、1回5mg1錠、1日2回投与の経口薬です(既存治療で効果不十分な関節リウマチ)。
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