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「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は最新のDI情報をご参照ください。〈複雑性尿路感染症※1〉国際共同第Ⅲ相試験(D4280C00002/4試験:RECAPTURE試験)(日本人含む海外データ)1,2)

※1「抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン」3)において、複雑性尿路感染症の対象疾患は腎盂腎炎、膀胱炎とされている

1)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験[D4280C00002/4(RECAPTURE)試験](承認時評価資料)
2)Wagenlehner, FM. et al.: Clin Infect Dis 63(6): 754, 2016(本研究への資金提供はないが、現在のスポンサーはPfizer社である。)
3)抗菌薬臨床評価のガイドライン:厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課:薬生薬審発1023(3), 2017 

本試験成績には一部承認外の菌種が検出された患者のデータが含まれていますが、承認時評価資料のため掲載します。

本治験は当初、各地域の規制当局との相談に基づき、同内容の2試験(D4280C00002及びD4280C00004試験)としてデザインし、欧州医薬品庁(EMA)を含む各規制当局(ROW)および米国食品医薬品局(FDA)のそれぞれの要求事項を満たす主要目的をいずれの試験にも設定した。その後、EMA及びFDA両規制当局と協議した結果、これらの2試験を「RECAPTURE試験」として単一のデータベースに併合することとした。本資料ではROWでの解析手法および解析結果を示す。

試験概要

【目的】
グラム陰性菌による複雑性尿路感染症(急性腎盂腎炎またはそれ以外の複雑性下部尿路感染症)の入院患者を対象にザビセフタの有効性、安全性及び忍容性をドリペネムと比較検討する。

【試験デザイン】
第Ⅲ相、無作為化、多施設共同、二重盲検、ダブルダミー、並行群間比較試験

【対象】
複雑性尿路感染症(急性腎盂腎炎またはそれ以外の複雑性下部尿路感染症)患者1,020例(日本人55例、うちザビセフタ投与32例を含む)

<主な選択基準>

18~90歳膿尿を認める患者(尿沈渣検査で≧10WBCs/HPFまたは非遠心分離尿で白血球≧10WBCs/mm3治験参加前48時間以内の尿培養検査で陽性(治験薬に感受性のある既知の原因菌≧105CFU/mL)であった患者急性腎盂腎炎またはそれ以外の複雑性下部尿路感染症と診断された患者

<主な除外基準>

グラム陽性菌、または治験薬に耐性のある原因菌に感染している患者尿培養で3種類以上の菌(コロニー数は問わない)が認められた、または真菌性尿路感染症が確定した患者血液透析または腹膜透析を受けている、あるいは腎移植を受けた患者免疫不全の患者6~8週間の試験期間中、生存する可能性が低い、急速に進行する疾患または末期疾患を有する患者(敗血症性ショックなど)

【試験方法】

適格な治験参加者を1:1の比でザビセフタ群またはドリペネム群に無作為に割り付けた。治験薬の投与期間(静脈内投与+任意選択の経口投与薬)は10日間とし、菌血症が認められた場合は14日間に延長してよいこととした。経口投与薬への切り替えは、静脈内投与を5日間(15回投与)以上受け、治験実施計画書で規定された臨床的改善の基準を満たした場合のみ許容した。いずれの治験薬も8時間ごとに投与した。

<ザビセフタ群>

ドリペネムのプラセボを静脈内投与した直後にザビセフタ(セフタジジム2,000mg+アビバクタム500mg)を120分かけて静脈内投与した。

<ドリペネム群>

ドリペネム500mgを静脈内投与した直後にザビセフタのプラセボを静脈内投与した。

<腎機能による用量調節>

推定クレアチニンクリアランスが50mL/min以下(中等度〜重度の腎機能障害)の試験参加者では腎機能障害の程度に応じて下表に基づき用量調節を行った。

クレアチニンクリアランスが10~50mL/min未満に低下した場合の治験薬の用法用量

  • 治験薬最終投与(end-of-treatment:EOT)時点、治癒判定(test-of-cure:TOC)時点及び後期フォローアップ(latefollow-up:LFU)時点に来院日を設けた。
     
  •  投与期間は5〜14日の間で治験担当医師の裁量により決定可能とし、発熱やその他の症状・徴候(局所的な改善及び全身性の改善を明らかに裏付ける)に基づいて判断した。

【評価項目】
<主要評価項目・検証的解析項目>

TOC時点の患者ごとの微生物学的効果(mMITT集団における有効の割合)

<副次評価項目>

EOT、LFU時点の患者ごとの微生物学的効果(mMITT、ME、eME集団における有効の割合)TOC時点の患者ごとの微生物学的効果(ME、eME集団における有効の割合)EOT、TOC、LFU時点の原因菌別の微生物学的効果(mMITT、ME、eME集団における有効の割合)EOT、TOC、LFU時点のMIC値別の微生物学的効果(mMITT、ME、eME集団における有効の割合)EOT、TOC、LFU時点の臨床効果(mMITT、ME、eME、CE集団における治癒の割合)セフタジジム耐性菌に対するTOC時点の臨床効果および患者ごとの微生物学的効果(mMITT、ME、eME集団における治癒及び有効の割合)治験開始時に発熱が認められた患者の解熱までの期間(mMITT、ME、eME、CE集団) 等
<安全性評価項目>
投与量にかかわらず治験薬を静脈内投与されたすべての治験参加者のLFU時点までの有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、心電図及び身体学的検査

【判定基準】
<微生物学的効果>

ベースライン時に確認された尿路感染症の原因菌が、各評価時点の尿培養の変化について下表の定義に当てはまる場合、「有効」「無効」「判定不能」を評価した。

<臨床効果>
下表の定義に基づき「治癒」「治癒せず」「判定不能」で評価した。

TOC時点の判定が「治癒」でLFU時点の判定が「治癒せず」の場合は、LFU時点に感染症が再燃したものとみなしたTOC時点の判定が「治癒」でLFU時点の判定も「治癒」の場合は、LFU時点でも「治癒」が維持されているものとみなした

【解析対象集団】

【解析計画】
主要評価項目は、ザビセフタ群とドリペネム群の有効な微生物学的効果が得られた治験参加者の割合の差の95%信頼区間(CI)の下限が−12.5%を上回る場合に、ドリペネムに対するザビセフタの非劣性が検証されることとした。微生物学的効果(有効の割合)の群間差の両側95%CIはMiettinen-Nurminen法を用いて算出した。

非劣性試験の規制要件は地域差があることから、一部の地域で必要とされる非劣性マージン−10%に対しても検出力90%が得られる治験参加者数とし、非劣性マージン−12.5%に対する検出力95%超が得られることとした。

各治験実施計画書に基づき、ベースライン時の対象疾患(急性腎盂腎炎または腎盂腎炎を伴わないその他の複雑性尿路感染症)及び地域(北米及び西欧、東欧ならびにその他)を層別因子として、治験参加者を層別化した。

安全性評価項目は、安全性解析対象集団を用いて評価した。
患者背景(mMITT集団)

ベースライン時に検出された原因菌(mMITT集団)

日本人の患者背景(mMITT集団)

TOC時点の患者ごとの微生物学的効果
(mMITT集団における有効の割合)(主要評価項目・検証的解析結果)

mMITT集団におけるTOC時点の患者ごとの微生物学的効果(有効の割合)は、ザビセフタ群77.4%(304/393例)、ドリペネム群71.0%(296/417例)であり、群間差(95%信頼区間[CI])は6.4%(0.33%,12.36%)であった。
群間差の95%CIの下限が事前に規定した非劣性マージン−12.5%を上回ったことから、ザビセフタ群のドリペネム群に対する非劣性が検証された。

安全性(LFUまでの有害事象)(安全性解析対象集団)

ザビセフタ群の有害事象は、511例中185例(36.2%)に認められ、主な有害事象は頭痛38例(7.4%)、悪心15例(2.9%)、下痢14例(2.7%)等であった。

重篤な有害事象は21例(4.1%)に認められ、腎結石症3例、狭心症2例、腹部膿瘍、蜂巣炎、慢性C型肝炎、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、憩室炎、胃腸炎、結腸癌、不安定狭心症、冠動脈瘤、表在性血栓性静脈炎、過換気、下痢、腸膀胱瘻、後腹膜血腫、脊椎痛、尿管結石、水腎症、腎機能障害、処置中の出血各1例であった。

投与中止に至った有害事象は7例(1.4%)に認められ、下痢2例、蜂巣炎、肝膿瘍、低蛋白血症、胸水、嘔吐、腎機能障害各1例であった。

死亡に至った有害事象は認められなかった。なお、投与期間の中央値は7日であった。

ドリペネム群の有害事象は、509例中158例(31.0%)に認められ、主な有害事象は、頭痛40例(7.9%)、悪心10例(2.0%)、上咽頭炎、高血圧各8例(1.6%)等であった。

重篤な有害事象は12例(2.4%)に認められ、虫垂炎、精巣炎、肺炎、尿路感染、前立腺癌、低血糖発作、緊張性頭痛、不安定狭心症、心房細動、急性肺水腫、腹痛、慢性腎不全、処置後出血、橈骨骨折各1例であった。

投与中止に至った有害事象は6例(1.2%)に認められ、頭痛、錯感覚、腹部不快感、嘔吐、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、橈骨骨折各1例であった。

死亡に至った有害事象は認められなかった。なお、投与期間の中央値は8日であった。

有害事象の発現状況(安全性解析対象集団1,020例)

いずれかの群で1%以上発現した有害事象

ザビセフタの効能又は効果、用法及び用量、用法及び用量に関連する注意(抜粋)は以下のとおりである。

4. 効能又は効果
〈適応菌種〉

本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌
〈適応症〉
敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍

6. 用法及び用量
通常、成人には1回2.5g(アビバクタムとして0.5g/セフタジジムとして2g)を1日3回2時間かけて点滴静注する。なお、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍に対しては、メトロニダゾール注射液と併用すること。

7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
〈効能共通〉
7.1
腎機能障害のある患者(CLcrが50mL/min以下)に対しては下表を参考に本剤の用量を調節すること。[電子添文 8.3、9.2、9.8.2、11.1.8、16.6.1 参照]

ドリペネムの効能又は効果、用法及び用量、用法及び用量に関連する注意(抜粋)は以下のとおりである。

4. 効能・効果
〈適応菌種〉
ドリペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属(エンテロコッカス・フェシウムを除く)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼窩感染、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)、中耳炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎

6. 用法・用量
通常、成人にはドリペネムとして1回0.25g(力価)を1日2回又は3回、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回0.5g(力価)を1日3回投与し、増量が必要と判断される場合に限り1回量として1.0g(力価)、1日量として3.0g(力価)まで投与できる。通常、小児にはドリペネムとして1回20mg(力価)/kgを1日3回、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回40mg(力価)/kgまで増量することができる。ただし、投与量の上限は1回1.0g(力価)までとする。

7. 用法・用量に関連する注意(抜粋)
7.1
腎機能障害患者への投与に際しては、下表を目安に投与量を調節すること。[電子添文 9.2.1、16.6.1 参照]
腎機能正常者の1日投与量に対応するCcr別の1日投与量の目安
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2024年9月作成 ZAV37N001A
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