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JAKファミリーの種類や組み合わせによる機能の違い、ゼルヤンツのJAK阻害作用および臨床試験・実臨床におけるエビデンスについてご紹介します。
監修:順天堂大学医学部膠原病内科 教授 田村 直人 先生
JAK阻害剤であるゼルヤンツは、キナーゼアッセイでJAK1、JAK2、JAK3を阻害し、TyK2も軽度に阻害します。このコンテンツでは、JAKファミリーの種類や組み合わせによる機能の違いなどの基本的な内容から、ゼルヤンツのJAKファミリーに対する阻害作用、臨床試験および実臨床での豊富なエビデンスの内容について解説しております。
生体内のサイトカインによるシグナル伝達経路には様々なものがあります。
その1つにヤヌスキナーゼ、つまりJAKと呼ばれるPathwayがあります。
RAの炎症反応に関与するサイトカインには、IFN-α、β、IL-6、7、10、12、15、21、23などJAK Pathwayを介するものが多いため、JAK Pathwayの活性を阻害することはRAの疾患修飾療法として合理的と考えられています。
JAKファミリーには、JAK1、JAK2、JAK3、TyK2の4種類のサブタイプが存在します。その組み合わせによりリガンドとなるサイトカインおよび活性化される生体反応が異なります。
こちらは、JAKファミリー遺伝子のノックアウトマウスの表現型とシグナルを利用するサイトカインを示しています。
JAK1遺伝子およびJAK3遺伝子ノックアウトマウスはSCID(重症複合免疫不全症)となり、液性免疫および細胞性免疫の複合不全となります。
JAK2遺伝子ノックアウトマウスは赤血球造血障害により胎生致死となります。
TyK2遺伝子ノックアウトマウスは寄生虫感染感受性、LPS(リポ多糖)抵抗性、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)抵抗性となります。
ゼルヤンツはJAK Pathwayの活性化に利用されるATPの構造の一部と類似構造を持ち、細胞内でATPと競合的にJAKに結合し、以降のシグナル伝達を阻害します。
こちらは、ゼルヤンツのin vitroにおけるJAKファミリーの酵素活性阻害作用を示しています。
in vitroキナーゼアッセイ法を用いて、ゼルヤンツのJAKファミリ―に対する阻害活性および選択性について検討しました。
その結果、ゼルヤンツのJAK1、JAK2、JAK3およびTyK2に対するIC50は、それぞれ15.1、77.4、55および489nMでした。
RA治療薬の有効性と安全性は、臨床試験と実臨床における検討で明らかになります。
こちらは、RAおよび潰瘍性大腸炎(UC)領域におけるゼルヤンツの臨床成績および実臨床での使用経験を示したものです。
ゼルヤンツは、関節リウマチ領域で6件の第Ⅲ相臨床試験と2件の長期継続投与試験を実施し、115,000例以上の実臨床の使用経験があります。
また、RAの後に承認取得をしたUC領域では、3件の第Ⅲ相臨床試験と1件の長期継続投与試験を実施し、実臨床での検討が行われています。
ゼルヤンツはこのような有効性および安全性に関するエビデンスを有するJAK阻害薬です。
こちらは、RA患者を対象としたゼルヤンツの第Ⅲ相試験および長期投与試験の概要を示したものです。
ゼルヤンツは単剤およびMTX/DMARD併用の臨床試験において、MTX、DMARD、TNF阻害剤効果不十分例に対する有効性・安全性が検討されています。
単剤投与を検討した試験として、ORAL Solo試験およびORAL Strategy試験が実施されています。
ORAL Scan試験、長期投与試験の1041試験は対象に日本人が含まれています。
日本において、ゼルヤンツは2013年7月に発売され、2022年7月で9周年を迎えました。
発売以来、特定使用成績調査(全例調査)による安全性の検討を行ってきました。
2019年9月に関節リウマチを対象とした全例登録に関する承認条件解除の通知を厚生労働省より受領し、全例を対象とする登録が終了となりました(登録11,739例、MTX使用条件適合症例4,470例)。
2022年2月には、特定使用成績調査の最終報告書を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。
発売以来、先生方の多大なるご協力をいただきましたこと、改めて感謝いたします。
9周年を迎えたゼルヤンツについて、これまでの臨床経験を通じて、今後も適切な情報の収集と提供に努めてまいります。
本コンテンツは、日本国内の医療・医薬関係者を対象に、日本国内で医療用医薬品を適正にご使用いただくため、日本国内の承認に基づき作成されています。日本の医療機関・医療提供施設等に所属し、医療行為に携っている方を対象としており、日本国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
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